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109/110

109 繋がりを求めて

Mノベルズ様より、書籍発売中です。


【ジョシュア雑貨店】からの『はちみつ』と『石鹸』の常設依頼が終了したと聞かされたワタシは、その後のことはよく覚えていません。

きっとマスターさんが送ってくれたのでしょう、気づいたときには、ワタシたちのお家に戻っていました。

それはねぇねとおにぃも同じだったようで、結局お昼過ぎまでそのままなにもせずにボーっとして過ごしたワタシたち3人。

完全に無気力状態です。


(はぁ~。【ジョシュア雑貨店】の納品のお仕事、なくなっちゃったのか・・・)

(ワタシたち3人のハンターとしての最初のお仕事・・・)

(スラムを抜け出すチャンスをくれた、大切な恩人との接点・・・)

(ワタシにとって、ワタシたち3人にとって、あの常設依頼は、かけがえのないものだったのに・・・)

(なんだかお胸にポッカリ穴が開いたみたいで、なにも考えられないや・・・) (-_-)


そんなことを思っていたら、ポツリとつぶやく声が聞こえてきました。


ねぇね「寂しい・・・」


おにぃ「あぁ・・・」


「そうだね・・・」


ねぇね「ねえ、おチビちゃん。あのね? 私たち、何かできないかな」

ねぇね「あの常設依頼が終わっちゃって、このままだとジェーンさんとの関係もなくなっちゃいそうで、何だかとても不安なの」


おにぃ「オレも、【ジョシュア雑貨店】の2人とは、ずっと繋がっていたいと、そう思う・・・」


「うん。ジョシュアさんとジェーンさんと、このまま無関係になっちゃうのは、ワタシもイヤ」


ということで、普段とは違い、熱い議論をはじめたワタシたち3人。

けれども、今までどおりになるような良いプランは出てきません。

お仕事で繋がりがなくなっても、何か別の方法がないか考えてみましたが、子供のワタシたちではあまり良い案は出てきませんでした。


「う~ん。とりあえず、【ジョシュア雑貨店】へ毎日お買い物に行く?」


おにぃ「まあ、それもひとつの手だよな」


ワタシとおにぃがジョシュアさんとジェーンさんに会いに行く口実を語っていると、ねぇねから視点の違う意見が出てきました。


ねぇね「私ね、できればジェーンさんに私たちとお揃いのモノを渡したいの」

ねぇね「みんなで同じモノを身に着けていたいの」

ねぇね「毎日目にするたびに、ずっと一緒だって、そう思えるようにしたいの」


直接会わなくても繋がりを感じられるような、何か特別なお揃いのモノが欲しい、そういうことみたいです。


「それイイね! 何だか『仲間』って感じがするね!」


おにぃ「カッコいいし、オレもいいと思う」

おにぃ「でもどうせなら、もう少し人を増やさないか?」

おにぃ「ジョシュアさんとジェーンさんだけじゃなくてさ、他にもお世話になっている人、ほどほどいるだろ?」

おにぃ「だからさ、その人たちにも、同じように渡さないか?」


「賛成~」


ねぇね「うん。私も、そうしたい」


おにぃ「それじゃあ、大人も子供も男も女も関係なく、身に着けられるモノにしないとだな」


ねぇね「それでね。できれば、私たちらしいというか、そういう意味があるモノにしたいの」


「う~ん。それなら――」


そんな感じで、その日の午後のワタシたち3人は、いつもよりちょっと真剣な会議を続けました。

しばらく議論した結果、身に着けていてもあまり邪魔にならず、年齢性別関係なく身に着けられそうということで、ブレスレットを用意することに決まりました。

そしてここまで決まれば、後はワタシの独壇場です。


(ワタシたちらしいブレスレットか~、それなら、アレを、【想像創造】!)



【天然琥珀ブレスレット オレンジゴールド Sランク オーバル11×14ミリ玉 原産地:リトアニア共和国 伸縮性シリコン糸 49,720円】×10 497,200円



ワタシが本日11回目の【想像創造】で創り出したモノは、天然琥珀でできたブレスレット。

楕円形の琥珀が16個、伸縮性のある丈夫なひもで繋げられていて、デザインも色も落ち着いています。

そしてその色なのですが、ワタシたちらしいモノということで、ワタシたちがスラムを抜け出せるきっかけになった、【ジョシュア雑貨店】との最初の繋がりの『はちみつ』の色を意識してみました。


「じゃじゃーん! どう? これ『はちみつ』の色に似てるでしょ?」 \(*゜∀゜*)/

「ワタシたちらしいといったら『はちみつ』だと思ったんだけど、どうかな? イイ色でしょ?」


おにぃ「おぉ~、本当に『はちみつ』みたいな色してるな~」

おにぃ「うん、これなら男の人でも女の人でも、着けてもらえそうだな」


ねぇね「ジェーンさんに買い取ってもらった『はちみつ』・・・」

ねぇね「今の私たちの出発点の『はちみつ』・・・」

ねぇね「その色をした腕輪・・・、ステキっ!」


「早速明日、お世話になっているみんなに渡そうね?」


ねぇね「うん。でもね、ひとつだけお願いがあるの」


「なぁに?」


ねぇね「あのね、最初は、最初に渡すのは、ジェーンさんとジョシュアさんにしたいの」

ねぇね「そしてそのとき、ワタシたち3にも一緒に、5人で同時に身に着けたいの」


「もちろんいいよ!」


おにぃ「あぁ。オレもその気持ち、よく分かるよ」


ねぇね「ありがとう!」


【ジョシュア雑貨店】からの常設依頼がなくなったと聞いて呆然としていたのが嘘のように、明日が楽しみでワクワク笑顔になったワタシたち3人なのでした。


Mノベルズ様より、書籍発売中です。

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