エピローグ 偉大なる勇者の軌跡
いでたちが勇者さんとそっくりだった。まるでRPGゲームの色違いのキャラクターのように。瞬間、衝撃が走った。理解してしまったのだ。勇者さんの引いている勇者の血。すなわち、この男こそが、その祖。本流なのではないかということ。勇者さんの脈々と受け継いでいるその勇者の血脈。この男こそが、ずっと繋がった歴史の守護者だったのだ。
勇者のなれ果て ロレンス・フェルト Lv Godzilira (1000以上)
共同のログイン画面。深海の底のような、現実からもっとも遠い場所。そんな場所で、まじまじと見た。
「君の事は聞いたよ。ヴァミリオンドラゴン。Real史上初めてRealの観測結果を凌駕した規格外の存在。曰く、その存在自体が秘匿されている最大量の厄災の一つ、ヴァミリオンドラゴン、その血を受け継ぎし存在。いいねぇ。羨ましく思うよ」
その年齢にして、さらにたぎるものがあるか。
「伝説ってやつだね」
「みんな大袈裟にしすぎなんですよ。そもそも、一人一人違っていて、みんなナンバー1そしてオンリー1。それが本質であり人生の肝」
「私は王様だからね。王など、一人ぽっちでは乞食以下。民の声こそ最も尊いもの」
王様のオーラが吹き出してる。更に増大する。更に加速している。敵意の無い、美しくも傲慢な、謙遜の無い魔力。そして究極闘気、やはり持つ…か。
「ここでは少しばかり頭がくっきりとしてるな」
オーラの量が更に跳ね上がって、質量を帯び、そして色づく。
「楽しみだよ。君にも。そして自分にもね」
青色。青の究極闘気。当然といえ当然か。職業柄、その色に落ち着くのは当然だ。しかしながら。青はやばい。条件さえ整えば、一発ツモ。詰みである。そもそもビッキーも青だし。サイコパスっていうか、支配者は大体青か?
「…」
闘いが始まる。もう、震えはない。そんな時に。
「ゲームマスターです。複数名のプレイヤーがこのデュエルを公開設定にするように干渉しております」
青色のゆらゆらとした火の玉みたいなものはそんなことを主張した。
「どうします?非設定でいいですよね。見せ物じゃないし」
「別に構わんがね、私も剣闘士をやっていた。リング上での喝采は脳内麻薬の最高だよ」