第ニ話 最強と小刀
書き方変えてみました。
ボクは部屋から出るとすぐ転移魔法で王宮前へ転移した
転移すると王宮前にいた門兵が神でも見るような目でボクを見ていた
それもそのはず、転移魔法は<忘却された魔法>の一つで耐性のある者が皆無で、耐性の無い者が使うと魔法は発動しないだけではなく、体のどこかに過負荷がかかるか、下手すれば死ぬこともある
だからこういう魔法はどんどん使い手がいなくなり、かなりの数あった系統が今では十系統ぐらいまで減り今では知っている者も殆どいない
王宮の中に入るとボクは使用人に連れられて王の部屋へと向かった。
その途中
(なぁ、主)
頭の中で誰かが話しかけてきた
(何だムイ、起きていたのか)
ボクは彼女にそうかえした。これはボクの頭がおかしいとか、二重人格でもう一人の自分と話してるのではなく
腰にかけた包丁より少し長いくらいのサイズの小刀<無形>と話している
<無形>は人格をもつ小刀でボクが暇になるとよく話しかけてくる
あとムイと言うのは、彼女は元々女性らしく<無形>と呼ばれるのが嫌だと言ったからボクが付けた
(まぁね、主が大好きなお姉様と話してた時ぐらいからね)
さっきの話し聞いてたってことか..
(なぁ、お前姉様のことどう思う?)
(あたしはいいと思うよ、あれは後数年でかなりいい女になるし、私が男だったら放っとかないね)
ボクはため息をついて
(そう言うことが聞きたいんじゃない、わざと言ってるだろう包丁に使うぞ)
(ご、ごめん包丁だけは勘弁して、それと主の姉様のことは主の考えてる通りだと思うよ)
ボクはさっきより深いため息をついて
(やっぱり..姉様はボクのことが好きなんだろうな)
あの事があった後ぐらいからボクをみる視線がやけに熱いし、抱き着いてきた時も気付いてるかどうか知らないけどかなり興奮している
(主はお姉様のことをどう思ってんの)
(姉様がボクに思いを伝えてきたらその気持ちに応えるよ)
(それって、OKするってこと?)
(まぁね、だってボク基本、来るもの拒まずだから)
(うわ〜最低だ、でもこの国って近親婚大丈夫だっけ)
(ダメだけど、ボクならどうとでもできるよ、それにボク的には愛人でもいいわけだし)
(はぁ..あたし何であんたを主に選んだんだろう)
ムイがため息をこぼし、ぶつぶつ言ってる
(それはボクに惚れたからだろう)
(.......)
(どうした、ムイ?)
(な、なんでもないよ、ほらもう着くよ主!!)
目の前に王の間の扉が見えた
(あ、あぁ)
ボクは少しさっきの間を疑問に思いながらも会話をやめ、王の間へと向かった
<無形>(ムイ)
<選定の武器>と呼ばれ使い手を選ぶ小刀で<十師長団>の団長を選ぶ試験の一つに使われていた
つくられてから一度も抜かれたことがなかったが、たまたま<無形>のことを知って興味をもった翡翠が、抜くことに成功した
<選定の武器>と呼ばれていた理由は<無形>をつくった者がそう呼んでいたのが理由らしい
元々他の大陸でつくられていて、昔、漂流してきた他の大陸の者達を王が保護した時、礼として貰ったらしい
性格は明るく翡翠が暇になるたびに話しかけてくる
ムイに人格があり話せることを知っているのは翡翠だけで翡翠は何となく隠しているらしい
何故か翡翠としか話すことができないが、一応他の者と話せる手段はある
柄に<無形>と彫られている