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人の灯りが消えた世界で  作者: 糸間 ゆう
第二試練 白亜ノ塔
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第二試練3 胡散臭い男

「・・・・・・えっと、九装.なんで着いてくるのかな?」

「そう邪険にしないでくれたまえよ.君の後ろを着いてきたのだから察して欲しいものだね」


明音先輩、伊扇と無事合流できたがなぜか九装も一緒にいる.

壇上付近が騒がしくなった時いなくなったと思ったが、秋灯の後ろをそっとついてきたようだ.


「秋灯、白峰嬢、伊扇嬢。突然申し訳ないと思うが、私も仲間に入れてもらえないだろうか。君たちは三人で行動していたのだろう。次の試練には勿論君たち三人は共にチームを組むつもりだと思うが、挑むためにはもう一人仲間がいる。その枠をぜひ私にくれないだろうか」


頭を下げて頼んでくるが、直球に仲間に入れてくれと言うとは。

ここまで素直に言われてしまうと正直断りづらい。


「私は九装さんのことは分からないから秋灯に任せるわ」

「わ、私も秋灯さんにお任せします.そ、その誰か一人は入れないといけない分けですし」


明音先輩、伊扇はこっちを見てくる。

九装について彼の能力はおそらく高い。魔術についても知っていそうだし、試練に挑む中で情報を積極的に収集していたりと行動の取り方も合理的だった.


ただ、


「なんで俺たちなんだ?九装は他にも参加者の知り合いが多いから別にチームは組めるだろ?」

「そうだね。仲良くなれた参加者も他にいるよ。ただ、この状況の中で探すのは手間じゃないかい?」


今も壇上付近は人が密集しておりチームの取り合いをしている.中には軽く乱闘騒ぎを起こしている者もいた.

1325名の中で一人だけ試練に進めない.たった一人だが、自分が試練に挑めなくなる可能性があると思うと怖いのだろう.


「流石にあの中から私の知り合いを探すより、君たちとチームを組んだ方が無難なんだよ」

「無難ね。変な理由じゃないしいいかな。・・分かった九装俺たちのチームに入ってくれ」


正直九装は得体の知れない部分があるが、秋灯たちも一人仲間を見つけなければならない.

下手に性格が全くわからない参加者を入れるより九装の方がマシだろう.


「よろしくお願いするよ.誠心誠意共に試練に挑もうじゃないか」

「やっぱり胡散臭いんだよな」


九装と握手を交わす.

仲良くなれば胡散臭さも気にならなくなるのだろうか。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


reデバイスを操作しチームメンバーの登録を進める.

お互いのデバイスをかざすと自動で相手の名前が表示された。

自分を除く三人の名前を選択しチームとして登録するようだ。


「どうやらチームを組むまでここから出られないようですね.本当は一回ホテルに戻って準備をしたかったのですが」

「試練が急に始まるのは仕方ないわよ.最初の試練だって急に告知されたし」

「それもそうですね。皆さん準備はいいですか?」


この会場でできることはもうなさそうだ。

前方の集団の中でもちらほらまとまりができつつある。


「ええ」

「は、はい!」

「あぁ。いつでもかまわないよ」


秋灯はチームの登録ボタンを押す。

画面が数回点滅した後、「第二試練参加資格取得」の文字が浮かび上がる。

そしてその下に「転送開始まで残り5秒」と表示される。


「皆さん。また転送されるみたいです」

「またなのね。これ目が痛いのよね」

「えとえと、頑張ります!」

「サングラスを持ってくれば良かったよ」


二度目の転送のため、伊扇を除いてすでに緊張感がない。


会場に連れてこられたときと同様、reデバイスが発光し、足元に円環が浮かび上がる。

やはり模様が描かれている気がするが、眩しくて見えない。


身体が光に包まれ、四人全員の姿が消えた。

秋灯は今度は時間差なく転送されてくれるよう祈った。

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