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人の灯りが消えた世界で  作者: 糸間 ゆう
第二試練 白亜ノ塔
85/205

第二試練35 14階 居間

「あんたたち何してるの?」

「明音先輩、すみません、お待たせしました」

「えとえと、秋灯さんが先に行っちゃうからですぅ」


階段の先の床に倒れこむ秋灯。

背中には伊扇がしがみついて、一緒になって倒れている。


「ほら、じゃれあってないでこれ見なさい」


視界の先に、お馴染みの白い石碑が置かれ、そこに大きく《居間》と刻まれている。

また、その後ろには古民家の玄関のような光景。

靴を脱ぐための広い土間とそこから一段高く延びている床。

床の先にはガラスの引き戸が設けられ,中は大きな和室が広がっている。


14階 居間

《12時間団らんすること》


石碑の説明書きからは、この階層に半日滞在しなければいないらしい。


「とりあえず中に入るわよ」


玄関で靴を脱いでから中の和室に入る.

大体20畳近くある広い室内.部屋の中央に座布団や円形のちゃぶ台,座椅子が置かれていた.

奥には台所らしき場所とその奥に扉が続いている.また和室の隅には謎なダンボールが二、三箱積まれていた.


「ここで団欒しろってこと?」

「団欒の定義がよくわからないですけど。ここで半日過ごさなければいけないみたいですね」


秋灯と伊扇は正直有難いと思った。


「時間もあるみたいなんで,先に時間解凍の残りの回数と交友深度の整理でもしますか」

「あんた体調はもういいの?」

「大丈夫です、問題ないです」


気持ち悪さは残っているが、座っていられる。

平衡感覚はまだ終わっている気がするが、頭は普段と特に変わらない。


古民家の奥を物色していた九装も戻ってきたのでちゃぶ台の周りに座りreデバイスの画面を確認しだす.


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


デバイス所有者:九装煉華 ※九装が三人に向けられている交友深度。

■鐘ヶ江秋灯 ーーーーー      20→23→30%

■白峰明音  ーーー        7→14→14% ※変化なし

■伊扇風穂野 ーー          5→7→16%


※九装が三人に向けている交友深度 三人の画面に映し出されている

■鐘ヶ江秋灯 ーーーーー      20→24→36%

■白峰明音  ーーー        8→13→14%  ※ほぼ変化なし

■伊扇風穂野 ーー          15→18→22%



■特典の詳細

40%の交友深度を一人から向けられる:「時間解凍数 +2回」「食料セット」「寝床セット」

50%の交友深度を一人から向けられる:「時間解凍数 +3回」「豪華食料セット」「豪華寝床セット」「歓待の間利用券」


初期数値から交友深度が20増加する:「時間解凍数 +1」「食料セット」「寝床セット」

初期数値から交友深度が30増加する:「時間解凍数 +2」「豪華食料セット」「豪華寝床セット」「歓待の間利用券」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


13階の課題で村人全員を助けることができたため課題のペナルティーー死んだ者一人につき時間解凍−1ーーは特になかった。それでも、上に登るための扉はいつものように時間が止まっていたため明音先輩が時間解凍を使用した。

これまでも各階で何度か時間解凍を使ってきたので、明音先輩の回数がゼロになってしまった。


「そろそろ特典を使っておきますか」

「そうね。えっと、《40%の交友深度を一人から向けられる》分を使うわね」


明音先輩の場合,《40%の交友深度を一人から向けられる》を2回《50%の友好深度を一人から向けられる》を2回残していることになる。


明音先輩がデバイスを操作し、特典の欄を選択する.

《あなたは,鐘ヶ江秋灯から40%の友好深度を向けられました.以下の特典を使用可能です.》

《時間解凍数 +2回》,《食料セット》,《寝床セット》


「時間解凍でいいわよね」

「はい、お願いします」

「食料セットに興味がありますぅ」


伊扇が何かぼやいているが、《時間解凍回数+2回》のボタンを押す明音先輩。

画面が切り替わり、時間解凍の表示が0回から2回に増えている.

解凍券のように,紙として現れるのではなくreデバイス上で完結するみたいだ.

明音先輩の手つきが若干怪しかったので見守っていたが,無事に解凍回数を増やせられた.


