エピローグ 偉大なる勇者の冒険
風流なお宿に泊まることになり、美味しいご飯をいっぱいいただき、もう最高って状態で僕とヴァミリオンドラゴンは露天風呂に出掛けた。今夜は流れ星がよく降ってる。
「誰も居ない時ってアニメだと泳いだりするんだよね」
そう言ってバシャバシャ平泳ぎしてる。
「いて」
ごつんと露天風呂の縁の岩に頭をぶつけてる。
「痛みとかちゃんと痛むんだ。ノーダメージとかじゃないんだ」
僕が言うと。
「精神的な痛みだよ。あと、魂の融合はもちろんマッキーの雛形で肉体をとってるから。なんだかんだ言って、ちゃんと痛みもあるし、美味しさもあるんだよ」
「それなら良かったよ」
「でも、こういうところで言うのもアレだけど、ざる豆腐に天ぷらも良いかなぁ。また旅行したいなぁ」
そう言ってぷかぷか浮いてる。
「こうやって何も考えずにダラダラするのって最高だ」
「僕もだよ」
そんなことをしてると扉が開いた。棒人間が入ってきた。
「背中洗いっこしよっか。するんだよね。そういうことって」
「よっし。やろっか」
そう言ってゴシゴシやる。完璧に小さい男の子である。あれも本当にちっちゃい。
「仲が良いな。兄弟かな」
棒人間が喋った。こういうプラグラムも受けているのか。
「そういうところですね」
「そうか」
そしてまたゴシゴシと頭まで洗ってあげる。うーん。もうちょっと洗剤いるかな。
「勇者のシステムについてはどう思う?」
「え?」
いきなりぶっ込んだ話をされたので戸惑った。今は完璧オフである。
「二年後にこの国の王になる。四年後に周辺国の問題を解決するとともに取り込む。七年後には国際問題を解決するべく戦争の先陣を切る。十年後にはこの大陸は一つの国となる。二十年後はこの世界の半分を治める。四十年後には引退する。六十年後に解放運動が起こり世界に火の手があがる。百年後には、偉大なる英雄としてこの世界の覇者として歴史に刻まれる。魔物は消滅する」
そんなことを言われた。こっちから行くつもりが、あっちから出向いてきたのか。
「この世界はシナリオはそうなってる」
これをどう思うと言われてるのか。
「この国の王様を操ってる人で勇者を育ててる人ですか?」
「そうだね。君たちがどういう意図を持って勇者のパーティに加わってるのかを知りたい」
「どうするマッキー?」
本当のことを言って説明するのかどうかだ。
「答えないならそれでもかまわないよ」
僕達は顔を見合わせた。
「君たちは私のような存在とはかけ離れたモノなのだろう。私が説明するのは行動であり、君たちの行動に責任を持てないのと同様に、私の行動による君たちの行動の修正は責任を持てない。ゆえに、私は君たちに勇者の予定について語ることしか出来ない」