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110/110

110 『ユービン』ギルドの幹部職員

Mノベルズ様より、書籍発売中です。


その後、いつものように夕方少し前にハンターギルドの食堂でお夕飯を食べて、ねぇねといっしょにお風呂に入ったワタシ。

後は寝るだけという状態になったのですが、今日はあと2回【想像創造】できることを思い出しました。


(そういえば、もうすぐ朝食用の【炊き込みご飯の素】がなくなっちゃうんだった)

(それに、お米もそろそろなくなりそうだったよね)


ということで、早速12回目と13回目の【想像創造】です。



【炊き込みご飯の素13品セット 2~3合用 地鶏、山菜五目、10種の具彩り五目、生姜あさり、焦がし醤油きのこ、鶏ごぼう、松茸、黒豚、バター鮭、九州かしわめし、駿河湾しらす、江戸前深川、九州あごだし五目 4,075円】



【無洗米 ミルキークイーン 千葉県産 有機肥料栽培 10kg 5,600円】



いろいろな味を楽しめる炊き込みご飯の素は前回と同じモノですが、お米は贅沢してみました。

いつも食べているコシヒカリの改良品種、その名もミルキークイーン。

お値段は高いけれど、ツヤと粘りがあって、冷めても固くならずにおいしかった、そんな前世の記憶があります。


(これで今よりもっと朝食を美味しくしちゃおう!)

(そして、おチビを克服しちゃうぞ~!) (=゜ω^=)


そう思った瞬間、いつものワタシのステータス画面が目の前に現れました。



 名前:アミ

 種族:人族

 性別:女

 年齢:5歳

 状態:発育不良 痩せ気味


 魔法:【なし】

 スキル:【想像創造】レベル14(14回/日 または、14倍1回/日)



いつものように、スキルのレベルアップをお知らせしてくれたみたいです。


(やった! 【想像創造】がレベル14になった!)


とりあえず、今日はあと1回、【想像創造】できるみたいです。


(あっ! 状態が【発育不良 痩せすぎ】から【発育不良 痩せ気味】に変わってる!)

(うんうん。イイ感じで健康になってるんじゃない?)

(よ~しっ。もっともっと栄養があるモノを食べて、大きくなっちゃうぞ~)

(目指せ! 健康優良児っ!)


ということなので、朝食をさらにおいしく栄養満点にしちゃうモノを追加で【想像創造】です。



【野菜たっぷり具だくさん とん汁 常温保存レトルト 豚肉・大根・じゃがいも・人参・玉ねぎ・牛蒡・ねぎ 信州みそ仕立て 230g 20袋 3,480円】



お米に合う、朝食の定番といったら、ワタシ的にはお味噌汁。

そのお味噌汁の中でも、具だくさんで栄養満点な【とん汁】のレトルトを【想像創造】してみました。


(手作りすると大変だけど、レトルトなら簡単だもんね)

(温めるだけでおいしく食べられるから、簡単便利で朝食にはもってこいだよね)


