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36 予想外の指名依頼

Mノベルズ様より、書籍発売中です。


おチビなワタシにとって、すべり台が予想以上に難易度高めだと身をもって知らされた日の翌日。

朝の少し遅い時間に【ジョシュア雑貨店】へ、いつものはちみつと石鹸の納品に向かったワタシたち3人。


ジョシュア「いやぁ~、領主館への売り込みが、ようやくイイ感じになってきたよ」


ジェーン「あんたたちのおかげさ」


そんなお言葉をいただいて、嬉しくなるワタシたち3人です。


ねぇね「お役に立てたなら、うれしいです!」


特にねぇねは満面の笑顔。

朝から気分がいいワタシたちなのでした。

その後、ワタシたち3人は、その納品完了報告をするため、ハンターギルドのいつもの受付にやってきました。


「「「こんにちは~」」」


アイリーン「はい、『シュッセ』のみなさん、こんにちは」


おにぃ「いつもの完了報告をお願いします」


ねぇね「します」


アイリーン「はい、承りますね」

アイリーン「報酬の処理はいつも通り、ということでよろしいですか?」


「はい、お願いします」


そんな感じで、淡々と進められる事務手続き。

もう、慣れたものです。

受付のアイリーンさんは、依頼内容も金額も一切口に出さない、今日も完璧なプロのお仕事です。

最後にワタシたち3人のギルド証を提示して、依頼完了手続きは無事終了。

次は掲示板でものぞいてなにか依頼を物色してみようかな、というタイミングで、アイリーンさんが話しかけてきました。


アイリーン「実は、『シュッセ』の3人に、指名依頼が来ています」


「「「え?」」」


おにぃ「指名依頼ですか?」


ねぇね「それって、マスターさんが言ってた!」


「ハンターギルドへの納品のヤツですよね?」


アイリーン「いいえ違うの。それとは別件になります」

アイリーン「ここでお話するのはアレなので、別室で詳しいお話をさせてもらいたいんですが、今からお時間いいですか?」


どうせ掲示板で依頼を探そうと思っていたワタシたち3人です。


おにぃ「時間は大丈夫です。だよな?」


ねぇね「うん」


「大丈夫で~す」


アイリーン「それでは今から別室にご案内しますね?」


窓口で話し込んでしまうと、いろいろなひとに聞き耳を立てられてしまいます。

情報の漏洩防止を徹底してくれる、頼れる受付、アイリーンさんなのです。


ということで連れてこられたのは、以前、ハンターギルドの幹部と会った、2階の会議室でした。

アイリーンさんが入り口付近の司会者席みたいな場所に着席しつつ、私たちにも席に着くよう促します。

アイリーンさんの対面の席に腰を下ろすワタシたち3人。

でも会議室にあるのは、大人用の大きな机と椅子。

おチビなワタシはひとりでは座れないので、おにぃに抱き上げてもらい、ねぇねとおにぃの間の席に座らせてもらいます。

ワタシが着席して前を見ると、視界の下半分は机で、残りの上半分にアイリーンさんのお顔が見えました。

きっとアイリーンさんからは、ワタシの頭とおでこぐらいしか見えていないことでしょう。

そしてワタシたち3人全員が着席すると、アイリーンさんが説明を始めます。


アイリーン「『シュッセ』を指定して、【マダムメアリーの薬店】から指名依頼が来ています」


おにぃ「【マダムメアリーの薬店】?」


「お隣さんだね」


ねぇね「あ! 草刈りしたとこ?」


アイリーン「そう。先日『シュッセ』が草刈りの依頼を受けたところですね」

アイリーン「そのとき、魔法を使って草刈りしたんでしょ?」


「そう! ねぇねとおにぃが魔法で草刈りしたんだ~」


ここぞとばかりに『むふぅ』と気を吐き、ねぇねとおにぃは凄いぞアピールをするワタシ。

ちょっと小鼻が開き気味です。


アイリーン「ええ、そう聞いてるわ」

アイリーン「その時の魔法、火魔法と水魔法に、店主のメアリーさんが興味を持たれたみたいなの」


ねぇね「興味?」


アイリーン「火魔法と水魔法は、ポーション作りに欠かせないの。だからでしょうね」


おにぃ「へぇー」


ねぇね「前回の依頼で私たちが魔法を使ったから、今回指名依頼が来たんですか?」


アイリーン「そういうことでしょうね」


おにぃ「へぇー、そんなことになるとは思ってもみなかった」


アイリーン「1級のハンターが指名依頼をもらうことなんて、滅多にないことですもの。凄いことだわ」


「それで、その依頼は、具体的には、なにをする依頼なんですか?」


アイリーン「依頼内容としては、ポーション作りの補助となってるわね」

アイリーン「要は、ポーションを作るお手伝いでしょうね」


ポーションなんて見たこともないワタシたち3人。

そんな依頼がワタシたちにできるのか疑問です。


おにぃ「ポーションなんて見たことないけどな」


ねぇね「お手伝いなんてできるのかな」


「アイリーンさんは、この依頼、どう思いますか?」


アイリーン「そうね~、ポーションの作り方は教えてもらえるはずだし、受けてみてもいいんじゃないかしら」

アイリーン「依頼主も、まずはお試しみたいな感じだったし、気楽な感じでいいと思うわよ」

アイリーン「今の『シュッセ』には、いい経験になると思うし」


ハンターギルドの受付のプロ、アイリーンさんもおすすめみたいです。

今回は、魔法目当てということなので、完全にねぇねとおにぃのための依頼です。

なので当然、ねぇねとおにぃの意見が最重要です。


「ねぇねとおにぃはどうしたい?」


おにぃ「もちろん、やってみたい!」


ねぇね「魔法でポーション作りなんて、なんか楽しそう!」


「じゃあ、この依頼受ける?」


「「おー!」」


ねぇねとおにぃはやる気満々です。

でも、ワタシは少し不安なので、アイリーンさんに確認してみます。


「あの、アイリーンさん、これ、ねぇねとおにぃへの依頼だと思うんですけど、ワタシもついて行っていいんですか?」


アイリーン「もちろんよ? だって、これは『シュッセ』への依頼で、『シュッセ』は3人でしょ?」


おにぃ「そうだぞ、おチビも一緒だぞ」


ねぇね「おチビちゃんが一緒じゃなきゃ、依頼受けないもん」


アイリーン「先方にもそこは確認してあるから、大丈夫よ」


「「「ありがとうございます!」」」


ということで、ワタシがついて行っても迷惑にならないようです。

安心して【マダムメアリーの薬店】からの指名依頼を受けることができそうです。


Mノベルズ様より、書籍発売中です。

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