23 普通の依頼
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翌朝、無洗米のお粥にビーフジャーキーをトッピングしたワタシとおにぃ。
ねぇねだけは、つぶあんonお粥という、かなり甘党上級者的な食べ方をしていましたが、ちょっと豪勢になった朝食を味わったワタシたち3人は、今日はいつもより気合が入っています。
その理由は昨夜、
『明日は納品がお休みだから、なにか掲示板の依頼を受けてみよう』
と話し合ったからです。
ワタシとしては、今までふたりのことを気に留めず、ひとりで突っ走ってしまっていたと反省しているので、ねぇねとおにぃの要望は何があってもかなえたいと思っています。
そんな、今日はちょっと勇み気味なワタシたち3人ですが、混んでると分かり切っている場所に喜んで突っ込んでいく程のバイタリティーがあるわけではないので、いつもと同じちょっと遅めの時間帯になってから、ハンターギルドに顔を出したのでした。
そんな感じで、ギルドのホールが閑散としてきた時間帯になって、掲示板の近くに来たワタシたち3人。
「どんな依頼うけるの?」
おにぃ「そうだな~、オレたち3人でもできそうなのある?」
ねぇね「えっと、こっちは町中での作業みたい」
「作業だと、ワタシがいると、邪魔かな?」
ねぇね「おチビちゃんが一緒じゃないと、私イヤ!」
おにぃ「それはそうだな。3人一緒じゃないと、ダメだよな」
ということで、いろいろ依頼内容を見てみますが、作業が主だったりするので、どうしてもおチビなワタシがいては足手まといになることが確実な依頼ばかりです。
(おチビなワタシには、普通の依頼は荷が重いです~)
(こうなったら、極力ワタシが邪魔にならないヤツを・・・)
(ワタシは戦力外でもいいから、足手まといにだけはならないヤツを・・・)
そんなことを思っていた時でした。
目の前の掲示板に、こんな依頼を見つけました。
依頼
依頼主:【マダムメアリーの薬店】店主 メアリー
依頼内容:以下の作業を以下の対価で依頼する
【裏庭の草刈り】50リル(対象面積は100平方メートル未満)
作業場所:【マダムメアリーの薬店 裏庭】
日時:随時(可能な限り早めにお願いします)
(これなら、座ってできるし、おチビなワタシでもなんとかなるかも)
ということで、早速ふたりに相談です。
「ねぇね、おにぃ、これ、裏庭の草刈りだって、どうかな?」
おにぃ「ん? 草刈り?」
「草刈りって、ずっと屈んだままでしょ? ワタシでもできると思う」
ねぇね「大丈夫? 足とか腰とか痛くなるかもしれないよ?」
「大丈夫大丈夫。ねぇねとおにぃが一緒だし、ちょちょいのチョイだよ、きっと」
おにぃ「それじゃあ、これ、受けてみるか」
ということで、ワタシたちの初普通の依頼は、草刈りに決まりました。
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