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投稿・公開準備

――読まれるための「入口」を整える


物語が書き上がり、推敲も終わった。

次にやるべきことは、それを誰かに読んでもらうための「入口」を整えることである。


ここでいう入口とは、投稿先の選定、タイトルの最適化、あらすじの構成、そしてタグの設計など――いわば「読者に出会ってもらうための仕掛け」全般を指す。


創作の本質はあくまで「書くこと」にある。だが、「読まれること」を目指すなら、この入口の設計を怠ってはいけない。

どれほど優れた物語でも、「見つけられない」「クリックされない」「最初の印象で離脱される」ようでは、意味を持たないからである。


以下、具体的なステップに沿って見ていく。


1. 小説投稿サイトの選定

まず、作品をどこに公開するかを決める必要がある。

日本国内の主要な小説投稿サイトには、それぞれに特色とユーザー層があり、作品のジャンルや作風によって向き不向きがある。


■ 小説家になろう(通称「なろう」)

国内最大級のPV数・投稿数を誇る投稿サイト


現在の主流は、異世界恋愛・悪役令嬢・婚約破棄・ざまぁなど、女性向け異世界転生ロマンスが圧倒的に強い


男性向けテンプレ(追放系・スキル無双・スローライフ)も依然一定の支持あり


一方で、シリアスな異世界バトルファンタジーや純粋な世界観型ファンタジーは減少傾向


書籍化・コミカライズの実績は依然として非常に豊富


相性が良い作品:


女性主人公の恋愛ファンタジー(令嬢もの、ざまぁ、聖女転生、政略婚)


軽快でテンプレートに乗った「成り上がり」構成


ざっくり読めるカジュアルな文章(難解な設定・テーマ性は不利)


相性が悪い作品:


長い導入を必要とする作品


文学性・構造性の高い物語


戦記、重厚ダークファンタジー


■ カクヨム(KADOKAWA運営)

「シリアスで設定の深い異世界ファンタジー」が比較的評価されやすい


スローライフよりも、成長や使命、政治・信仰・戦争などをテーマにした重厚なファンタジー作品が支持されている


なろう的テンプレートからは少し距離を置いた読者が多く、「物語の本質」を重視する傾向


ユーザー年齢層がやや高めで、文体や構成に凝った作品が伸びる傾向あり


一方で、完全オリジナルの設定や哲学的作品は伸び悩むリスクもある


カクヨムに向いている作品例:


異世界戦記/魔導学院/神話・宗教風の構造を持つファンタジー


異世界恋愛でも社会構造や身分制度に深く踏み込んだもの


SF・近未来サスペンスなど非テンプレ系


■ アルファポリス

ファンタジーや恋愛が中心。読者層が比較的女性寄り


投稿作品が書籍化されやすい(定期的な書籍化コンテストあり)


縦書きでの読みやすさ、漫画化への接続も早い


相性が良い作品:女性主人公の恋愛ファンタジー、逆転劇、悪役令嬢系、婚約破棄・令嬢ものなど


その他の投稿先

ノベルアップ+:成長中、UIが良い。ジャンルはやや広め


自サイト・note・pixivなどでの個人発信も可能


どこに投稿するかは、自分の作品と読者層のマッチングを見て選ぶのが基本である。

また、複数サイトへの同時投稿(マルチ投稿)も一般的。更新の手間は増えるが、間口は広くなる。


2. タイトルの最適化

タイトルは、作品の第一印象を決める最大の要素である。

投稿サイトでは、タイトルだけが目に入る一覧ページやランキングが大半であり、クリックされるかどうかはほとんどタイトル次第と言っても過言ではない。


ここで重要なのは、「内容が伝わること」「ジャンルが分かること」「興味を引くこと」の3点である。


最近の主流は「長めのタイトル(ストーリー要約型)」である。

例:


「最強なのに村人として生きることにしたら、逆に最強扱いされた」


「悪役令嬢なのに破滅しないで幸せになる方法を見つけてしまった件」


「勇者に裏切られたけど、こっちが正義だったみたいです」


一方、ジャンルによっては「短く印象的なタイトル」が効果的なこともある。

例:


「檻の中の火曜日」(ミステリー)


「彼は透明な嘘をついた」(現代ドラマ)


「灯りの消える森で」(ホラー)


タイトルを考えるときのヒント:


ジャンルやタグを含める(例:「異世界で」や「婚約破棄された」)


主人公の状況を入れる(例:「追放された俺が」)


逆転・変化・ズレを含める(例:「だけど本当は最強」)


数字を入れる(例:「7度目の人生で」など)


疑問形・意外性のある単語を使う(例:「処刑予定の王女だけど、死なないらしい」)


読者が「これは自分の読みたいジャンルだ」と思えるタイトルづくりが鍵となる。


3. あらすじとタグの最適化

タイトルでクリックされた後、読者が次に見るのがあらすじである。

ここで「読む価値がある」と感じてもらえなければ、本文に進んでもらえない。


良いあらすじの条件:


物語の状況がすぐに理解できる(主人公は誰で、どんな状況にあるのか)


物語の魅力やフックが1〜2点分かる(恋愛要素?バトル?謎?)


ネタバレを避けつつ、「何が起こる物語か」が伝わる


難解すぎず、親しみやすい文体である


NG例としては、以下のようなあらすじが挙げられる:


登場人物名と設定だけが羅列されている


一文が極端に長く、状況が分からない


フックが弱く、感情や展開の魅力が伝わらない


おすすめの構成は以下のような三部構成:


主人公の立場や状況の提示(導入)


物語の中心になる出来事・転機(仕掛け)


この物語の読みどころ(宣伝文)


また、タグ付けも読者にとっての「検索ワード」になる。


主人公属性(例:男主人公、悪役令嬢、社畜)


世界観(異世界、和風ファンタジー、現代)


展開(スローライフ、復讐、ざまぁ、溺愛)


ジャンル要素(バトル、恋愛、サスペンス)


年齢層・雰囲気(青春、ダーク、ハートフル)


読者が検索する際のことを想像しながら設定するのがポイントである。



まとめ

作品に合った投稿サイトを選び、読者層を意識する


タイトルはクリックされるための最大要素。内容と魅力を明示する


あらすじは導入・転機・魅力の3点を明快に伝える


タグは検索ワード。読者が探す視点で設計する


作品を「読まれる物語」にするためには、内容だけではなく見せ方の設計が不可欠である。

読者との最初の接点――タイトル・あらすじ・タグ――が整っていれば、物語はようやく「届けられる形」になる。

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