第四十七話 強者
溢れんばかりのオーラ。強大な精神。かつてないほどの高揚感。最強の絶対値。
「いずれもRealの過去のデータを塗り替えたね。もう君達はどうなるかわかるよね?」
ヴァミリオンドラゴン第二形態の圧倒。これでびびらないのはありえない。泣く赤子も黙るレベル。
「雁首並べて君達は、いいかな?君の持ってる剣、盾、いずれもおもちゃだ。意味を為さない。君達がどれほど強くても、どれだけ最強でも、届かない場所に僕は到達している」
高笑いが止まらない。僕じゃない僕は、そんなことをしている。歪にゆがみきった僕みたいな僕は、強制的にオーラを展開し、形態変化を遂げている。
「レベル100にも満たない君達が、精々頑張ったところで、200?300?400あるかなぁ~?分かってると思うけど、僕の」
ほとばしるオーラが、この島全域を包み込んだ。空の色が少し変わる。血の色。
「始めるかい?もう結果は目に見えてるのに!!何ができるっていうのか?何をするっていうのか?冗談みたいな悪あがきで精々僕を楽しませてくれるがいいさ!!」
そして頭から、角が出てくる。痛い。神経も通うぐらい。全身がバキバキに折れ曲がるような苦痛。冗談じゃない。僕の意志から、肉体が離れてる。
「一瞬で勝負を決めてあげよう、強者らしくね。そうするとほら。…強そうに思えて散れるでしょ?」
ドゥルーガに浮かぶ僕は、見下ろしながら言う。
「始めようか。劇的な展開をね」
その言葉を放った瞬間、僕の首と胴と翼が、千切れ飛んだ。
「木偶は本題じゃない。気を緩めるな。うちらなら勝てる…」
「ハァハァ…。ただの占星術者じゃないじゃん…」
「それはRealの職業ですよぉ。ぁ~ぁ。ふふっ。おもしろいくらいばらばらにしちゃって。いっぱい血が出てとっても素敵…」