14 おにぃの魔法
Mノベルズ様より、書籍発売中です。
ねぇねの次は、おにぃの番です。
「おにぃはどんな魔法が使えるの?」
おにぃ「オレは火魔法と、あと風が少し使える程度かな」
「火と風なの?」
おにぃ「まあ、風はそよ風程度で大したことできないけどな」
「そうなの? でも、いろいろ見せてね?」
おにぃ「ああ、いいぜ」
「それじゃあ、まず、火を見せて?」
「ここ広場だから、火が燃え広がる心配はないよね?」
おにぃ「そうだな。それじゃあ、ほいよ」
おにぃの指先から、小さな火が飛び出して、ロウソクの火のように揺らめいています。
おにぃ「お? なんだか調子がイイぞ? 全然疲れないや」
(ん? ねぇねに続いておにぃも調子がイイ?)
(やっぱり、最近栄養のある食事をしているからかな?)
「おにぃも凄いね! でもそれ、指先熱くないの?」
おにぃ「ああ。自分で出した魔法の火は熱くないから、大丈夫だぞ」
(へぇー、火魔法を使っている本人は熱くないんだ)
「凄いね! それじゃあ、その火を細く長く大きくすることはできる?」
おにぃ「ん? 細く長く? ん~ん」
・・・
おにぃ「こうか?」
ロウソクの火ぐらいだった小さな火が、野球のバットぐらいの大きさの火になりました。
「わぁ~! いい感じいい感じ。それで、その状態の火でも、おにぃは触れる?」
おにぃ「ああ。オレは熱くないから、触れるぞ」
「それじゃあ、持つことはできる?」
おにぃ「え? 持つ? 魔法の火を?」
「そうそう。やってみて」
おにぃ「わかった」
・・・
おにぃ「こんなんでいいのか?」
ワタシの目の前には、火でできたバットを両手で握りしめているおにぃがいます。
「凄い凄い! それを振り回せば、火でできた棒を振り回すのと同じだね?」
おにぃ「お? おお! そうだな!」
「魔法の火をもっと工夫すれば、火でできた剣を振り回せそうだね?」
おにぃ「火でできた剣、炎の剣・・・、すげぇ~!」
感動しているおにぃに、一旦、火のバットは消してもらい、更におにぃの火魔法を検証することにします。
「それじゃあ、今度は、火を浮かび上がらせたままにできる?」
おにぃ「ん? ん~ん」
・・・
おにぃ「こうか?」
ワタシの目の前に、ロウソクの火ぐらいの大きさの火がゆらゆらと浮遊しています。
「おにぃも火をいろいろ操れそうだね」
おにぃ「そ、そうかな?」
「いろいろやってみようよ」
おにぃ「おう、いいぜ」
「それじゃあ次は、その火を大きくできる?」
おにぃ「ん? ん~ん」
・・・
おにぃ「こうか?」
ロウソクの火ぐらいだったのが、バレーボールぐらいの大きさになりました。
「凄いね! それを風魔法で飛ばすことはできる?」
おにぃ「え? 風?」
「そう、風で火を飛ばせないかな?」
おにぃ「ん? ん~ん」
・・・
おにぃ「ダメだ。難しくてちょっとできそうにないな」
「そっか~」
(火と風で、ファイアーストームみたいなことできれば、カッコよかったんだけどな~)
「でも魔法はイメージが大切だって、どこかで聞いたことがあるような気がするし、どんどん練習すれば、いろいろできるようになるかもしれないよ!」
おにぃ「おう! いろいろやってみるよ!」
ちなみに、おにぃの風魔法は本当に微風しか出せないようで、ワタシの前髪がほんのちょっと揺らぐ程度でした。
(でもこれなら、温風ドライヤーぐらいなら実現できそうだよね~)
(ねぇねの水魔法でお洗濯をして、おにぃの温風魔法で乾かす、なんてことができたら便利だよね~)
自分では魔法が使えないワタシ。
他人のふんどしならぬ、他人の魔法で便利な生活を画策するワタシなのでした。
(ていうか、ワタシの言った通りに魔法を操るねぇねとおにぃって、何気に凄くない?) (^ー゜)ノ
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