ということで、寝る前に明日の楽しみがまた一つ増えたワタシなのでした。

そして翌朝。

いつものようにねぇねとおにぃに魔法で調理をお願いして、いざ、実食です。


おにぃ「うんめぇ~、この肉入りスープ。スゲェ具だくさんで、朝から贅沢だなぁ~」

おにぃ「最初は変わった匂いと味でちょっとアレだったけど、慣れると美味しいな!」


ねぇね「うん。それにこの炊き込みご飯も、いつもよりしっとりしてる感じがして、前より美味しくなってる気がする」


【とん汁】のお味噌の風味は、はじめて食べるねぇねとおにぃには最初ちょっと抵抗があったみたいですが、すぐに慣れてしまったみたいです。

今は美味しそうに食べてくれていて、一安心なワタシです。

そして、炊き込みご飯が前より美味しいと言ってくれたねぇね。

お米の違いに気づいたのでしょうか。味覚が鋭いねぇねです。


「実はね? お米を変えてみたの」

「もっちりしていて粘り気が強くて、冷めてもおいしいんだ~」


おにぃ「へぇー。でもすぐ全部食べちゃうから、冷めても美味しいか確かめられないな」


ねぇね「ふふっ。そうだね」


おにぃ「もしかして、今朝はこのスープもあるし、炊き込みご飯は少し残した方がいいのか?」


「そんなことないよ。全部食べちゃっていいんだよ」

「今日は朝一で、お世話になっているひとにブレスレットを配るでしょ?」


おにぃ「そうだな」


ねぇね「うん。とっても楽しみ」


「だから、いつも以上にもりもり食べちゃお~!」 (゜o^)/


「「お~!」」


そんないつもより少し気合が入った朝食を終え、荷物をバッグに詰め込んだりしてお出かけの準備をしていると、いつもの優し気な声が聞こえてきました。


アイリーン「みんな~。おはよ~」


「「「おはよーございまーす」」」


アイリーン「元気そうで良かった~。昨日あの後、ずっと無口だったから心配だったの~」


「心配してくれて、ありがと~。でも、もう解決しそうなの」


アイリーン「そうなの?」


おにぃ「はい、オレ達でいろいろ考えてみました」


ねぇね「もう大丈夫です」


アイリーン「私にもできることがあったら、いつでも相談してね?」


「「「は~い」」」


そんなお言葉をいただいたので、早速アイリーンさんにワタシたちの今日の第一目標を伝えておくことにします。


「アイリーンさん、あのね? 今日はワタシたち、最初に【ジョシュア雑貨店】に行きたいの」


ねぇね「真っ先にジェーンさんに会いに行きたいんです。いいですか?」


アイリーン「もちろん。でもその前に、ちょっとギルドの受付に寄ってほしいんだけど、いいかしら?」


「は~い」


おにぃ「分かりました」


ねぇね「ました」


ということで、早速4人でハンターギルドの建物に入ったのですが、なんだかいつもと様子が違います。

そこには、お馴染みのハンターギルドの幹部職員のみなさんが勢ぞろいしていました。


支部長「おぉ、来たようじゃのぉ」


マスター「よぉ!」


ハンナ「おはようさん」


副支部長「おはようございます」


さらに、予想外の人物までもが整列してワタシたちをお迎えしてくれたのでした。


ジョシュア「おはよう君達!」


ジェーン「『シュッセ』のみんな、おはよう」


「え?」


おにぃ「どうして?」


ねぇね「何でここに?」


アイリーン「ふふっ。『シュッセ』みんなを驚かせようと思って、ずっと黙っていたんだけど」

アイリーン「実はね? ジョシュアさんとジェーンさんには、『ユービン』ギルドの幹部職員になってもらったのよ?」


「「「え~?」」」


アイリーンさんの説明によると、新設された『ユービン』ギルドは、当面はハンターギルドオーレリア支部の職員が兼任する形で運営するそうなのですが、ハンターギルドの王都本部とは手を切る予定なので、王都本部から派遣されている職員は王都にお帰りいただくことになり、その分の人手が足りなくなってしまったみたいです。

そこで目を付けたのが、『ユービン』ギルドのオーナーであるワタシたち『シュッセ』が足繁く通っている【ジョシュア雑貨店】のご夫婦。

このご夫婦なら商売の知識や接客接遇も問題ないし、即戦力になってくれること請け合い、なによりワタシたち『シュッセ』が信頼しているということで、『ユービン』ギルドの幹部職員として勧誘した、ということのようです。


アイリーン「今まで内緒にしていて、ごめんなさいね」


マスター「どうだ! 驚いただろ?」 (`ー´〃)


悪戯が成功したとばかりにドヤ顔を決めるマスターさんはスルーすることにして、当のご本人さん、ジョシュアさんとジェーンさんに向き合います。


「ジョシュアさんとジェーンさんは、いいんですか? お店はどうするんですか?」


ジョシュア「実は最近、夫婦2人での商売に限界というか、閉塞感みたいなのを感じていたんだよ」

ジョシュア「そんなときに、『ユービン』ギルドのお話を貰ってね?」

ジョシュア「『ユービン』ギルドは商品の小売も大口への卸もするということだし、今まで以上に手広く商いができそうだと聞いたんだ」

ジョシュア「これはまたとないチャンスなんじゃないかと思えて、2人で相談して決めたんだよ」


ジェーン「お店をたたむのは残念な気もするけど、この人の瞳が、今までで一番輝いていたからね」

ジェーン「まあ、私としては、この人と一緒に商いができるなら、どこでも構わないのさ」


ちょっと頬を染めながらお返事をしてくれたジェーンさん。

意外や意外、最後はちょっと甘い雰囲気のお話になってしまいました。


(おぉ~、見た目は肝っ玉母さん風のジェーンさんにそんな一面がっ!) (゜Д゜)


