表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
人の灯りが消えた世界で  作者: 糸間 ゆう
第二試練 白亜ノ塔
56/204

第二試練5 交友深度

「交友深度の特典についてですが、いろいろあるみたいですね」


恥ずかしさがようやく収まり、一旦平静を取り戻した.

伊扇も起き上がってきたので、画面に表示されている特典について確認する.


■交友深度特典

40%の交友深度を一人から向けられる:「時間解凍数 +2回」「食料セット」「寝床セット」

50%の交友深度を一人から向けられる:「時間解凍数 +3回」「豪華食料セット」「豪華寝床セット」「歓待の間利用券」


初期数値から交友深度が20増加する:「時間解凍数 +1」「食料セット」「寝床セット」

初期数値から交友深度が30増加する:「時間解凍数 +2」「豪華食料セット」「豪華寝床セット」「歓待の間利用券」



「無難なのは時間解凍数かしら.交友深度が50%に達しているのが三人だから合計で・・・」

「今のところ自分と明音先輩、伊扇さんはそれぞれ+10回にできるようですね.全員時間解凍数を選択すれば+30回.初期の段階で皆+3回分あるので、このチームは最大42回の解凍数を保有できることになります」


秋灯は交友深度50%を明音、伊扇に向けられているので、その特典である「40%の交友深度」「50%交友深度」を二人分選択できる.


「なんか第一試練の時を考えたらすごく多く感じるわ」

「そうだね白峰嬢.四国まで到達するのに時間解凍数が1日三回というのは生活がギリギリだったからね.食事や寝床には苦労したものだよ.これだけあったらさぞ優雅に生活できたことだろうね」


九装がしみじみと第一試練の頃を思い出す.

他の参加者より四国まで早く着いていたはずだが、それでも生活に苦労したらしい.


「いや、私たちは秋灯のおかげで生活はだいぶ楽だったわよ」

「どういうことだい?」

「だって秋灯は、「明音先輩達の食料の計算を俺がしてましたからね.毎日必要な分を適切に時間解凍していましたから。ただ、先輩も伊扇さんも良く食べたので大変でした」


明音先輩の言葉を遮る形で秋灯が会話に割り込む.

九装にはまだ時間解凍の範囲拡張ができることを告げていない.

明石海峡大橋崩壊の件もある.できればこのまま話さないでおきたい.


「・・・そうね.秋灯が生活の管理をしてくれたから楽できたわ」


一瞬なんだこいつみたいな表情を向けてくるが、そのまま会話を繋げてくれる。

明音先輩にしては察しがいい。


明石海峡大橋崩壊の件は誰にも話していなかったが、時間解凍範囲の拡張は不用意に人に話すと面倒ごとが増えそうと二人に伝えていた.

後ろの伊扇は一人キョトンとしているので後でもう一度説明しなければならなそうだ.


「そうかい.話を聞いていると秋灯はずいぶん便利な男のようだ.皇居あたりで仲良くなっておくべきだったよ」

「そうね.私も秋灯を最初に見つけられて運がよかったわ」

「実に羨ましいね.ぜひ私の右腕にほしいものだね」

「あげないわよ.秋灯は私と風穂野のお世話係よ」


お世話係とは微妙な役職だな.

二人ともそのまま当たり障りない会話を続ける。

この二人会ってまだ一時間程度だが、なんとなく気が合わない気がする.

明音先輩は普段ならもう少し感情を見せながら会話をするはずだが.


「とりあえず特典に関しては、いつでも受け取っていいみたいなので一旦保留にしておきましょう.必要になったら再度話し合って選ぶということで」

「分かったわ」

「私に特典の権利はないからね.三人に任せるさ」


これで一通り第二試練の規定の内容を話し終えた.

話している最中もずっと歩いていたため、ようやく扉の面影がぼんやり見えてきた。

ただ、距離的にはまだまだあるので、時間がかかりそうだ.


時間解凍がこの試練でいつ必要になってくるかわからないが、回数が減少していけばそれだけ試練の未達成に繋がる.最悪広範囲の解凍が必要になれば九装に見られていても範囲拡張を実施しなければいけない時が来るかもしれない.


九装がどんな人間か分からないうちは、できるだけ牽制できる手段を隠して置きたかった.


その点、

顔がまだ熱いのか頬をほぐしながら歩いている伊扇を見る.

彼女は初対面の段階から本音がダダ漏れで、ものすごく分かりやすかった。

本当に偶然出会っただけの彼女だが、お互い信頼できる関係を築けたことは幸運だった.


「えっと、秋灯さん.どうしました?」

「いや、伊扇さんは可愛いなと思って」

「ちょっっ、、急にえとえと.・・恥ずかしいです」


ちょうどいい高さにあったので頭に手をポンと置く。

また顔を赤らめてしまうが、今度は風が現れなかった.

顔を伏せつつそのままの姿は小型犬のように感じられた.


「・・・・・暴風の化身とその近さで接触できるとは」


ちなみに秋灯の行為を目撃した九装は割と本気で戦慄していた.

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