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51 ご領主さまからの呼び出し

Mノベルズ様より、書籍発売中です。


翌朝、朝の少し遅めの時間。

いつものように2日に1度の【ジョシュア雑貨店】への納品にやってきたワタシたち3人。

でも今日はいつもと少し違います。

今までは前日に納品物を用意してそれを持ち運んできたのですが、今日からは違います。

納品先の現地で出しちゃいます。

なぜかって? それは、すでに値段がわかっているものであれば、40万円を超えない限り、大量に創り出すことができるとわかったからです。

そんなこんなんで手ぶらで【ジョシュア雑貨店】へ向かったワタシたち3人。

入店と同時にご挨拶です。


「「「おはよ~ございま~す!」」」


すると、いつもなら穏やかなお返事が返ってくるのですが、今日は様子が異なります。

慌てた様子でジョシュアさんが飛び出してきました。


ジョシュア「ああ、良かった。待ってたよ! ちょっとビックリというか、驚いたというか、困ったことになっちゃってね」


「困ったこと?」


ジョシュアさんとお話では、今までの営業努力が功を奏し、領主館においてはちみつと石鹸は爆発的人気になっているそうです。

そしてそのお話は、当然主であるご領主さまのお耳にも届き、はちみつと石鹸を納品しているジョシュアさんが特別に拝謁を許されることになった、ということみたいです。

ご領主さまは、はちみつのことを『黄金色の蜜』だと大絶賛されているようで、


「大量に購入し、王家や諸侯への土産物としたい」


とのお言葉をいただいているようです。


「その謁見って、いつなんですか?」


ジョシュア「それが急でね? 今日の午後一番に領主館へ参上するようにとのお達しなんだよ」


つまり、お貴族様からの緊急の呼び出しみたいです。

指定時刻は今日の午後一。

以外とタイトなスケジュールです。


(ここはワタシたちが勝手に動いてはいけないような気がするな~)


学習機能付きのワタシは、早速、ジョシュアさんを伴って、ハンターギルドへ向かうことにしました。


・・・


そしていつもの会議室。

ワタシたち3人とジョシュアさん、そして、ハンターギルドの幹部職員が急遽大集合です。

ジョシュアさんがざっくりと状況説明を行い、お話合いのスタートです。


支部長ローガン「話は分かった。ご領主さまから呼び出しを受けているのは、ジョシュア殿だけでよいのかの?」


ジョシュア「いいえ。それがご領主さまからは、納品者も必ず連れてくるようにと・・・」


なんと、ワタシたち3人も領主館に行かなければならないみたいです。


副支部長イーサン「ご領主さまは、はちみつを多数御所望ということで、よろしいでしょうか」


ジョシュア「はい。私はそう聞いています」


支部長ローガン「されど、謁見に手土産もなしとはいくまいて」


副支部長イーサン「そうですね。何かしらご領主さまのご希望に添える献上の品があればいいのですが」


ジョシュア「あ、あの。その件についても、心当たりというか、思い当たるふしがありまして・・・」


支部長ローガン「ほう?」


ジョシュア「実は私、以前この子たちからプレゼントをもらいまして、この腕時計なんですが・・・」


購買部ハンナ「あらまあ! こんなに小さいのに時計なのかい?」


副支部長イーサン「これは驚きですね」


ジョシュア「ええ。とても便利で、毎日着けているのですが、領主館への納品の時、職員にこの腕時計を見られてしまったようでして・・・」


支部長ローガン「ご領主さまもご存じで、しかも御所望であると?」


ジョシュア「間接的ですが、領主館に勤める知人からはそのようなことを聞いております・・・」


支部長ローガン「ご領主さまの今回の目的は、むしろそちらであろうの」


ジョシュア「そうなりますか・・・」


アイリーン「おチビちゃん、そういうことらしいんだけど、対応できる?」


「う~んと、できますけど、どんな腕時計を創ったらいいのかわからないので、現地でご希望を聞いてもらっていいですか?」

「あと、はちみつもここで創って運ぶのは大変なので、現地で創っていいですか?」


支部長ローガン「そうじゃの。質問するのは失礼かもせぬが、ご領主さまのご希望と違うものを献上するよりはましじゃろう」


副支部長イーサン「ちなみにはちみつはどれくらいの数を創れるんでしょうか」


(はちみつはたしか、【はちみつ ブレンディッド 1200g 4,800円】だったから、40万円だと・・・)


今日も活躍そろばん4級ちゃん。


「たぶんですけど、83個ですかね」


支部長ローガン「こりゃまた凄い数じゃの」


副支部長イーサン「たしかガラスの容器に納められた『黄金色の蜜』でしたか」

副支部長イーサン「下手に輸送してガラスが割れる危険性を考えれば、現地で出した方が安全でしょうね」


そんな打ち合わせをして、ワタシたちはご領主さまとの謁見に臨むことになりました。

謁見に行くのは、ジョシュアさんとワタシたち『シュッセ』の3人。そして、『シュッセ』の後見をしているという理由で、ハンターギルドの支部長ローガンさんと、助手としてアイリーンさん、馬車の御者としてマッチョな強面マスターさんが参加です。


そしてお昼過ぎになり、いざ出発となったときでした。


マスター「支部長、すまねぇが歩いていくしかないみてぇだ」

マスター「だれかが先にギルドの馬車を使っちまってらぁ」


アイリーン「もう、誰よ、こんな大事な時に」


支部長「そうか。あいにく馬車が出払っておっては、歩いていくしかないわい」

支部長「おチビには、ちと大変かもしれんな」


どうやらお散歩決定のようです。

と思ったら、マスターが「いいこと考えた!」とでも言いそうな勢いで、ワタシたちに話しかけてきました。


マスター「あ! そうだ! お前らのアレ、派手な荷車、あれなら全員乗っかるだろ? アレを貸してくれ!」


「え? リアカーですか?」


マスター「そうそれだ、俺が引いていく」


そんな展開になってしまいました。


(リアカーに人を乗せて、ひとが引くの? なんか大変そう~)


そう思ったワタシは、アレを【想像創造】してみることにしました。



【オトナの三輪車 マウンテントライク24インチ 7スピードギア リアショッピングバスケット付き シルバー 43,900円】



(これにリアカーをしばりつけて、けん引すればいいんじゃない?)


マスター「なんだこりぁ?」


「これは三輪車。これにリアカーを結び付けて、三輪車で引っ張るんです」

「もちろん、三輪車にはマスターさんが乗って、力いっぱい漕いでもらいます」

「けど、直接リアカーを引っ張るよりは、かなり楽だと思いますよ?」


マスター「よくわからねぇけど、俺がこげばいいんだな?」


ということで、早速、マスターさんに三輪車の使い方をレクチャーして、いざ、領主館へ出発です。


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