お婆さんはマッドサイエンティスト
昔々、あるところにお爺さんとお婆さんと孫の桃太郎が3人で暮らしておりました。
お婆さんはマッドサイエンティストで、自分の発明した薬を野生の動物たちに食べさせては反応を見る実験をしていました。
あるとき、お婆さんは桃太郎に言いました。
「ついにパワーアップ薬入りきび団子が完成したぞ!野生の動物たちに食べさせたが、ばっちりパワーアップして副作用もない。
桃太郎よ、お前もこれを食べてみなさい。私の発明に実績を作るのじゃ!」
桃太郎は言われたとおりきび団子を食べると、先に食べさせられていた犬・猿・キジに負けないくらい、身長が伸び、筋肉が増強し、見るからにパワーアップした姿へと変貌しました。
しかし、野生の動物たちがきび団子を食べても副作用は無かったものの、人間が食べるとそうではなかったようで、桃太郎はだんだん意識が朦朧としてきて、よく分からないことばかり言うようになりました。
「俺は桃から生まれたんだ」
「川上から流れてきたところをお婆さんが拾い上げたんだ」
「鬼ヶ島に巣食う鬼を退治してきたぞ」
妄言ばかり吐く桃太郎のことを、村人たちはだんだん無視するようになりましたとさ。