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57 彼女の愛惜

Mノベルズ様より、書籍発売中です。


女性「いいかい? 神様はいつも私たちを見ていてくださるんだよ?」

女性「だからこうして、今日も食べ物を口にすることができるんだよ?」

女性「神様にも、そしてこの黒パンをくれた人にも、感謝の気持ちを忘れてはいけないよ?」

女の子「うん」

スラムの一角で、あばら家の片隅で、弱々しく臥せった女性が、愛娘に語りかけています。

女性「お前に残してやれるのは、この指輪だけになってしまったね」

女性「この指輪は、御使い様のものだといわれているんだよ」

女性「だから誰にも分らないように隠しておくんだよ?」

女の子「ひっく、うん」

女性「神様は見ていてくださる」

女性「決して神様に見られて恥ずかしいことをしてはいけないよ?」

女性「情けを忘れず、いつも朗らかに、精一杯生きるんだよ?」

女の子「ぐすっ、うん」

女性「いいかい? 神様は、いつかきっと手を差し伸べてくださる」

女性「今は苦しくても、辛くても、その時まで待つんだよ?」

女性「御使い様が現れる、その時までの辛抱だからね?」

女性「銀色の髪に銀色の瞳。伝説の御使い様が現れる、その時まで・・・」

女の子「・・・ぐすっ、ヴん」


その夜、スラムの一角で、ひとりの女性が神の御許へ召されました。

大好きな母の最後の言葉をその小さな胸に刻んだ、ひとりの女の子を残して。


Mノベルズ様より、書籍発売中です。

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