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プロット作成

――物語の迷子にならないために


物語を書き始める前に、プロットを作るかどうかは人によって意見が分かれる。

インスピレーションのまま書き進めたい人もいれば、詳細な設計図がなければ書けないという人もいる。

どちらが正しいということはないが、物語を完結させるためには、最低限の設計図プロットが極めて有効なのは確かだ。


プロットとは単に「物語の筋書き」をまとめたものではない。

それは、登場人物がどのように変化し、どのようなドラマを経て、どこへ辿り着くのかを設計する工程である。

言い換えれば、物語の「骨格」を作る作業である。


1. 全体の流れを設計する:起承転結と三幕構成

物語の流れを考える際、基本として有名なのが「起承転結」と「三幕構成」の2つである。


起承転結

起:世界観・キャラクター・状況を紹介する導入部分


承:日常が動き始め、事件や目的が明確になる


転:大きな転機や危機が訪れ、キャラや状況が激変する


結:問題の解決と、キャラクターの到達点を描く締めくくり


日本の物語ではこの構成が馴染み深く、短編・中編にも適している。

一方で、長編の場合には「転」が弱くなりやすいという欠点もある。


三幕構成(ハリウッド型)

第一幕(序章):登場人物と日常、発端となる出来事


第二幕(展開):葛藤と試練、目標達成に向けた障害


第三幕(決着):クライマックスと結末、変化の描写


三幕構成は物語の中盤(第二幕)に重点が置かれており、「中だるみ」を避けやすいのが特徴。

特にシリーズものや長編ではこちらの方が有効な場合が多い。


重要なのは、構成に縛られすぎることではなく、「この物語はどこから始まり、どこに着地し、途中でどんな波を経るのか」という全体像を持っておくことだ。

ゴールが決まっていれば、そこに至るまでの道筋も自然と絞られてくる。


2. 各話ごとの要点・展開を簡単にメモ

物語の全体構造が定まったら、次は各話ごとの展開の骨組みを考える。


これは長編において特に重要だ。なぜなら、長い物語では「今、自分がどこを書いているのか」が分からなくなりやすいからである。

各話ごとの要点を軽くメモしておくだけでも、構成の破綻を防ぐことができる。


1話ごとに、以下のようなシンプルな形式で十分だ。


第1話:主人公が登場し、現状の問題や不満が示される


第2話:事件のきっかけとなる出来事が発生


第3話:行動の決意と、最初の障害


第4話:新たな仲間と出会い、目標が具体化


……


このように、「何が起きるか」だけでなく、「誰の感情がどう変化するか」もメモに加えると、物語の流れがより自然になる。

感情の動きは読者の共感を生む要素であり、展開の必然性もそこで生まれる。


また、途中で大きなイベントを配置する場合は、そこを「中間ゴール」として設定し、そこに向かって小さな話を積み上げていくとリズムが安定する。


3. 「この話を読む理由」を毎話に仕込む

連載型のネット小説において最も重要な考え方が、各話に「読む理由」を用意することである。


読者は、タイトルをクリックし、冒頭を読み、面白くなければすぐに離れていく。

逆に、読み進めるだけの魅力があれば、何百話でも追いかけてくれる。

その判断が、毎話ごとに行われているというのがネット小説のシビアな現実である。


では、読者が「次も読みたい」と思う理由とは何か。


代表的なのは以下の3点である。


展開の興味:次に何が起きるのか気になる(謎・危機・未解決の対立)


キャラの魅力:この人物の行動や感情がもっと見たい


感情のカタルシス:読んでスッキリした、泣けた、笑えた、共感した


これらのうち、どれか1つでも満たせていれば、読者は「読む理由」を感じてくれる。

理想的には、毎話の最後に引き(フック)を用意することが望ましい。

たとえば、「あの人物の正体は……?」で話が終わる。

「次の瞬間、ドアが開いた」と緊張を残す。

あるいは「彼の手紙には、思いがけない一文が書かれていた」で幕を引く。


こうした「小さな謎」や「感情の余韻」があることで、読者は「次も読もう」という動機を持つ。


また、物語全体としての「大目標」と、各話ごとの「小目標」が両方あると、構成がブレにくくなる。

たとえば、大目標が「父の死の謎を解く」だとすれば、小目標は「目撃者を探す」「警察記録を読む」「旧友と再会する」などのように、1話ごとに達成すべき課題があると良い。


こうした積み重ねが、「物語を読む理由」となり、読者の没入を支える。


まとめとしてのポイント


プロットは「物語を完走するための地図」である


起承転結や三幕構成で「流れ」を設計し、各話の要点を整理する


読者が読む理由を、毎話ごとに意識して仕込む


物語は感情と構造の両輪で進む。

構造を支えるのがプロットであり、それは創作を「迷わず続ける」ための最強の道具となる。

書きながらプロットを修正するのも自由。重要なのは、「自分がどこへ向かっているか」を常に意識していることだ。

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