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15 優しいお節介

Mノベルズ様より、書籍発売中です。


その後もねぇねとおにぃの魔法の自主練は続きました。

ワタシは途中でおねむになったので途中退場。

草むらの軽パコの中で、ひとりお昼寝なのでした。

そして時間は経過して、お昼を過ぎ、夕方よりはかなり早い時間帯。

最近ワタシたちがハンターギルドに出没する時間帯になりました。

そう、待望のお夕飯タイムです。

ちなみにワタシたち3人は、1日2食。

朝は無洗米をお粥のようにしてササっと食べ、夜にガッツリいただくのが最近の定番スタイルです。


お昼ご飯? なにそれおいしいの?

もちろん美味しいでしょう!


けど、そんなの一部の裕福な人だけの特権です。

一般庶民、特にワタシたちのようなスラム出身の底辺にとっては、お昼にお食事だなんて、夢のまた夢です。

まあ、今はお金はあるのでお昼ご飯を食べようと思えば食べられるんですが、変に目立つようなことはしたくありません。


(見るからにガリガリのガキンチョが、裕福層の特権である、お昼ご飯を食べていたら、絶対絡まれるよね?)


そんな事情もあったりするので、お夕飯はみんなの一大イベントだったりします。


「今ならすいてるからギルドに行こ~。そして食堂で、ご飯食べよ~!」


「「お~!」」


ということで、やってきましたギルドの食堂。

ハンターギルドのホール内は、今日もこの時間は閑散としていて、来訪者はワタシたちを入れても数人しか見当たりません。


マスター「よう、坊主ども。今日も食べてくのか?」


この時間は暇なのか、強面マスターがまたも直々にワタシたち3人をお出迎えです。


おにぃ「こ、こんにちは」


ねぇね「こんにちは」


マスター「おう!」


マスターに挨拶を返しつつ、カウンターの一番近くの丸テーブル、いつもの席に座ったワタシたち3人。

ここまでくればもう、ワタシたち3人は常連さんといっても過言ではないでしょう。

ということで、マスターさんに、ちょっと調子こいたお返事をしてみるワタシです。


「それじゃあマスターさん、いつものヤツ、お願いします!」


マスター「ん? いつものヤツ? ハハッ、それじゃ、料金前払いで10リルだ」


どうやらワタシの軽口はマスターさんに通じたようで、日替わり定食2人前の料金の請求がきました。


おにぃ「これで、お願いします」


マスター「丁度だな、それじゃちょっと待ってろ、すぐ持ってくるからな」


(ギルドでこんな気安いやり取りができるようになるなんて、数日前なら、考えもつかなかったよね~)


そんなことを考えている間に、あっという間にテーブルに並べられるワタシたち3人のお食事。

その直後、今日もちょっとだけガッツキ気味の夕食は、短時間かつ、無言で進められました。

欠食児丸出しのテーブルマナーは、まだまだ直せそうにないワタシたちなのでした。


お夕飯をペロっと平らげたワタシたち3人は、その場でちょっとしたブリーフィングをはじめました。


「ねぇね、おにぃ、ちょっとワタシのお話を聞いて欲しいの」


おにぃ「ん?」


ねぇね「なあに?」


「あのね、ワタシたち、今日も明日もその次の日も、朝、納品に行ったら、やることないでしょ?」


おにぃ「まあ、そうだな」


「それでね? 暇な時間、納品の後から夕方前ぐらいかな? やることを考えておこうよ」


ねぇね「やること?」


「そう。例えば、納品から帰ってきたら、ねぇねとおにぃは魔法の練習をするとか?」


おにぃ「おお! いいな、それ!」


ねぇね「私も今日みたいな魔法の練習、もっと頑張りたい!」


「でしょ? だからふたりは魔法の練習頑張ってね?」


ねぇね「おチビちゃんは? おチビちゃんはなにをするの?」


「ワタシは、お勉強をしたいの。文字の読み書き覚えたいの」


ねぇね「それなら、私が教えてあげる」


「でも、ねぇねは魔法の練習があるでしょ?」


ねぇね「そうだけど・・・」


「だから、どこかで教えてもらおうと思ってるんだ~」


そんな会話をしていると、


マスター「お前ら、それなら、ギルドの講習を受ければいいんじゃないか?」


ワタシたちのお話を盗み聞ぎしていた強面マスターが、会話に割って入ってきました。


ねぇね「!?」


おにぃ「ま、マスター!?」


「ギルドの講習?」


マスター「おう、ハンターギルドでは、いろいろな講習を受けられるぞ?」


「いろいろな講習?」


マスター「文字の読み書きから、剣や弓の扱い方、魔法の講習もあるぞ?」

マスター「まあ、有料だがな」


「読み書き!」


「「魔法!」」


マスター「どうだ? 興味あるか?」


「はい!」


「「あります!」」


マスター「ということだ。アイリーン、後は任せたぜ!」


マスターが、明らかにワタシたちを飛び越えてそう叫ぶと、


アイリーン「りょーかい。『シュッセ』3人さ~ん、こっちへいらっしゃ~い!」


いつもの窓口の受付のお姉さんが、笑顔でワタシたちを手招きしてくれていたのでした。


Mノベルズ様より、書籍発売中です。

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