102 アリスちゃんへのお礼と驚きの報告
Mノベルズ様より、書籍発売中です。
大好きなねぇねとのスキンシップを満喫して気分が良くなったワタシは、今回の騒動『ねぇねとおにぃを偉そうなおじさんから救え!』大作戦の陰の功労者、そう、コッソリこそこそ【トランシーバー】でビーちゃん様に実況生中継してくれていたアリスちゃんに、ステキななにかをプレゼントしようと思い立ちます。
「アリスちゃん、アリスちゃん。今日は【トランシーバー】でビーちゃん様に報告してくれて、ありがとう」
アリス「ん~ん。私はただ、隠れて【トランシーバー】のボタンを押してただけだし・・・」
アリス「私、怖くて、それぐらいしかできなくて、自分が情けなくなっちゃう・・・」
「そんなことないよ! アリスちゃんのおかげで、あの偉そうなおじさんをやっつけられたんだもん」
「アリスちゃんはね? アリスちゃんができること、アリスちゃんにしかできないことをやってくれたんだよ?」
「むしろ、機転が利いて、すごいと思うな~」
アリス「そ、そうかな。そうなら、うれしいな~」
「うん。それでね? アリスちゃんにお礼をしたいんだけど、なにかほしいモノある?」
アリス「お礼? そんな・・・」
「いいのいいの。なんでも言ってみて?」
メアリー「おやおや。アリスにお礼をしてくれるのかい?」
メアリー「それなら、アレを貰えばいいじゃないかぃ」
メアリー「前から欲しがっていただろう? あの何と言ったか、眩しくて、一瞬で『シャッシン』を描く・・・」
「もしかして、【カメラ】のこと?」
メアリー「そうそう、それさね。前にたくさん『シャッシン』を置いていってくれたろぉ?」
メアリー「アリスはあれから毎晩、楽しそうに『シャッシン』を眺めていてねぇ」
メアリー「それで時々、また『シャッシン』したいなぁ~、何て独り言が聞こえてくるんだよ」
アリス「お、お、おばあちゃんっ!」 ∠(●゜д゜●)/
顔を赤らめて、ちょっと涙目でメアリーさんに抗議の眼差しを送るアリスちゃん。
メアリーさんに見られていたことが恥ずかしいのか、それとも、ワタシたちにばらされたのが恥ずかしいのか、終いにはお顔を手で覆い隠してしまいました。
「アリスちゃん、【カメラ】で写真が撮りたかったの?」
アリス「う、うん・・・」
アリス「キレイな風景を切り取っておいて、いつでも好きな時に見ることができるし・・・」
アリス「それに、大切な人との思い出を、残しておけるだろうし・・・」
メアリー「アリス、お前・・・」
(大切なひと? それって、メアリーさんのことだよね?)
今までアリスちゃんのご家族、特にご両親については聞いたことがありませんでしたが、アリスちゃんとメアリーさんの今までの様子からして、おそらくそういうことなのでしょう。
ご両親がいないアリスちゃんにとって、ご高齢のメアリーさんだけが、たぶん、たったひとりの家族のはずです。
大切な家族との思い出を、できるだけたくさん残しておきたい、アリスちゃんはきっと、そう思っているのではないでしょうか。
ワタシは自分の両親がどこの誰なのか全く知りませんし、顔すら思い出せません。
所縁の品といったモノもなく、記憶としても形としても、両親との思い出はなにも持ち合わせていません。
『思い出を目に見える形で残しておきたい』
両親との思い出がなにもないおチビなワタシだからこそ、大切な家族の『写真』を残しておきたいというアリスちゃんの気持ちは、十分すぎるくらい理解できてしまうのです。
(家族思いのアリスちゃんのために、今のワタシにできることは、これくらい!)
