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迫る神の影
十五歳の少年ミコトは、地獄の王・閻魔の加護によって身体にわずかな強化を得ていたが、まだ絶対的な力を持ってはいなかった。
だが、その力で、ある“罪”を犯してしまった。
それは、神力を持つ者の命を奪ったこと。
無神者が神を殺すなど許されない罪。
その日以来、彼は神の狩人たちに追われる身となった。
「逃げるしかない……。」
山間の道を駆けるミコトの背後には、神々の加護を纏った狩人の影が迫る。
彼らは冷酷に、狩り立てる獲物を逃がさない。
「逃がすな。あの異形を捕らえよ。」
ミコトは息を切らしながら、まだ体に馴染まぬ加護の痛みをこらえた。
傷は治りやすくなったが、それでも深手を負えば苦しい。
「これだけか……まだまだだ。」
目の前に広がる谷。背後の狩人たち。
彼は絶望の淵で叫んだ。
「俺は、もう後戻りできない……。」
だが、そんな絶体絶命の中でも、ミコトは必死に踏みとどまった。
自分を守る力をもっと強く、確かなものにするために。
神々が裁きの刃を振るう世界で、地獄の加護を宿した少年は、自らの運命に抗い続ける。
――つづく。