30 ハンターギルドへの初納品
Mノベルズ様より、書籍発売中です。
前日のトランポリンで全身がやや筋肉痛気味なワタシとねぇね。
特に首筋と内ももにきています。
(たしか前世の記憶だと、筋肉痛が2日後にくるのが、オトナの証だったよね?)
(ということは、まだまだワタシ、ステキなオトナには、ほど遠いんだな~)
前世の間違った知識で、オトナへの憧れを語る、おチビなワタシ。
おにぃだけは元気溌剌で、朝食後はトランポリンにまっしぐら。
そんなちょっと遅めの午前中です。
前日に【想像創造】で用意しておいた、今日のハンターギルドへの納品物
【本格熟成ビーフジャーキー 30g 120個セット 粒胡椒 和風ダレにんにく風味 99,800円】
このうち、20個は、ワタシたちのお食事用に抜き取っておきます。
なので、納品数は100個です。
【給食用小袋ジャム 業務用セット いちごジャム オレンジマーマレード ブルーベリージャム りんごジャム チョコレートスプレッド ピーナッツクリーム つぶあん はちみつ メープルゼリー レーズンクリーム 15g×1200袋 32,400円】
このうち、全種類20袋、計200袋も、ワタシたちのおやつ用に抜き取っておきます。
なので、納品数は1000袋です。
ということで、ビーフジャーキー100個と小袋ジャム1000袋が入った段ボール数箱を、お引っ越しのとき以来、2度目の出番となる銀色ボディの頼れるヤツ、アルミ製折り畳みリアカーに載せて、ハンターギルドの裏口に横づけです。
「受け渡しって、どうやるのかな?」
ねぇね「会議室のとき、食堂のマスターさんが調達の主任だって言ってたよ?」
おにぃ「それじゃあ、食堂に行って、マスターを呼んでくればいいのか?」
そんな会話をしていると、
マスター「おう、その通りだ!」
ハンターギルドの裏口を開けて、食堂の強面マスターさんが、ババ~ン、といった感じで登場です。
「「「ひっ (゜д゜)!」」」
おにぃ「ビックリした~」
マスター「アッハッハッ、悪りぃ悪りぃ。ちっとばっかし脅かそうと思って隠れてたんだわ」
どうやらマスターさんは、それほどお忙しい人ではないみたいです。
(むしろ、お暇なのかな?)
マスター「それで、その銀色の派手な荷車の上に乗ってる、茶色い樹皮の箱が、今日の納品物なのか?」
「はい。干し肉100袋と、小袋の蜜10種類100袋ずつで1000袋、段ボールに入れてきました」
マスター「ん? だんぼぉる?」
「その茶色い箱のことです」
マスター「オレの知らねぇモノみてぇだが、この箱ごともらっちまっていいのか?」
「はい。ただの入れ物の箱なので、どうぞ」
マスター「わかった。そんじゃあ、荷物はオレがギルドに運び入れちまうぜ?」
おにぃ「お願いします」
ねぇね「します」
マスター「あいよ。それじゃあ、ヨッコラ・・・ん? この箱、随分とまた軽くできてるな」
マスター「なのに、ちゃんと箱としてそれなりの強度はあるのか」
「その箱、段ボールは、紙でできてるんですよ?」
マスター「紙? また随分と豪勢な箱だな~」
「紙だと豪勢なんですか?」
マスター「そりゃそうだろ。紙はそれなりに貴重で、箱にするにゃあもったいねぇよ」
マスター「これ、ホントにもらっちまってイイのか?」
「もちろんです」
マスター「なんか別の、軽いモノを輸送するときに使えそうだな」
「あ、でもその段ボール、そんなに丈夫じゃないですよ?」
「あと、お水とかにも弱いです」
マスター「その辺は紙らしいんだな」
マスター「あ、そうそう紙で思い出したぜ。危ねぇ危ねぇ。これ、今回の納品の完了報告書な」
「依頼じゃないのに、ちゃんとしてるんですね」
マスター「まあな。一応、土地との引き換えだっただろ? だから念のためってヤツだ」
マスター「あの例の土地の権利譲渡証明も兼ねてる」
マスター「ちなみに今回は依頼じゃないから、税金も手数料もとらないぞ?」
マスター「まあ、タダみたいな土地だから、2割控除しようとしても、0リルからじゃいくら頑張っても引くことはできないがな?」
マスター「ガ~ッハッハッハ、こりゃ傑作だぜ!」
ワタシたちに報告書を差し出しながら、突如豪快に笑い始めたマスターさん。
きっと今の会話の中に、前世のアメリカンジョーク的な、なにかしら笑いのツボ的なモノがあったのでしょう。
(マスターさんは、笑いのツボが浅いのかもしれませんね)
納品の完了報告書兼土地譲渡証明書は、いつもの通り、おにぃが受け取って、ねぇねにそのままスルーパスです。
おにぃ「ありがとうございます」
ねぇね「ございます」
これで、ハンターギルドへの初めての納品は終了です。
見知ったマスターさんが担当してくれて、内心ほっとしていたワタシなのでした。
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