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第五十二話 気付けばパーティマッドナイト

これまでの粗筋を一気にドラゴンライダーと真っ赤な鎧に説明しきった。


「…」


途中で吐き気が込み上げてきたけど、なんとかビなんとかさんのところまで語り切った。胃にきてる。口の中まで胃酸が出てる感覚がする。


「ん~」


ラフィアさんが唸る。


「ちょっと待って」


待ったがかかった。


「あのさ。本当じゃないでしょ?」


は?凄いこというね、そういう事言われるとは思わなかった。


「どのあたりがですか?」


「いや。だってさ。どうしてそこまでビッk」


「ちょ!固有名詞は上げないでください!メンタルに来るので。あの子で統一してくださいよ。あの子で!」


マジでちょっとこういう風になるとは思わなかったレベルで、僕の心理的ストレスは計り知れないものがあるようだ。Realで吐き気とか、どんだけだよ。


「もしかして、解けてないんじゃね?」


ムゲンさんが絶対に可能性があったとしても意識の上に浮上させて言葉にしちゃいけないヤツを言ってしまった。僕は目力を込めてムゲンさんを見た。


「こえーな。ちょっと立ってみ」


言われた通りに立ってみる。ムゲンさんは頭と肩と腹を触る。


「んー。これ解けてる。気にしすぎだな。こーゆーの初めてだろ?まぁ。時間が解決してくれるさ」


そう言って肩をぽんぽんと叩く。意外と優しいのかもしれない。が。僕はそういう事されても決してころっと貴方を頼ったりしないぞ。けど、まぁ。ちょっとは好感度が上がったかな…。


「あのさ。ぶっちゃけ。やったでしょ?あの子と」


その言葉を聞いて、全身の毛という毛が逆立つような気がした。


「やってないよ!!!」


「気を持たせたんじゃない?金持ちとか強そうとかで、利用してやろうとか思ってたんでしょ?」


「思ってないよ!やってないし!」


気持ちの面で優しすぎたのはあるかもしれない。傷つけないように傷つけないようにとか。


「ほんとー?」


「本当だってば!」


「じゃーなんでそんなマッキーに執着するかなぁ。天空大陸のラピュータとかって、機密も機密、マジで超スーパーエリートがさぁ」


「ディスティニー感じたって言われたけど、そういうもんなんじゃないですか」


僕も同じ経験があったし。なんとか分かる。それで納得してしまってる。


「ふーん。まぁ。マッキーなら付き合っても結婚してもノーって言わなさそうだよね。家事もやってくれそうだし」


「随分現実的打算な意見くれてるね。どうもありがとう。でも、そういうもんでしょ。人生とか結婚とか家庭とか、そうなっちゃうともう、自分が自分だけの自分じゃないよね。父親になるわけだし」


「十代にしてはきっちりしてるとこは偉い。とっても評価。でもフツーやりそうなもんなんだよな」


「やってないですって!」


「付き合ったこともないの?」


「無いって言いましたよね!?」


「付き合ったら好きなと時にコスプレしてくれるんだよ?」


「くだらない。僕のこれからの人生を全てを捧げる女性か、それ以外か、ですよ」


「セカイ系のアニメかな?」


「その台詞言ったことありますけど、セカイとかじゃなくって、未来についてですよ。逆に周囲がどうして付き合うとか付き合わないとかで考えてるのか意味不明ですよ」


割とディープなところまで言ってしまった。こういうのって仲間内でああだこうだ言うのは楽しいけど、あんまり仲いいって人程度ではすべきではないよね。


「わかる。それすっごいわかる。ムゲンは?」


「そういうヒマの無い人生だったからな。人は人。よそはよそ。だろ?」


「ですね」


「…かな」


ちょっとした沈黙。妙な一体感がちょっぴり生まれた。変なグルーブが悪くない。


「まぁいいさ。酒足す人?」


「はーい」


既に大理石の上はコーヒーの他にチョコレートっぽいものやビーフジャーキーみたいな保存食とかで散らかってる。なんならビーカーに紫色の液体を入れたボコボコしてるヤツをバーナーで炙って香をたいてる。確かに盛り上がる感じでいつつも頭もしっかりしてくる。パーティ用の誰かの忘れ物らしい。


