表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
人の灯りが消えた世界で  作者: 糸間 ゆう
第一試練 終末紀行
21/204

【汚穢ノ世界】

④【汚穢ノ世界】

2135年到来確立:88%

再現場所:静岡県浜松市中央区付近



【概説】

それはヒト種の成れの果て、人の悪意と害意と執意と邪意が逆流した世界。

目に見えるはずのない人の心根。言葉で顕すには憚られる人の負の念。

落日の世界に堕ちるはずのそれは、世界一つに収まりきらぬほど積み上がった。


ヒトはヒトを憎む。

ヒトはヒトを妬む。

ヒトはヒトを嫌悪する。


誰もが当たり前のように想い、抱えていた。

穢れが出るのはヒト種の性であり、抗い難い摂理でもあった。


本来穢れを祓うべき使命を負った人の感情を祀る術師達。

ヒト種の存続と繁栄のために世界の調律機構となるべくして生まれた彼ら。

けれど今代は、神に嫌われ奇跡に縛りを鍵を掛けられた。


一部の場所でひっそり隠れ住み、ただ世界の存続のためだけに穢れを祓い続ける。

國には因習と偏執が根付き、外界から隔離された彼らは今を知らず。

さりしも神命に背かず粛々と祓い清め、けれど世界の穢れは文明と呼応するように積み上がっていった。


いつしか術師達は落日の世界を閉じ、穢れを祓うことを諦めた。

目に見えぬその汚穢は形を持つ泥となった。


その世界は自責の世界。

抱えた負債が積み上がり、見もせず知りもせず己が心の内を律することもせず。

ただ自業自得の果てに滅んだ世界。

その終末の名を【汚穢ノ世界】と言う。



【遺歴】

▶2030年:

・《暗澹ノ界門》の消滅

現世に汚穢が流れ込まないよう置かれていた暗澹ノ界門と、その管理を担っていた禄積ノ國が消滅する。

落日の世界との路が断たたれたことにより、一時的に汚穢が現世に出にくくなる。


▶2050年:

ケガレの出現頻度の上昇

封じ込めと浄化機構を備えていた暗澹ノ界門の消滅によって穢が現世に頻出する。

國の外にいる魔術師の霊的守護の活動が急激に増える。


▶2065年:

・汚穢の噴出現象

黒い水たまりのような泥が世界各地で吹き出る。

魔術に素養の無い一般人でも汚穢を見ることができる。

魔術師の死者数が急激に増加、また穢れの現出も増加していく。


人や虫の形を成した黒い泥が各地で目撃。

行方不明者数が増加していく。


▶2085年:

・泥濘化現象

汚穢の噴出が止まらず、地方都市一つが泥の濁流に吞み込まれる。

日本政府はこれを機に《穢れ》と《魔術師》の存在を世間に公表する。


▶2095年:

・術師育成法が制定

汚穢への対抗策として、才能のある一般人を術師に育成できるよう法案が制定。

しかし、術師の育成を成す前に、各地が汚穢に飲み込まれていく。


▶2135年:

・終末の確定

汚穢が現世に溢れかえり、人を執拗に襲う穢れによって人間がいなくなる。



【補足】

▶落日ノ世界

人の悪意の堆積地。

呼称は地獄、穢ノ國、黄泉ノ国、冥界、魔界など多岐に渡る。


▶暗澹ノ界門

落日の世界と現世を隔てる門。

本来は路だけがあったが、禄積ノ國に住まう術師が建造した。


▶禄積ノ國

暗澹ノ界門を守護する役割を担う魔術師の國。

その他、奇跡の収拾と保存の使命を担う。


ケガレ

人の負の感情が凝固したモノ。

人に似た姿を人擬き、獸に似た姿を獸擬き、虫に似た姿を蟲擬きなどと呼称する。

本来魔術適性を持たない者は見ることができない。


汚穢オエ

ケガレが特に固まり、泥の形をとったモノを《汚穢》と呼称する。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