12 初依頼達成とお金の管理
Mノベルズ様より、書籍発売中です。
30分もしないうちに、再度ハンターギルドの受付に戻ってきたワタシたち3人。
受付のお姉さんに訝しがられてしまいました。
受付嬢「あら? 『シュッセ』の3人じゃない。どうしたの? またなにか聞きたいことでも?」
おにぃ「違います。こ、これをお願いします」
そう言っておにぃが提出したのは、先ほどジョシュアさんから受け取った厚紙、納品報告書です。
受付嬢「え? もう終わったの?」
おにぃ「はい」
受付嬢「そう。それじゃあ、確認させてもらいますね?」
そう言って、受け取った納品報告書をチェックしはじめた受付のお姉さん。
おチビなワタシからはあまりよく見えませんが、ただ読むだけではなく、なにやらいろいろやっているみたいです。
(きっと、魔力証明付きかどうか、チェックしてるんだろうな~)
そんなことを思いながら、待つこと暫し。
受付嬢「依頼完了が確認されました」
受付嬢「初依頼達成ですね? おめでとうございます」
「「「ありがとうございます」」」
受付嬢「それでは報酬の支払い手続きに移りたいと思います」
おにぃ「お、お願いします」
受付嬢「まずは、控除金について説明しますね?」
ねぇね「コウジョキン?」
受付嬢「はい。報酬から引かれるお金のことです」
おにぃ「引かれる?」
受付嬢「はい。まずは、税金として、報酬額の1割が引かれます」
受付嬢「そしてハンターギルドの手数料として、報酬額の1割が引かれます」
受付嬢「合計で、報酬額の2割が引かれることになります」
ねぇね「2割・・・」
受付嬢「それで、残りを依頼達成金としてお支払いするのですけど、現金で受け取りますか?」
受付嬢「それとも預入にしますか?」
ねぇね「アズケイレ?」
受付嬢「現金を持ち歩くのが不安、という人のために、ハンターギルドがお金を預かる仕組みのことですね」
受付嬢「個人預入と、チーム預入の2種類あります」
「それって、例えば、チームと、個人3人、合計で4つに分けて預入することはできますか?」
受付嬢「大丈夫ですよ。ただ、チーム名で登録した預入から出金する場合、チーム構成員全員の立ち合いが必要になるので、その点だけ注意してくださいね?」
「わかりました。ありがとうございます」
「ということで、ねぇね、おにぃ、チームとねぇねとおにぃとワタシ、この4つに分けて、依頼のお金を預入したいと思うの。どうかな?」
ねぇね「え? なんでそんなことするの?」
おにぃ「訳わからね~」
「理由は、今後のため、かな?」
ねぇね「今後? 今まで通り一緒じゃダメなの?」
「もちろん、一緒のところは一緒だよ? だから、そこはチームの預入を使うの」
「それでね? これからは、個人で欲しいモノとか、いろいろ出てくると思うの」
「だからね? 将来のそういうのに備えて、今から個人で預入を持っておいた方がいいと思うの」
ねぇね「将来?」
「そう。未来の自分の為に、お金をためておくの。どうかな?」
おにぃ「よくわからないけど、オレはおチビの言うとおりでいいよ」
ねぇね「私もそれでいい」
「ということなので受付さん、4分割して預入で、お願いします」
「「お願いします」」
受付嬢「承りまいた。それでは、ギルド証をお預かりしますね?」
ということで、税金と手数料が引かれた依頼達成金11,120リル。
それを、チームと、ねぇねとおにぃとワタシの個人の4つに分けて預入、各々に2,780リルが分配されました。
ワタシたち3人の活動資金はチームから支払うことにして、今後しばらく個人の預入は手付かずのまま放置。
将来のイザという時のために貯めておくことにします。
そういえばと、受付のお姉さんを見上げるワタシ。
このお姉さん、ワタシたちが受けた依頼の名前とか、報酬の金額とか、一切口に出していませんでした。
(凄い! 情報の漏洩管理、ちゃんとしてるかも!)
(この受付のお姉さん、プロだね!)
(でもできれば昨日のアレも、どうにかしてほしかったけど・・・)
昨日、ワタシたちのチーム名がフロア全体に筒抜けだったことを思い出し、受付のお姉さんのメリハリのある? 情報管理に、ちょっと苦笑いなワタシなのでした。
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