「それにしても九装,まだ特典使えないのか」


白亜の塔に入ってから一週間。

これまでだいぶ一緒にいるが、九装の好感度の数値では特典をまだ満たせていない。


「いやぁこれでもだいぶ上がった方だと思うんだけど・・すまないねぇ」


九装と一番交友深度が高いのが秋灯。

女性陣二人、伊扇は元々親しくなるのに時間がかかるとしても,明音先輩の数値が増えていない。

下の階では何度か険悪な雰囲気になっていたが、下がっていないだけましかもしれない。


「九装、一応確認なんだけど・・・・・・男色じゃない、ですよね?」

「そ,そんなわけがないだろ。秋灯の数値は確かに増えているけど、これは単純に先に知り合っていただけで」


秋灯のちょっとした疑念に対し、大きく動揺する九装。

そこまでムキになって反論してくると逆に不安になる。


「えとえと,これから九装ちゃん?と呼んだ方がいいのでしょうか?」

「伊扇嬢。それは大変な誤解をしている。秋灯の戯言を鵜呑みにしなくていい」

「九装君・・じゃなくて九装ちゃん.私は性的嗜好は人それぞれ多様性があるものだと理解しているわ」

「白峰嬢もちょっと混乱しているようだね.君からそんな難しい言葉を聞くとは」


九装が必死に弁解するが取り乱せば取り乱すほど、女性陣二人が温かみのある眼差しを向けてくる.

明音先輩が九装の肩を優しく叩き、伊扇が深くうなづいている.

二人ともまさか本気にしてはいないと思うが、九装の狼狽えている姿は見ていて面白い。


「秋灯、いい加減君から何か言ってくれ!」

「いいんだ九装。これまでわかってやれなくてすまない。ただ、俺はお前の好意を受け取るわけには、、」


悪ノリを続ける秋灯の言葉にわなわなと震えだす。

そういえば九装は意外といじられる耐性がないんだった。


「私は!決して男色ではない!ちゃんと女性が好みだ!」


立ち上がり、強く宣言する.

ゴブリンに相対した時も余裕を見せていたのに、今の九装から必死さしか感じない.


「すまんすまん.悪ノリが過ぎたよ.でもこれで少しは仲良くなれたんじゃないか?」

「いつもそれで誤魔化せると思わないでくれ・・・少なくとも私が君たちに向ける数値は下がったと思うんだけど」


不貞腐れたように言葉を返すが、これまでで一番年相応に感じられた。

その後、律儀に話し合いを終えてから、九装は部屋の隅で横になった。

口をへの字に曲げ、どこから持ってきたのか毛布に包まっている。


「二人ともあんまり九装をいじめてはダメですよ」

「最初に始めたのは秋灯でしょ」

「いつもの九装さんより子供っぽくて面白かったです」


何気に伊扇がひどい気がするが、親近感が湧いたのでよしとしよう.

焚き火の前でシリアスな雰囲気を纏っていた九装より、今の方がよっぽど好感を持てると秋灯は思った.


7階 束の間    0

8階 歌唱の間   +1-1-1

9階 迷路の間   +1-1-1

10階 警泥の間   +1-1

11階 双六の間 +1-1-2

12階 密林の間   +1-1-1

13階 防衛の間   −1


鐘ヶ江秋灯 時間解凍回数 残り1回   解凍券保有数0

白峰明音  時間解凍回数 残り0回  解凍券保有数0

伊扇風穂野 時間解凍回数 残り1回  解凍券保有数0

九装煉華  時間解凍回数 残り1回  解凍券保有数1

※解凍券は基本獲得した階の扉を開けるために使っている。


デバイス所有者:九装煉華 ※九装が三人に向けられている交友深度。

■鐘ヶ江秋灯 ーーーーー      20→23→30%

■白峰明音  ーーー        7→14→14% ※変化なし

■伊扇風穂野 ーー          5→7→16%


※九装が三人に向けている交友深度 三人の画面に映し出されている

■鐘ヶ江秋灯 ーーーーー      20→24→36%

■白峰明音  ーーー        8→13→14%  ※ほぼ変化なし

■伊扇風穂野 ーー          15→18→22%


■特典の詳細

40%の交友深度を一人から向けられる:「時間解凍数 +2回」「食料セット」「寝床セット」

50%の交友深度を一人から向けられる:「時間解凍数 +3回」「豪華食料セット」「豪華寝床セット」「歓待の間利用券」


初期数値から交友深度が20増加する:「時間解凍数 +1」「食料セット」「寝床セット」

初期数値から交友深度が30増加する:「時間解凍数 +2」「豪華食料セット」「豪華寝床セット」「歓待の間利用券」

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