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人の灯りが消えた世界で  作者: 糸間 ゆう
第二試練 白亜ノ塔
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第二試練2 チーム決め

アナウンスの後壇上の手前まで参加者が集まってきた.

秋灯と九装はやや遠巻きからそれを見つめている.


壇上にはすでに一人の女性が立っている.

黒髪に日本風の整った顔立ち.背中には二対の翼が生え、頭の上には淡く輝く輪っかがある。

皇居で第一試練の説明をしていた天使だ。


確か名前は守位天使と言ったっけ.

それが役職なのか名前なのかいまいちわからないが.


「皆様この度第一試練通過、誠におめでとうございます.日本統括天使長を拝命いたしました守位天使よりこの会の趣旨についてご説明させていただきます.第一試練“紀行駆歩“につきまして東京皇居から徳島鳴門市まではや650km余り.ご自身の足で踏破されることはさぞ大変だったことと思います」


錫杖をマイクのように口元に近づけ結婚式の祝辞のような挨拶を守位天使が述べる.

響いてくる声が心地よくてつい聞き惚れてしまう.


「第一試練ではほとんどの方が独力で以て挑まれ、他の参加者と言葉を交わすことが少なかったと存じます。本日は参加者同士友誼を深めるためこのよう場を設けさせていただきました。また、ここにおられます総勢1325名の参加者の方は第一試練の通過を認可しておりますが、第二試練につきまして、まだ参加資格を有しておりません.この場を借りて第二試練の概要、その参加資格ついてご説明させていただきます」


会場がざわつく。

どうやら第二試練は挑む前に何か基準を満たさなければいけないらしい.

守位天使の会話を察し秋灯はあたりを見回す.

さっきまで会場の外に出ていた明音先輩と伊扇は秋灯達よりもさらに後方、出口の近くで話を聞いている。

伊扇もすでに落ち着いているようだ.


「皆様左手をご覧ください」


守位天使の指す方向.白塗りの壁だと思われていた壁面が次第に透明になっていく.

窓の先には一面に広がる空と、そして眼下には四国の街並みが広がっている.

今いるこの場所は相当な高さに位置していた.


そして、異質な物体が見える。四国の大地から無数に伸びている塔.

天まで届くのではないかと思われる長大な白い塔が窓の外に点在していた.


「見えます白い塔の名称は”白亜の塔”と言い、第二試練ではこちらを制覇された方が試練の通過となります.試練の詳細については参加資格を有した方から準にreデバイスに送付させていただきます」


今日まで鳴門市に滞在していてあんなものは見かけなかった.

現代の技術ではあれほどの高さまで伸びる塔を作ることは難しいだろう.

秋灯達は試練の宣誓の時と同様、神の力の一部を見た気がした。


余りにスケールに参加者達が絶句していると守位天使が言葉を続ける.


「さて、第二試練の参加資格についてですが、自身を含め四人のチームを作っていただきます.またそのチームで以て第二の試練“白亜の塔“に挑んでいただきます.四人以外の人数での参加は認められませんのでご了承ください」


天使の発言に現実に引き戻される.学校の班分けを思い出した.

修学旅行や林間学校、そして体育などでよく言われる「仲良い者と組め」発言.

あれは独り者にはトラウマを植え付ける言葉だった.


そういえばこの会場にいるのは1325名だと言っていたけど、一人だけ可哀そうな人が出るみたいだ。


「チームは各自reデバイスにて登録いただき、登録が完了次第その場で第二試練が開始されますので注意してください.それでは説明は以上となります.皆様、第二試練“白亜の塔“並びにチーム作り、頑張ってください」


守位天使の最後の微笑みとともに会場の騒がしさが頂点になる.

みなチームを組もうと周りに声を掛けている。


秋灯は壇上付近の集団からいち早く抜け、後方へ向かう.

みると明音先輩、伊扇もこちらに向かってきていた.


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