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人の灯りが消えた世界で  作者: 糸間 ゆう
第二試練 白亜ノ塔
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第二試練9 九装こそこそ話


「これは・・・」


座禅を組んで祈るように手のひらを合わせている人体の彫像。

鍵がないか周りを探していたが、触れてみると感触がおかしかった。

時間が止まった物はもっと硬く冷たい感じがするが、この彫像にはそれを感じなかった。


九装はペタペタと彫像に触れていく。

掌を合わせている部分に触れるが他よりも柔らかい。

彫像の指先はゴムのような材質で力を加えれば曲げることができた。


力を入れ、指先をあらぬ方向へ曲げる。

手の中を確認するが、短冊のような一枚の紙切れが入っていた。


「時間解凍回数 +1回券。・・・なんだいこれは?」


達筆な文字で時間解凍の文言が書かれている。

九装は後ろを振り返り、別の彫像を探索中の明音の位置を確認する。


ちょうどボディビルダーのようなムキムキの筋肉を持つ彫像に蹴りを入れている。

今ならこちらには気づいていない。


一瞬迷うが九装は紙切れをポケットの中に入れた。


九装の時間解凍回数は秋灯たちと違いたったの三回しかない。

規定では個人の解凍回数がゼロになっても試練に敗退することは無いみたいだが、それでもチーム内の発言力は下がる。


何かあったときに回数が三回しかないのは不安だ。

それに好感度も一朝一夕では上がらないだろう。


今回の試練。四人の内で最も不合格に近いのは自分だと九装は感じていた。

たかが一回増やせた程度、試練に影響は少ないかもしれないが保険が必要だった。


ーー我ながら、浅ましい男だな私は。


九装は自身の行いを恥じるが、それでも試練を達成したかった。

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