22 おすそ分け
Mノベルズ様より、書籍発売中です。
おにぃ「うんめぇ~、味が濃くてすんげぇ~うめぇ~」
ねぇね「あま~い。果物の香りがついてる蜜なんて、夢みた~い」
おにぃはビーフジャーキーをガジガジ。
ねぇねは小袋ジャムをペロペロ。
ワタシはそんなふたりの様子にニヨニヨ。
今の時刻はお昼を過ぎて夕方になる手前の頃。
3人ですごろくゲームをひとしきり楽しんだ後、いよいよねぇねとおにぃには、それぞれへのプレゼントをテイスティングしてもらっている、というわけなのです。
おにぃ「美味いけど、こんなにたくさん、食べきれないかもな~」
ねぇね「それはもったいないよ。こんなに美味しいのに」
「それじゃあ、ちょっとだけ、おすそ分けに行こうよ」
ねぇね「おすそ分け?」
おにぃ「だれにあげるんだ?」
「ワタシたちが、最近お世話になってるひとにだよ」
「「ああ!」」
ということで、やってまいりました、いつもの時間のガラガラなハンターギルドです。
まずは目的地第1号を目指して直進です。
「「「こんにちは~」」」
アイリーン「あら、『シュッセ』の3人さん、いらっしゃい。今日はどうしたの?」
ねぇね「あ、あの、今日は、おすそ分けに来ました」
アイリーン「おすそ分け?」
おにぃ「美味しいモノが手に入ったので、よかったら、食べてください」
「いろいろとお世話になっているお礼です」
ということで、いつもの受付のお姉さんことアイリーンさんに、ビーフジャーキー10袋と、ジャム小袋全種類2つずつ計20袋を渡します。
アイリーン「あら? 透明な袋に入っている・・・干し肉と、これはなにかしら?」
「この小さな袋に入っているのは、いろんな味のついた蜜です」
アイリーン「蜜なの? こんなにたくさん?」
ねぇね「甘くて美味しくて、幸せの味なんです」
アイリーン「そんな貴重なモノ、もらっちゃっていいのかしら?」
「ぜひ、もらってくださいな?」
アイリーン「そう? せっかくだから、いただくわね。わざわざありがとうね」
「「「どういたしまして!」」」
とうことで、目的の1つは無事コンプリート。
続いて目的地第2号を目指します。
マスター「おう、『シュッセ』。今日も食ってくのか?」
マスター「それとも、オレにもなにかくれるのか?」
この時間のハンターギルドあるある、『ホール中に話が筒抜けでござる』が発動してしまったようです。
でも、説明がはしょれるので、ある意味助かったりします。
おにぃ「そうです、よかったら、食べてください」
ということで、マスターさんにも、ビーフジャーキー10袋と、ジャム小袋全種類2つずつ計20袋を渡します。
マスター「見たことがねぇもんだな。だが、遠慮せずもらっとくぜ。ありがとよ」
「「「どういたしまして!」」」
「ついでと言ってはアレですけど、いつものヤツ、注文お願いします!」
マスター「ん? 日替わりか? 今日はトリの香草焼きだ。10リルいただくぜ」
おにぃ「これで、お願いします」
ねぇね「します」
そんな感じで、いつもの生活リズムに戻るワタシたち3人なのでした。
Mノベルズ様より、書籍発売中です。