「ほいマッキーもどしどし飲みなよ」


でっかい黄色い液体の入った高そうなグラス瓶をどんっと置かれる。


「…絶対飲まないからね。僕下戸だし。一回仲間内で旅行した時、カッコつけて飲みまくったらマスターの部屋でゲロを盛大に吐きまくってね。それから飲まないようにしてるの」


「マジかよ。やるじゃん」


「やんないよ。申し訳ない気持ちでいっぱいいっぱいだったよ。だから、飲まない。Realでもね」


「つまんねーヤツ。お姉ちゃん二人と飲めるなんてフツー高い金ふっかけられるんだからな」


そう言ってぐびぐび一気飲み。やべーなこの人。度数いくつだ?現実なら死ぬぞ。マジで。実際に仲間内で一回佐藤さんが飲み過ぎで病院で電気ショックで蘇生したことがあった。急性アルコール中毒で毎年死ぬ大学生も出てくるんだから、本当に…。なんて口で言ってるけど。本当はちょっとは憧れてるんだ。酒の強いタフガイってのは。おかしいな。普段こういうのは意識上に出てこないのに。そんなこと考えちゃってる。紫色のビーカーを見ると、更にビーカーの火が強くなってるしぐつぐつ沸騰してる。


「で。これからどーすんですか?そーいや」


頭がちょっと一瞬白くなった。段々と気持ちよくなってきてる。チョコレートとコーヒーの飲み過ぎだろうか。


「ギルド名何にするんですか?これからラフィアさんの事もギルドマスターとかって呼ぶんですか?ギルマスーとか。うわー。池袋ウエストゲートパークみたい」


「ギルド名は未定ー。お。葉巻もあるじゃん」


「前にパーティしてた連中の忘れ物だからご自由にどうぞってヤツだ」


「一回やってみたかったんだよねー。ほらマッキー。アレやってアレ。ゴッドファーザーみたいな感じのヤツ」


「ふらいみーとぉざむんれてぃみ」


「違う!シナトラじゃない!お前何歳だよ!」


「だから16って言ってんでしょ!」


葉巻を投げつけられた。ん。香りは良い。…。


「最近のアニメってこういうのにはうるさいんだよね。高校生とかさぁ。殺しまくったりさぁ。剣とか持ってばしばしやりまくったり犯罪行為しまくってるのに、未成年の喫煙シーンとか無いんだよ。飲酒シーンもね。気骨がねーんですよ!!最近のアニメは!その癖、魔法少女ものはグロテスク入っててエグイもんぶっこんでるのに。だからつまんねーんですよ!!そう思いません!?ムゲンさん!」


「いや最近のアニメ見ねーし…」


「…ごくごくごくごく」


「ひゅー!」


「はぁ。全く。そんなんじゃねーだろって思うんですよね!僕!!最近規制規制とかうるさいじゃないですか!くそったれですよ!!火ぃつけて燃やしちまえよそんなもん!!そう思いません!?ムゲンさん!!」


「別にどうでもいいだろ。形だけだ。そんなもんってさ」


「最近じゃマンガだって乳首すら描かれてないんですよ?ほんっとーに。少年が大人になるための週刊少年ジャンプだってのに、そんなジャンプできねーっつーの!!そう思いません!?ムゲンさん!!!」


「ダメだ。こいつは飲ませちゃいけない類のヤツだ…」


「そんなんじゃないですよ!むしろ明瞭ですよ。意識ハッキリ、お目目ぱっちり!あ!そーいや!僕いい加減そろそろ現実に戻ってこれからの事話さなきゃいけないってのに!あぁ。で。どーすんすか!!ギルマス!!これからってか。今これどこ向かってんですか!?」


「カジノ。公式カジノ。連中から全てを奪い取るためには、一番がこれっしょ」


「…これ?」


ムゲンさんが右手で何かを掴んでくいくい手首を動かしてる。


「ムゲンさん。ムゲンさん!それパチンコですか!?何やってんですか!!!?」


「勝ってみたいのよね」


「素人じゃ先ず勝てないですって!!ギャンブルは胴元が勝つんです!!ムゲンさんパチンコやんだなー!なんか僕ショックだな~~!!」

「東雲君から連絡来ないし、夏休み始まっちゃうし!」


「とりあえず、デズニ―行こうぜ」


「経費にぶっこんでやるからな…」

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