47 美味しいお菓子屋さん
Mノベルズ様より、書籍発売中です。
アイリーンさんおすすめのお菓子屋さん、【セオドア菓子店】。
【ジョシュア雑貨店】を真似たようなセコイ依頼を出している、ちょっとケチ臭いお店ですが、美味しいお菓子で有名なのだそうです。
とりあえずアイリーンさんにそのお店の場所を教えてもらい、早速町へと繰り出しているワタシたち3人。
3人仲良く手をつないで、気分はのんびりとお散歩です。
そうして歩くこと15分ほど。
到着したのは、この町の中央広場にほど近い、大通りに面した、まさに一等地にある高級そうなお店でした。
ねぇね「ここって・・・」
おにぃ「なんだ、ここだったのか・・・」
どうやら、ねぇねとおにぃはこのお店を知っているようです。
「ねぇねとおにぃの知ってるお店?」
ねぇね「うん・・・」
おにぃ「悪い意味で、だけどな」
ふたりのお話だと、どうやらこのお店は、浮浪児に厳しくあたるお店らしく、幾度となく追い払われたり、暴言を受けたことがあったそうです。
(なるほど。つまり、【ジョシュア雑貨店】の真逆のお店なんですね)
そんなことを考えていると、店先にコック帽を被った白いエプロン姿の男性が現れました。
店員「何だ? ここはお前らのような貧乏なガキどもが来ていい場所じゃねぇんだぞ?」
店員「俺の店の品位が下がるだろうが。あっち行け! シッシッ!」
ワタシたちを目にとめるや否や、有無を言わせず追い払おうとするその男性。たぶんこのお店のひとなのでしょう。
(たしかにねぇねとおにぃが言うとおり、嫌なお店ですね~)
(こんなお店、こちらから願い下げで~すっ!) (*`∧´)
どんなに美味しいお菓子を売っていようとも、こんな対応をされては、この店のお菓子が美味しく思えるわけがありません。
なので、選択肢はひとつ。このお店はスルーです。
でもどうせならと、置き土産的にわざとらしく大きな独り言を言ってから、このお店を離れることにしたワタシ。
ワタシができる、せめてもの抗議活動です。
「そういえば~、ハンターギルドに~、はちみつの依頼が~、貼り出されてましたね~」
「でもまあ~、このお店には~、絶・対・に、納品されないでしょうけどね~」
ワタシが何か言い返すとは思っていなかったその店員さんは、一瞬間をおいてから騒ぎ出しました。
店員「!?」
店員「何だ? どういう意味だ? 何ではちみつの依頼のことをチビガキが知っている!」
店員「こら! 待て! 待てと言ってる!」
なんだかがみがみ言ってますが、無視無視~。
大通りの反対側へ、さっさと離脱するワタシたち3人です。
ねぇね「ふふっ。なんだか可笑しいね?」
おにぃ「おチビ、ありがとな。なんだかスッキリした!」
どうやら私の独り言は、ねぇねとおにぃもお気に召してくれたようです。
(ねぇねとおにぃに意地悪したおじさんなんて、嫌~い!)
(ワタシ、ここのお店には、今後一切関わり合いを持ちませぬっ!)
(あっかんべ~~~~だっ!) (*゜┰~*)
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