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エピローグ 偉大なる勇者の休日

人類が滅亡した何回目かの世界、そんな場所にイギリスの名家アルフレッド家は交流を持っていたとの事だ。それがどのようにして接触して繋がったのかはビッキーの持つあらゆる情報の蓄積場所、アカシックレコードにも記載はされていないとの事だった。絶対的監視者の目すらも潜り抜けて何世紀も交流がなされたみたいだ。秘密の場所で秘密の場所へと移り行く場所をアルフレッド家は理解していたのだ。そして今現在、世界と世界の隔たりの境目で飛行機は進んでいた。人類が滅亡した何回目かの世界にとって、僕達は脅威に映ったのだろう。何せ飛行機の中にはRealのレベル換算値で1000を超えてる存在が少なくとも四名もいるのだ。エルフの世界、そう、エルフの世界にとっては脅威でしかなく、むしろ侵略行為、侵犯行為にも等しいだろう。僕達はあまりにも強くなりすぎたのだ。どれぐらい強くなっていたのか。例えばそう、軽く脅しをかけて怖がらせてやろうと思ったら相手が空想上の怪物ぐらいだったってぐらいだ。


「冷めないうちに、どうぞぉ?」


そしてその空想上の怪物は機嫌が悪かったりもする。その名前はヴィクトリア・ローゼス。いわゆる地球を監視し管理する絶対的な超越者。何よりも負ける事が大嫌いな一面もある。そして昨日ビッキーはパチンコで負けた。その後に神通力の力で四段クルーン突破型パチンコで取り返したけど、ビッキー曰く、パチンコの演出で敗北したり負けたりするのも嫌だそうだ。そして僕達はそんなギャンブルのお口直しのためにエルフの世界でカジノという観光へと物見遊山にやってきてるというわけだ。どうしてカジノがモンテカルロでもラスベガスでもないのか。それは多分、その場のノリで決まってしまった。そう大した深い意味は無かった。僕達はなんとなく行きたいなって思ったら行ってみようとするし、そして行くためのあらゆる力を持っていた。正直な話、エルフの国も佐賀県の吉野ヶ里遺跡も観光に行くならどっちも似たような感じだ。むしろ佐賀県の観光のほうが美味しい海の幸をたっぷりと堪能できる分、魅力的である。これは多くの人も同意してくれるかもしれないし、同意してくれないかもしれないけど。


「…」


そんなわけで、白いローブに身を包んで頭まですっぽり覆った僕達へ警告を出したヒトは目の前の大理石だろうか、高そうなマーブル状のテーブルに付属しているこれまたデザイナーが作ったみたいなやたらかっこいい椅子にも座らず立ち尽くしている。おそらく一瞬にして悟ったのだろう。自分がどれほどの存在に手を出してしまったのか。予測すらできないような未曾有の怪物に僕達は見えてる事だろう。


「そう緊張しないでくださいねぇ。私たちは何かをしにきたわけじゃない。そう、観光に来ただけなのだから」


温もりのあるいかにも優しそうな慈愛ある声の響きを聞いた。ビッキーさんいつもその調子でやってもらえませんかねぇ。


「くッ」


そして短い声を出した時、ビッキーがやめなさいと叫んだ。


「私たちは真実を話す。これ以上ないほどにわかりやすく。危害を加えるつもりはない。それにね。あいにく、ここにはあなたが自らの息を止めとうとしたって息を吹き返すように努力する。ここにヒーラーはどれだけいますか?」


ビッキー以外全員挙手した。この飛行機の機長も、客室乗務員も手を挙げた。


「今ちょっと疎外感を感じたのでナシで」


ビッキーは眉をしかめて嫌悪感をあらわにしながらそう言った。


「…」


王宮の大広間に飛行機が突っ込んでるような構図になっており、ビッキーとローブの人がそれぞれ大広間中央の長テーブルの向かいに立ってる。僕達はその奇妙な大広間に座礁した飛行機の前面コックピットから見ていた。


「機長、交渉は任せて宜しいですかぁ?」


「これをやる前に…いや。分かった。分かったよ」


機長はコックピットから出ていって二人のそばへ駆け出した。


「手荒なことをして申し訳ない。俺たちは…」


「・・・」


エルフと言ってもそう変わらない。但し、美男美女というのは確かなことだ。もっともこれには理由があって、多くは僕達地球に住む人間とスペックはそう変わらない。違うのは一点だけ。彼らには、寿命が存在しない。全盛期の境に身体的変化が止まって不老不死へと移り変わる。永遠の世界の住人なのだ。それが世界にとってどのような環境になっていくのか、なっているのか。どのような政治体制なのか、経済体制なのか。それは小さな政府であり、個人の力が光る世界でもあった。僕達日本人の感覚に幸なことに似てる。自由の世界である。但しエルフは家族をとても大切に思ってるところもあって、家族愛はむしろ昭和の日本を彷彿とさせるような絆だった。


「・・・」


僕達は国賓待遇としてエルフの世界から向かい入れられることになった。エルフの兵もテレパシーを使う事ができるようで、それは間も無くエルフの女王の耳にも聞き及ぶところになったのだ。


「・・・」


大事おおごとになった。大事になってしまった。僕は一国民として静かに、穏やかに、まるで植物の心のように安らぎの中で生活をしていきたいと思ってたけど、ビッキーやみんなとパチンコでノリ打ちしようってところからこれほどまでに、人様の世界や生活までも影響を及ぼすような状態になってしまった。申し訳ない限りである。やはりパチンコは悪だ。滅ぼすしかない。僕にっとっても悪影響、みんなにとっても悪影響なのである。マスターに限っては完璧依存症末期患者でもある。次からは僕の実家の家かラスベガスかどっかでわいわいとポーカーやってた方がよほど健康的だろう。そしてそこそこビッキーに勝たせてあげるのだ。

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