ワタシがジェーンさんの予想外の言葉に驚いて、どう切り返そうか困っていると、昨日から一番張り切っていたねぇねがワタシの代わりに会話をはじめてくれました。


ねぇね「あ、あの、私たち、これを用意してきました」


そう言って、ねぇねがジェーンさんに【琥珀のブレスレット】を差し出します。


ジェーン「ん? これは?」


ねぇね「これは、仲間の証です」


ジェーン「仲間の?」


ねぇね「はい。大切な人にだけに渡す、特別な腕輪なんです」

ねぇね「私たちも着けるので、ジェーンさんにも着けてほしいです!」


おにぃ「ジョシュアさんにもあります」


ジョシュア「私にも?」


ついでなので、ワタシはハンターギルドの幹部職員のみなさんにもお話を振っておくことにします。


「あのね? アイリーンさんとマスターさんとハンナさんと副支部長さんと支部長さんの分もあるの」

「お世話になっているみなさんに、ワタシたちと同じモノを身に着けていてほしいの」


ハンナ「私たちにもかい?」


副支部長「よろしいのですか?」


アイリーン「キレイな石の腕輪ね~♪」


マスター「また高そうな装飾品じゃねぇか」


支部長「ふむ。この宝石には、何か特別な意味があるんかのぉ?」


おじいちゃん支部長さんからの『よくぞ聞いてくれました』と言いたくなるような問いかけに、すかさずねぇねがお返事です。


ねぇね「はい。これはおチビちゃんが用意してくれた、『はちみつ』色の、私たちの色の腕輪なんです」


ジェーン「本当に『はちみつ』の色をしてるねぇ」

ジェーン「そういえば、あんたたちが急に変わったのは、『はちみつ』がきっかけだったね?」

ジェーン「そう思うと、何だか感慨深いねぇ・・・」


ねぇね「あ、あのっ。私がジェーンさんの腕に、着けていいですか?」


ジェーン「いいのかい? 何だか嬉しいねぇ」


ねぇね「はい!」


ニコニコ笑顔でジェーンさんの右手首に【琥珀のブレスレット】を通しているねぇね。

すると、今度はおにぃがジョシュアさんに提案します。


おにぃ「それじゃ、ジョシュアさんには、オレが着けさせてください」


ジョシュア「ありがとう。そうしてくれるかい?」


とっても良い雰囲気でセレモニーっぽくブレスレットの受け渡しをしているねぇねとおにぃ、そしてジョシュアさんとジェーンさん。


ジェーン「今度は私が着けてあげるよ」


ジョシュア「それじゃあ、私も」


ねぇね「嬉しいです!」


おにぃ「ありがとうございます」


ねぇねはジェーンさんからお返しとばかりにブレスレットを着けてもらって、キラキラ笑顔になっています。

おにぃも同様にジョシュアさんに着けてもらって、うれしそうにしています。


そんなほほえましい光景を目に焼き付けていたら、ワタシの前にアイリーンさんたちハンターギルドの幹部のみなさんが並びはじめました。


アイリーン「私にはおチビちゃんが着けてね?」


マスター「オレも頼むぜ? 何だかあっちには頼み辛そうだからなぁ」


ハンナ「向こうは邪魔しちゃ悪そうだしね?」


副支部長「よろしくお願いしますね?」


支部長「ワシも頼もうかの?」


「うん。まかせて~」 (゜v^)/


ジョシュアさんとジェーンさんのおふたりと、お仕事での繋がりがなくなってしまったと思っていたら、まさかのサプライズで『ユービン』ギルドでいっしょにいられることになりました。

そんなうれしいドッキリをお膳立てしてくれたハンターギルドの幹部のみなさんには、本当にお世話になりっぱなしです。


おチビなワタシを気遣って、ちょっと屈みながら右腕を差し出してくれるハンターギルドの幹部のみなさん。

そんなみなさんにニコニコと笑顔を振りまきながら、ワタシたち3人の色、『はちみつ』色の【ブレスレット】を、日頃からのお礼と感謝の『ありがとう』と共に、ひとりひとりに着けていくワタシなのでした。


なろう版の『異世界のおチビちゃん』について


なろう版の『異世界のおチビちゃん』は、書籍化する際にWeb版(カクヨム掲載)を元に加筆修正した、手直しバージョンです。

(書籍版はこの手直しバージョンを元に、更に修正を加えています)

2024/1月現在、書籍は1・2巻まで販売中ですが、3巻分の加筆修正は完了できていない状況です。

よって、なろう版の『異世界のおチビちゃん』は110話で一旦休止させていただきます。

なろう版の『異世界のおチビちゃん』の再開は、2024/5月以降になる予定です。


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