ということで、本日4、5、6、7回目の【想像創造】連続発動です。
【高機能コンパクトデジタルカメラ サニー α Eマウント APS-Cサイズ (23.5×15.6 mm)、Exmor CMOSセンサー カメラ有効画素数:約2420万画素 総画素数:約2500万画素 質量:約343g 87,500円】
【SDカード 32GB Class10 UHS-II SDHCカード 3,680円】×100 368,000円
【デジタルフォトフレーム 10インチ(25×19cm) 16GB内蔵メモリー 充電式 IPSタッチスクリーン 写真/動画/音楽再生 SDカード/USBメモリー対応 18,100円】
【100W ソーラーパネル ソーラーパネル材料:単結晶シリコン ソーラーパネル電圧:100W USB出力:5V USBポートの数:2 サイズ:54*28cm 電圧:12V/24V自動識別 定格充電電流:60A/50A/40A/30A/20A/10A 定格放電電流:20A/10A 最大の太陽光発電電圧:12V システムUSB出力:2 USB出力最大5V/2A 7,380円】×2 14,760円
動画も録画可能な高性能かつ軽量の【デジタルカメラ】と、思い出を小分けにしてたくさん残せるように、【メモリーカード】も100個創り出しました。
そして、撮った写真や動画を見るための、【デジタルフォトフレーム】(デジタル写真を見る写真立て)もご用意しました。
最後に、この【デジカメ】と【デジタルフォトフレーム】を使うためにはなくてはならない存在、そう、それは電気、ということで、充電用の【小型ソーラーパネル】も一緒に【想像創造】です。
マスター「うぉ? 何だか細々としたものがたくさん出て来やがったぞ?」
アイリーン「形は違うけど、もしかしてこれも【カメラ】なのかしら?」
おにぃ「おチビが出したモノにしては、何だか小さいモノばかりだな」
ワタシが創り出したモノに興味津々のみなさん。
ワタシが開封作業をはじめると、質問やら感想やらが飛び交いはじめました。
「そうで~す。これも【カメラ】で~す」
「でもこれはね? 【デジタルカメラ】と言ってね? 紙じゃなくて、この【フォトフレーム】で写真を見るの」
「しかもこれはね? 動画も撮影できるんだ~」
アリス「『どうが』?」
「そうなの。動く画像で、動画なの」
アイリーン「え? 動く絵をとっておくことができるの?」
「そうで~す。今から実際にワタシが撮ってみるね?」
論より証拠ということで、まずは撮影してみることにします。
マスター「動く絵だぁ? 本当にそんなことができるのか?」
メアリー「古代魔法文明のアーティファクトに、そんな水晶球があるって聞いた気がするけど、にわかには信じられないねぇ」
そんな訝しげなみなさんに納得してもらうべく、とにかく百聞は一見に如かず、撮影した動画をデジカメに内蔵されている液晶画面で再生スタートです。
「はい! これ、見て見て!」
マスター「何だこりゃ! もしかして、この小さく映ってるのは、オレ達なのか?」
アイリーン「絵が動いてる! しかもこれ、私?」
メアリー「ほぉ~、こりゃたまげた! 本当に絵が動いとるねぇ。動画とはよく言ったもんだねぇ」
「これはね、本当は音も撮れてるんだよ?」
「この【デジタルフォトフレーム】を使えば、みんなの声も聞けるんだよ?」
そう説明しつつ、ワタシが10インチ液晶画面の【デジタルフォトフレーム】の包装を解いていると、耳を疑う驚きの言葉が聞こえてきました。
ねぇね「あっ! それ知ってる! その黒い板の『すまほ』、お里で見たことがある!」
「え? ねぇね、今、なんて?」
ねぇね「その黒い板ね、昔見たことがあるの。御使い様の持ち物で、確か『すまほ』って言うんでしょ?」
(この【デジタルフォトフレーム】は小型で薄いから、たしかに【スマホ】に似てるけど・・・)
「【スマホ】!? ねぇね、【スマホ】を見たことがあるの?」
ねぇね「うん。真っ黒でちょっと光沢があって、いろいろな予言を見ることができる魔道具なんでしょ?」
ねぇね「お里にいたとき、お社に祀られていたのをお母さんといっしょに見たことがあるの」
ねぇね「前の御使い様が使っていた聖遺品の中でも、一番大切なモノなんだって」
ねぇねから、驚きの報告を聞いてしまいました。
まさかこの世界で、【スマホ】という単語を自分以外の口から聞くとは思いもしませんでした。
しかもそれが、最も身近な存在の、ねぇねのお口からだとは。
(これはもしかしなくても、前の御使い様は、ワタシの前世と同じところから来たひとだよね?)
(それってつまりは、前の御使い様は、ワタシと御同輩!?)
(たしかめたい! ねぇねのお里に行って、【スマホ】の実物を見てみたい!)
俄然、ねぇねの故郷が気になりはじめたワタシ。
『天恵の里』とやらの場所を突き止めて、是が非でもねぇねの里帰りを実行したくなったワタシなのでした。
Mノベルズ様より、書籍発売中です。