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エピローグ 偉大なる勇者のパーティ

海を超えて谷を抜けて空を駆けてるとあっという間の三日間だった。薪木たきぎを拾って火をつけてキャンプファイヤーやってると、自分自身が本当に旅をしているんだなって思えてくる。少し立ち寄っただけのつもりなのに、もうこの世界に魅せられてる。ヴァミリオンドラゴンにとっても、居心地が良さそうな感じだ。


「今日はキノコ鍋だよー」


光の無い闇の森を見つめてると、もう夕食。この世界の運ぶ風に思いを馳せると、すごく偉大なる一歩の途上にいるという感じがする。土地を見ると、その世界がなんとなくわかってくる。僕達の世界と同じだ。土は生き物が死んだ証で、精一杯生きている世界だということだ。広大な世界で、森はどこにだって点在し、沼は臭いを伴って少しずつ澄んでいくし。インターネットの無い世界が、意外にも自分自身を満たしてくれる環境なんだなと思えてくる。古代の時代も、きっと人間は最高に幸せな気分で夕食にありついてたのだろう。


「きのこ鍋だって。そろそろキャンプ地に戻ろっか」


「そうだね」


二人並んでこの世界の風を視ていた。サイコメトリーみたいな感覚だろうか、物や現象の追体験を自分と重ねて見ることができた。それとも、二人だからできることだろうか。そこに生まれるのは、まったりコツコツと積み上げられた歴史であり、その美しさに僕達は思いを馳せるのだ。


「なんて気分を味わえるね。想像力かな」


「そうかもね」


スマホも無い、人間の独立した生活に僕達は今生きてる。もしかして、地球で覆われる電波って僕達人類に大きな影響を与えてやしないか。そんなことさえ考えてしまう。


「あれれ?」


空間に穴が開いて続々と人々が出てきた。


「第一村人発見!」


そう言われて武器を持って襲いかかってきた。


「…」


それから僕達はキャンプのベース地に戻った。


「はい。ヒーラー君とマッキーの分」


「お腹は結構満足感あるから今日は大丈夫かな」


「まさか!森でなんかいいもん見つけたのか!?」


「そんなとこかな」


育って欲しいと願う命もあれば、凄く生き生きしている命もすