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ぐるぐる
『西堀の 』友達ヒコイチが、流しの商売をする前、山で迷ったときのはなし。 秋なので、キノコのはなしを書きたく、みじかいのをひとつ。 よろしければシリーズものなので、どれかひろって流し読みください。 ダイキチと先生は、『蓮池』に出てくる人たちです。。。。
「こりゃあ・・・・まずいかもな・・・」
同じ場所だとおもえるそこについたのは、四度目のことだ。
木に傷をつけるのはしのびなかったので、木の根元に、枝を立てておいたのだ。
その印をたてた木が三本。印は三種類。
そのうちの、一種類の場所にでてきたのが、これで四度目。
ほかの二種類も、それぞれ二回と三回みている。
自分ではまったく違う方向をめざしているつもりが、同じ場所をぐるぐるとまわっているということだった。
子どものころから、じいさんと山にはいることがおおかったヒコイチは、山での《きまりごと》のようなものを、いつもうるさくきかされていた。
一人ですごすなら火をきらすな。
おもしろがって山にははいるな。
その山の『番神様』には、かならずあいさつしてからはいれ。