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茸(きのこ)
ゆっくりと寄ってみれば ―――
「・・・・な・・ んでエ・・・」
それは、ヒコイチの肩ほどに笠をひろげた、おそろしく大きな茸だった。
笠はせまくこんもりとしていて、柄の方は、網目のようになっている。
・・・・気色わりい・・・こんなに、でかくなるものか?
かがんで、なんとなくのぞいた網目の中に、
―― 人がいた。
「・・・・お・・・」
女だった。
黒く長い髪はおろされ、白くうすい着物を、はだけたようにはおり、それを細い腰ひもがどうにかひらかないようにしている。
年はとっていそうだが、まだ張りのある乳が見えるのを気にもせず、かがむようにして立っている。
目が、
―― あってしまった。