プロローグ
俺が通っている学校には革命家がいる。何言ってるんだお前と思った人、その判断は正常だ。
実際に学校に通って、その革命家を間近でみている俺でも何を言ってるかわからない。
そもそも革命家って言葉の定義は割と曖昧だ。イメージとしては腐りきった国政を変えるために立ち上がる人であったり、税金を搾りとる貴族たちに歯向かうために民衆を引っ張るような人だろうか。
アニメとかマンガとかでも、革命家なんて肩書きの人は意外と出てくる。彼らは大抵、現状を変えるために躍動しているようなキャラがほとんどだ。
目的こそ違えど、今に不満を持ったような人やあるいは同志のために言葉、武力、知略、さまざまなものを用いて今を形成している某に牙を剥いている。
少し趣向を変えてみてみよう。実際の革命なんかはどうだろうか。
中世ヨーロッパなんかで、思想家と呼ばれる人たちが政治や人権、国民の在り方について考えを解いた。それに賛同した者たちは、自分達の自由を求め絶対的な権力に刃向かった。
今の世界で代々王様が政治を取り仕切ることなく、ほとんどが選挙で選ばれた代表が国政を取り仕切っているのはこうした革命の背景があったからだろう。
この場合、思想家たちは、すこし解釈は違えど結果的に国を変えた革命家にあたるのではないか。
色々ダラダラと言ってきたが、結局革命家は世界とか、国とか、宗教とか、そういった絶対的に居座る何かに不満を持ったような人が今を変えようと動いた結果、その中心人物が呼称で言われるような名前なんて理解で大体間違ってないだろう。
だとすれば、俺の知っている彼女は間違いなく革命家だと自信を持って言える。いや、むしろ彼女には革命家以外の言葉なんて当てはまらないんじゃないだろうか。
言い過ぎかもしれないが、俺は割と本気でそう思っている。
生まれながらにして彼女は何かに歯向かい、正義を疑い、絶対的な存在に疑問を投げかけた。それが大きかれ小かれといえども、彼女は必ず自分自身の信念と正義を常に信じて動き続けている。
これを革命家と呼ばずしてなんて呼ぶだろうか。少なくとも同じ学校に通う一般生徒としては、彼女をそう表すほかない。