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人の灯りが消えた世界で  作者: 糸間 ゆう
第二試練 白亜ノ塔
89/208

第二試練39 18階 格闘の間

18階 格闘の間

《より多く撃破した者 時間解凍+1》


「九装、なんで【蟻】の方を選択したんだ?」


四方を金網で囲まれたリングの中で明音先輩がボクサーのような構えをしている。

明音先輩の前には白いマネキンが立っていて、同じくボクサーのように両腕を胸の前で構えていた。


「なんでとは随分な言い方じゃないかい」

「お前は【馬】の方をを選ぶんじゃないかと思ってたんだけど」


白いマネキンがどうやって動いているかわからないが、関節や腕の動き、わずかな呼吸も含め精巧につくられている。リングの外から見る動きは人間そのものだが、いかんせん全身が真っ白いのと、顔も輪郭があるだけに犬神家のすけきよみたいでちょっと怖い。


「それは無いよ。私は試練の進行に対して一番メリットがある方を選択する。【馬】の選択肢はいわば自分の保身のためのものだ。あれを選ぶ人間は心が弱い者だけさ」

「お前の交友深度は相変わらずだけどな」

「それは言わないでくれたまえよ」


マネキンが軽やかに身体を揺らし、明音との距離を詰める。

足の運びだしが呼吸の間を狙われ、動きが一瞬送れる。


マネキンが左腕でジャブを放ち明音のガードを頭まで上げさせる。

視界が悪くなったところで、ジャブから右腕のストレートに切り替え空いた鳩尾めがけて強打を放つ。


明音はすんでのところで後方へ飛びのく。僅かにお腹に衝撃を残しつつ、マネキンの右腕は空を打つ。

が、その勢いのまま今度は右足を軸に身体を反転。明音の額目掛けて左足で回し蹴りを放つ。

以前ゴブリンとの戦いで見せた明音の動きにどことなく似ている。


回転の重みも加わった蹴りを今度は上半身を屈めてギリギリで躱す。

同時に大きく開いたマネキンの懐まで一気に潜り、白い顎に向けて大きくアッパーカットを繰り出す。


マネキンは身体をのけぞらせ,そのままリングの上に倒れる。

脳みそが揺れているのかーーマネキンに脳みそがあるとは思えないがーー身体は僅かに痙攣させていて立つことができない。


10カウントのコールが階層全体に響く。

リングの横で固唾を飲んで見守っていた伊扇が明音先輩へタオルを差し出す。

荒い呼吸を整えつつ、明音は右腕を天井へ掲げて勝利のガッツポーズをする。


「どうやら終わったようだね」

「結局明音先輩が5体とも倒しちゃったな」

「最後の試合は素晴らしかったよ。興行で人を呼べるレベルじゃないかな」


マネキン五体との連戦を明音先輩一人で倒しきってしまった。

特にやることがなくて、とても楽だ。


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