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人の灯りが消えた世界で  作者: 糸間 ゆう
第二試練 白亜ノ塔
58/207

第二試練7 2階 探索の間

■2階 探索の間

《鍵を探し出せ 時間解凍+-》


「探索の間ねぇ。この書かれている鍵を探せばいいのかしら?」


長い階段を登り切った先に長方形の石碑が置かれている。

刻まれているのは《探索の間》という文字とその下に鍵の絵が描かれている。

普段使っているようなシリンダー錠に差し込むタイプと違い、歯が分厚く柄が細長い。

アンティーク雑貨とかに置かれているようなファンタジー色強めなウォード鍵だ。


「探索って書かれてますから多分そうでしょうね。1階ほど広くないようですが」


この階層もそこそこ広いが、ここからでも左右に続く壁ははっきり見える。

床も壁も白塗りなのは同じだが遠近感が狂うほどの距離ではない。

周りには所々オブジェが置かれ、椅子や本棚、彫像などから車や木などが置かれていた。

ただ、どれも白一色で現代美術館とかに似た展示品が置かれていた。


「一旦手分けして探してみましょう。次の階の扉もついでに探すということで」

「全員でばらけるのは危険じゃないかい?白峰嬢、伊扇嬢に何かあってはいけないだろう」

「二人とも俺より強いけどな。見た限り何もなさそうだけど、それなら二手に別れますか」


明音先輩は素の身体能力に加え魔力で強化もできる。

伊扇に至っては何かあれば自動で風をぶっ放せる。

自衛手段をほとんど持たない秋灯より女性陣二人の方が強い。


「ぐーかパーを出してくださいね。行きますよ、グッパージャス」

「何よその掛け声。ぐーぐっとぱでしょ」

「わ、私はぐーパーで別れましょ、でした」

「・・・君たちが仲良いのはわかったから、早く決めようじゃないか」


明音先輩とは同じ高校なはずなのに掛け声が別だった。

結果は秋灯と明音先輩。伊扇と九装という組み合わせだった。


「それでは行きましょうか」

「ちょっ、ちょっと待ってくれないか!」


移動を始めようとしたが、九装が制止してくる。


「なんだよ九装。組み合わせになんか不満でもあるのか」

「いや、不満ということではないんだが、ちょっとね、一応組み合わせの再考を要求したい」

「なんでだよ。厳正なるグーパージャスだったろ」

「掛け声はなんでもいいんだ。組み合わせがそのほら、私では伊扇さんの負担になってしまいそうでね」


後ろで既にわなわな身震いしている伊扇。九装をぶっ飛ばそうとやる気みたいだ。


先ほど階段を登っている間に九装は三度壁に叩きつけられていた。

バチーンという音と共に強風が螺旋階段に吹き荒れていたが、秋灯と明音はそれを察知してそそくさと上階へ逃げた。


ただ、それでも伊扇を悪く言わないあたり九装は紳士だなと感じる。


「この試練の間ずっと一緒にいるんだぞ。少しは慣れていかないと」

「まだ会って1日目だからね。頑張りすぎもよくないと思うんだ。伊扇さんも私といると疲れてしまうかもしれないし。こういうのは徐々に日を重ねて慣れていくものだと思うのだよ」


急に早口だな。

伊扇と仲良くなるためには壁に叩きつけられ、地面に押さえつけられ、空を舞って、そうやって仲を深めるしかない。

交友深度が試練に関わってくる以上二人の微妙な距離感は早く解消して欲しかったが、初日に関わらせすぎるのも逆効果になりそうか。


「わかったよ。そしたら九装は明音先輩と。伊扇さんは俺と組みましょう。二人ともそれでいいですか?」

「私は誰でも構わないわよ」

「す、すみません。それでお願いしますぅ」


九装はできるだけ俺以外と組んでもらい交友深度を高めてもらいたい。

一桁台の数値なら会話を何度かするだけで上がるのも早いだろう。

親密度は大抵途中から上げづらくなる。ギャルゲーとかだいたいそんな感じだし。


「30分くらい経ったらここで集合で。何か見つけたら声で知らせてください」


左右の方向に分かれ探索を開始する。

まずは伊扇を落ち着かせつつ、オブジェが密集している方向に近づく。


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