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50 お庭でお遊び その3

Mノベルズ様より、書籍発売中です。


ローラおねえちゃんのお店『ガレットのお店 ローラ』への【ホケミ】さんの販売の手続きのことやら、ビーフジャーキーや小袋のジャムの今後の販売拡大戦略やら難しそうなお話は、ハンターギルドのオトナの方々に丸っとお任せして、ワタシたち3人は、お先に失礼させていただきます。

ハンターギルドの裏庭にある、草むらの中のお家に戻ってきたワタシたち。

時刻はお昼ちょっと過ぎ。

この時間、ワタシにはやるべきことがあるのです。

そう、それは、いつものお昼寝タイムなのです。

ということで、いつもの日課を満喫し、小一時間ほどしてお昼寝から目覚めると、


アリス「あ! 起きたんだね? こんにちは~。早速遊びに来たよ?」


なんと、【マダムメアリーの薬店】のアリスちゃんが遊びに来ていました。


ワタシがお昼寝を堪能している最中、【マダムメアリーの薬店】の裏庭側からひょっこり現れたアリスちゃん。

その時、ねぇねとおにぃがやっていたリバーシゲームに興味を惹かれ、ワタシが起きるまでずっと、ねぇねとおにぃ相手にリバーシゲームを楽しんでいたようです。

今はおにぃとアリスちゃんが対戦しているところのようです。


(やっぱり、リバーシは最強ですね~)

(でもワタシ的には、子供はみんなで一緒に体を動かして遊べるモノのほうがいいと思うんですよね~)


そんなことをひとり考えていると、ねぇねがワタシのところへやってきました。

ちょうどいいので、ねぇねに遊び道具の要望を聞いてみます。


「ねぇね、みんなで遊ぶとしたら、どんな遊びがいい?」


ねぇね「ん? そうね~、おチビちゃんがあんまり危なくないのがいいな~」

ねぇね「トランポリンもすべり台も面白いけど、おチビちゃん、ちょっと危ないもん」


「う~ん。それなら、ずっと座っていられるのがいいかな?」


今日は【ウィスキー】と【ホケミ】さん1個と【ホケミ】さん1,086個、計3回【想像創造】を使いました。

残り1回【想像創造】が使えます。


(値段がわかっているヤツなら簡単なんだけど、はじめて作るモノは値段がわからないからな~)

(とりあえず、アリスちゃんも入れて、4人が同時に使える、ブランコを【想像創造】!)


(・・・)


(アレ? ダメか~)

(それじゃあ、3人が同時に使える、ブランコを【想像創造】!)


(・・・)


(アレ? これもダメか~)

(しょうがない、2人が同時に使える、ブランコを【想像創造】!)



【スチール製屋外2連式ブランコ 全幅4500mm×高さ2000mm 樹脂座面 391,000円】



(できた~! 創れた~!)


目の前に現れたのは、4脚の鉄製の支柱で支えられている、座面が2つのブランコ。

目の前に急に大きなものが現れても、もはやほとんど驚きもしなくなってしまったねぇねが、こともなげにつぶやきます。


ねぇね「なんだか大きな天幕の骨組みみたいだね」


少し遅れて、リバーシ組も加わります。


おにぃ「うぉっ? またおチビか?」


アリス「え? おチビちゃん? どういうこと?」


アリスちゃんの疑問はスルーして、早速ブランコの説明に入るワタシ。

遊び最優先な幼児なのです。


「これはね、ブランコっていうの」


ねぇね「ブランコ?」


「そう、あの、ぶら下がっている椅子に座って、ぶら~んってするから、ブランコなの」


おにぃ「へぇー、座って揺れるだけなのか?」


「そうだけど、ひとによって、ぶら~んだったり、ぶぅわぁ~んだったりして、飛びだしそうで面白いよ?」


ねぇね「へぇー、なんだか楽しそう」


おにぃ「それじゃ、まずはおチビがやって見せてくれよ」


「うん!」


ということで、ワタシがお手本を見せるべくブランコに近づきましたが、残念なお知らせがありました。

ブランコの座面が高すぎて、ひとりでは座れないという現実に直面してしまったのです。

座面の高さは、ワタシの腰以上胸の高さ以下、といった感じ。

ゆらゆら揺れる不安定な座面にひとりで飛び乗ることは、今のおチビなワタシにはちょっとばっかし曲芸じみていて無理ゲー。

素直におにぃに座らせてもらうことにします。

そして、ぽすんと座らせてもらった直後、更なる悲報がワタシを襲います。


「ひょい、ほい」


パタバタ、ジタバタ


なんと、ブランコを漕ごうといくら足をバタつかせても、座面がピクリとも動かないのです。

もう少し体全体を使えればなんとかなるでしょうが、少しでもお尻を浮かせて体重移動しようものなら、頭でっかちな幼児体形が邪魔をして、後ろにひっくり返ってしまいそうになるのです。

すべり台の時のみたいな、後頭部ダイブは御免こうむりたいワタシ。

なので、ひざ下のバタ足の動きに頼るしかないのです。

そんなこんなで粘ること数十秒。

これが最後とばかりに、両足をそろえて一気にひざ下を蹴り上げます。


「そりゃ~ (/>_<)/」


スポッ


すると、両足に履いていた靴が、スポンと脱げで前方50センチほどまで飛んで行ってしまいました。

それを見ていたおにぃが、すかさずもう一台のブランコの座面に座り、勢いをつけて靴を飛ばしはじめました。


おにぃ「そりゃ! やった~! 2メートルは飛んだか?」


この世界で、ブランコ靴飛ばしが発明された瞬間でした。

結局、飛ばした靴を回収するため、ねぇねにブランコから降ろしてもらい、ひと漕ぎもできずにワタシのブランコ活動はあえなく終了。

ブランコはねぇねとバトンタッチです。


ねぇね「それ! ん~! 1メートルも飛ばせなかった~」


するとなぜだかねぇねまでもが靴飛ばしに夢中になってしまい、結局、『ブランコ=靴飛ばし遊び』という間違った認識を修正するまで、5分ほど要してしまうのでした。

最初の見本がワタシだっただけに、素直なねぇねとおにぃはそのまんま再現してしまったようです。

その後のワタシの懸命な説得により、最後には普通にブランコを漕いでくれたねぇねとおにぃ。

でも、靴飛ばしの時ほどはしゃいだ感じにはなっていませんでした。


(まあ、靴をなくさなければ、靴飛ばしをしてもらっても全然かまわないんですけどね?)


ちなみにアリスちゃんはといえば、意外や意外。

いきなり立ち漕ぎをはじめるほどのアグレッシブなライドオンを見せつけてくれました。


アリス「よいしょ~! こらしょ~! どっこいしょ~!」


可愛らしい見た目と違って、かなり活動的なアリスちゃん。

もしかすると、日頃たまっているうっぷんをここで発散しているのかもしれません。


(うん。アリスちゃんには、しっかり体を動かす遊びの方がいい気がする)

(次回からはリバーシじゃなくて、トランポリンを中心に体を動かしてもらおう)


そんな感じで、ブランコでのお庭でのお遊びは無事? 終了。

前世の記憶では、ブランコは安全かつ穏やか、のんびりゆらゆらというイメージだったのですが、今のおチビなワタシにとっては、以外と扱いが難しい遊具なのでした。


Mノベルズ様より、書籍発売中です。

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