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29 お庭でお遊び

Mノベルズ様より、書籍発売中です。


「ワタシたちのお庭をキレイにしよ~」


「「お~!」」


「がんばるぞ~」


「「お~!」」


ハンターギルドの会議室でいろいろ決まった翌朝。

【ジョシュア雑貨店】へのいつもの納品も終えた午前のちょっと遅い時間。

只今ワタシたち3人は、やる気満々のシュプレヒコールをしています。

あれよあれよといううちに、なんだか棚ぼた的に今住んでいる草むらをいただいてしまったワタシたち3人。

もらってしまったモノは有効活用しなければ申し訳ないということで、早速キレイに整備開始なのです。


「まずは、昨日の草刈りの依頼の時と同じ方法で、草むらの草をとっちゃお~」


おにぃ「全部刈っちゃうのか?」


ねぇね「外から見えないように、残してほしいかも」


「う~ん、全部じゃなくて、外側は残して、草の壁みたいにできたらいいよね?」


ねぇね「そうしてくれると、嬉しい!」


「それじゃあ、ねぇねが草を消しちゃってもいいと思う場所からはじめよっか」


「「おー!」」


そんな感じで1時間ちょっと。

周囲を1メートルほどの厚さの草の壁で囲う形で、私たちのお庭ができました。

お庭の広さは大体50~60平方メートルといった感じ。

ハンターギルドの土地と【マダムメアリーの薬店】の土地に挟まれているので道には面しておらず、出入りするのは今までどおり、ハンターギルドの裏庭の広場経由になります。


「もう、コソコソしなくていいと思うから、広場側に作ったテントも取っちゃおうか?」


おにぃ「そうだな」


ねぇね「もう、ここは、私たちのお家だもんね」


ということで、ダミーとして建てていたボロボロのテントっぽい何かも撤去です。


「どうせなら、表札でも立てておく?」


おにぃ「ひょうさつ? なんだそれ?」


ねぇね「だれのお家か分かるように、お名前を書いておく看板みたいなのでしょ?」


「そうで~す。でも、お名前じゃなくて、チーム名『シュッセ』って書くの、どうかな?」


おにぃ「いいんじゃねえか? わかりやすくて」


ねぇね「お名前書いても、きっとだれにもわかってもらえないもんね」


ということで、ボロボロのテントっぽいモノに使っていた木の板に、小石で傷をつける感じで『シュッセ』と刻み、それを草の壁の広場側に立てかけておきます。


「これで、この草の壁の中は、ワタシたち『シュッセ』のお家で~す」


おにぃ「すげぇ~」


ねぇね「夢みた~い」


朝からいい仕事をしたとばかりに、充実したニコニコ笑顔のワタシたち3人なのでした。


その日のお昼過ぎ、お庭をキレイにして大変満足したワタシは、お昼寝タイムに突入です。

その間、ねぇねとおにぃは、先日【想像創造】した【ボードゲーム 9in1 ゲームセレクションセット】を使って、リバーシゲームに夢中です。

そして小一時間ほどしてお昼寝からスッキリ目覚めたワタシは、目の前に広がる、自由に使えるなにもないお庭を、あらためて見渡します。

その場でひとり目を閉じて、感慨深げに腕組みしながらウンウンと唸る、おチビなワタシ。


(う~ん。これ、ワ・タ・シ・た・ち・の、お庭なんだ~)

(もう、まわりを気にしてコソコソしなくていいんだ~)

(それに、ここでならなにをしてもいいんでしょ?)

(だったら、楽しいお庭にしたいよね~)


そんな感じで、ひとり静思タイムです。

本人としては、格好つけて雰囲気を出しているつもりなのですが、はたから見ると、ただただコックリコックリしているだけに見えます。


おにぃ「どうした? 眠いのか?」


ねぇね「まだお昼寝してていいよ?」


そんな心配をされてしまうワタシなのでした。


明日は、ハンターギルドにビーフジャーキーと小袋ジャムの納品があります。

納品物は前日に用意しておくのがワタシのスタイル。

なので、今日の【想像創造】は、残り1回分自由に使えることになります。


(よ~っし、みんなで楽しく、体を動かせるヤツ、そう、アレを【想像創造】!)



【屋外用大型トランポリン ガードネット付き 直径16FT(487cm) 耐荷重350kg 225,000円】



(やった~! 創れた~!)


おにぃ「うぉっ? なんだなんだ?」


ねぇね「え? なにこのおっきな、カゴ?」


突然、なにもなかったお庭に、直径5メートル近いネット付きの大型トランポリンが出現すれば、張本人であるワタシを除いて、誰でも驚くでしょう。


「これはね、トランポリン」


ねぇね「とらんぽりん?」


「そう、このハシゴをのぼって、網の中に入って、ぴょんぴょんするの」


おにぃ「へぇー、飛び跳ねるのか?」


「そうそう。ぼよ~んぼよ~んって、飛んでるみたいで面白いよ?」


ねぇね「へぇー、おもしろそう」


おにぃ「それじゃ、やってみようぜ」


体格差なのか、体重差なのか、跳ねる音がまるっきり違う3人のトランポリング。


バイ~ン

バイ~ン

バイ~~ン

トランポリンの中心付近で、1メートル近く空中をはね上がるおにぃ。

おにぃ「うわっっほ~い!」


ぼよよ~ん

ぼよよ~ん

ぼよよよ~ん

トランポリンの端の方で、10センチほどの跳躍を楽しむねぇね。

ねぇね「あははっ! あははっ!」


ぽよん

ぽん

ぽよ

そして、そのふたりの中間地点で、両者の跳ねる振動波の影響をもろに受け、荒波に飲まれる小舟ような感じになって、ひとり制御不能な揺すられ状態に陥っているワタシ。

まるで、ひとりでエアー柔道的に乱取りをしているような、受け身の練習をしているかのようです。

お尻、背中、お腹と、着地場所をコロコロ変えながら、ただただなされるままに、その身をゆだねることしかできないワタシ。


「およよよ、およおよ」


元々跳躍力のちょうの字もないおチビなワタシとしては、自力で飛び跳ね続けるのはハナから望み薄。

よそ様から振動力をいただいて、飛び跳ね続けている他力本願的な今の状況は、本人としてはこれはこれで大変おつなモノで、自分で自分をコントロールできないこの状況を、むしろキャッキャしながら喜んでいたのでした。


Mノベルズ様より、書籍発売中です。

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