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第四十四話 おこな人

女性を本気で怒らせた場合、どうすればいいんだろうか。


「…」


時間が解決してくれる?保障はあるのか。口を効いてくれない?多分本気で怒らせてる。顔に表情が無い?危険信号。誠心誠意を見せれば解決する?なんという楽観主義。どうすればいい?モニターの画面越しの二次元以外で現実の女の子なんて半分ファンタジーだった僕だぞ。そんなの分かるはずがない。


「…」


どうすりゃいいんだ。


「…」


ビッキーを捨て置いて知らんぷり。関係無いねを貫く意志第一主義で自分勝手なヤツならそうだろう。僕はそうじゃない。自分の人生に、負い目を感じたくはない。


「…」


これだけの仕打ちをされてるって事は、これだけの仕打ちをしたって事か?そうじゃない。ただビッキーがぶっ壊れてるって事なのか。なんとなく、分かる気もするんだ。


「…」


同い年って言ってたっけ。絶大な力を手にして、どうする?やるべきことも、全部できる。全てが思いのまま。出来ない事はない。なんでも。なんでもできる。でも。でも。進むべき方向は?この宇宙の中で、ただ独り、ぽつんと存在しているような感覚なんだろう。分かる気もする。


「…」


だから、全部がどうでも良さそうで、どうでもいいって思えるのは分かるよ。なんとなくだけど。恐怖だとか、不安だとか、そういう普通の人間に訪れるものが一切無い超越したところの場所ってさ。むなしいものがあるよね。なんとなく、分かるさ。


「…ありがと」


大理石のテーブルに座ってぼんやりと海を眺めてると、コーヒーを淹れてくれた。カチャリと高そうなコーヒーカップにちゃんとソーサーまでついてる。するりと飲むと、やっぱり美味い。フルーツ風味のコーヒー。


「…」


白い一枚の紙が僕の前に差し出された。


「…」


見ると。なんだかテストみたいな感じになってる。第一問、ビッキーは好きか?イエスとノーの二択。


「…」


二択!?これ五段階評価で、⑤が最高に好き、愛してる。①が金輪際人生で関わり合いになりたくない。③が普通の普通の友人関係。④が良好な友人として好き。③が可能なら遠くにいたいぐらい嫌い。にしてもらったら、④ぐらいにはできるんだけど。


「…」


一応イエスにマル。


「…」


第二門、好きな人がビッキーに殺されました。どう思いますか?


「…」


①自分が間違ってた。許しを請いたい。➁やむを得ない。しょうがない。③ビッキーを殺す。三択である。


「…」


これ。結構マズイんじゃないか?面を上げてビッキーを見ると、相変わらずぼんやりと無表情で僕の顔を見てるんだか見てないんだかの目線のまま。マジな話をすると、③になっちゃうんだけど、③にマルつけるよりも、①にマルをつけるべきなんじゃないか。③にしたらやってみろよみたいな感じで挑発してる感じになっちゃう気がする。うん。①にマル。


「…」


第三問、ビッキーは悲しんでます。どうしますか?


「…」


①抱きしめる。➁無視する。③どうでもいい。


「…」


これ三択?愛してるとそうでないって間が大分離れ過ぎやしないか?結構ムリ難題をふっかけてきてるぞ。一応。これ。とりあえず、④を付け足しておこう。④寄り添って美味しいご飯を作ってあげる。いや。これまずいか。⑤向き合ってお互いに話し合って解決策を見出す。うん。これにしよう。付け足してマル。


「…」


ちらりと面を上げる。しかめっ面をしてる。ビッキー。ひょっとして。君コレギャグのつもりじゃないよね?


「…」


第四問、ビッキーかそれ以外。どうしますか?


「…」


①ビッキー。➁それ以外。セカイ系のアニメ映画かな?


「…」


➁にマルをつける。これ質問してるヤツを論破する自信はある。


「…」


チラリと面を上げる。露骨に美しい顔の眉間に筋が入ってる。美しく整ってる分、怖さがマシマシ。ハリウッドの演劇教室でも通ってるのかな?ちょっと怖いんですけど。


「…」


第五問、第四問で➁を付けた場合、殺されて欲しくない人の名前を書いてください。


「…」


面を上げた。端末をいじってログアウトの準備をしてる。これはもうね。


「ちょっとおおおおおおおおおお!!!!!」


いい加減僕がおこだ。

「…」

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