35 お庭でお遊び その2
Mノベルズ様より、書籍発売中です。
今はお昼ちょっと過ぎ。
はじめてのお客さん、マスターさんが満足気に帰っていく姿を見送ったワタシは、早速いつもの日課、お昼寝タイムに突入です。
その間、ねぇねとおにぃは、今日も【ボードゲーム 9in1 ゲームセレクションセット】を使って、リバーシゲームです。
ルールが簡単で覚えやすく、そこそこの時間で楽しめるリバーシゲームは、やはりここでも最強のようです。
そして小一時間ほどしてお昼寝からスッキリ目覚めたワタシは、目の前に広がるお庭の更なる拡充を目論みます。
またも腕組みしながらウンウンと唸り、ひとり思考を巡らせるおチビなワタシ。
(う~ん。トランポリンは楽しかったな~)
(けど、おチビなワタシには、ちょっとだけ早かったかも・・・)
(もうちょっと、ワタシひとりでもちゃんと遊べるモノがいいな~)
(だったらアレかな? 公園の定番的な、アレにしようかな?)
そんな感じで、ひとりでちょっと画策タイムです。
本人としては、なにかのプロデューサー気取りなのですが、はたから見ると、ただただコックリコックリしているだけに見えます。
おにぃ「眠いんだろ? まだ寝てろって」
ねぇね「そうだよ? お昼寝してていいんだよ?」
またもオヤクソクどおりの心配をされてしまうワタシなのでした。
明日は、【ジョシュア雑貨店】にはちみつと石鹸の納品があります。
納品物は前日に用意しておくのがワタシのスタイルなので、今日はあと1回、【想像創造】が使えます。
(よ~っし、公園の定番、ワタシでも無理なく遊べるヤツ、そう、アレを【想像創造】!)
(・・・)
(アレ? ダメか~)
(それじゃあ、もう少し安そうなヤツで、【想像創造】!)
【一面式すべり台 中型 高さ1800×巾5160×奥行き1000mm スベリ面3.6m(ステンレス曲げ加工) 298,000円】
(やった~! 創れた~!)
今までに何度か【想像創造】しましたが、創れる時とそうでないときの違いが、なんとなく分かってきました。
(たぶん、大きさや重さじゃなくて、お値段だと思うんだよね)
(レベルと創り出せるモノの金額に、なにか関係がある気がするんだよね)
ひとり、【想像創造】スキルについて、そんな考察をしていると、周りが騒がしくなってきました。
おにぃ「うぉっ? またおチビか?」
ねぇね「え? おチビちゃん、またなにか創ったの?」
またも突然現れた大きな構造物に、ねぇねとおにぃは驚きますが、前回のトランポリンの時ほどではありません。
きっとふたりとも、おチビちゃんの仕業だとわかっているからなのでしょう。
「これはね、すべり台」
ねぇね「すべり台?」
「そう、このハシゴをのぼって、上まで行ったら、ひゅ~ってすべるの」
おにぃ「へぇー、すべるだけなのか?」
「そうなの。でもね? するする~ってして、早くて楽しいよ?」
ねぇね「へぇー、私すべってみたい!」
おにぃ「それじゃ、オレも!」
ということで、早速すべり台に向かうねぇねとおにぃ。
スタタタタタ
スイ~ン
おにぃ「ひゅい~!」
おにぃは階段を軽快に駆け上がり、その勢いのまま豪快に頭からすべり降りてきました。
コトンコトンコトン
・・・
スルゥ~ン
ねぇね「ひゃ~! 楽し~!」
ねぇねはゆっくりながらも階段を一段一段しっかり登り、すべる直前に少しためらいがありましたが、最後はご機嫌で足からすべり降りてきました。
「よいしょっ、よいしょっ、よいしょっ・・・」
コットン、コットン、コットン・・・
おチビなワタシは、階段を上がるのも一苦労。
右足を上のステップに上げ、両手で手すりをつかみ、勢いをつけて左足で軽くジャンプして、体全体で階段を登ります。
一歩一歩、一段一段、全身を使ったクライミングです。
「はぁぁ~、疲れた・・・」
すべり台の頂上に達した時には、すでに程よくグロッキー気味なワタシ。
当然、すぐにすべり台をすべり降りる気分ではありません。
ということで、ちょっと座って休憩をと、ワタシがすべり台のすべり面に足先を進めたときでした。
ツルッ
「ん? (・_・)」
ぽてっ
「あいたっ (>_<)」
スル~
「ほよ? (。・_・?)」
パコン
「あうちっ (>_<。)」
ズルルルル~
足をすべらせ、尻もちをつき、そのまますべり出してしまったワタシ。
そして、すべり出してすぐに、今度は幼児特有の重たい頭が、すべるスピードに追いつかない感じで後ろに倒れてしまいました。
すべり面の比較的柔らかなステンレスに、ゆっくり軽くコテンと頭を倒す感じになってしまったワタシ。
そんな見事な4連コンボが決まってしまったのでした。
おにぃ「大丈夫か!?」
ねぇね「おチビちゃん!」
ワタシのはじめてのすべり台は、登り100秒、下り10秒。
「・・・今日も・・・いい天気・・・」
上空の青いお空だけが目に映った、ちょっと物悲しい滑降なのでした。
ワタシひとりでも遊べると思ったすべり台。
残念ながら、その思惑は外れてしまいました。
その後、心配したねぇねが、ワタシ単独のすべり台使用を禁止。
ねぇねが後ろからワタシを抱きかかえる感じの、タンデムスライディングのみが許されたのでした。
(まあ、これはこれでうれしいから、いいんですけどね!)
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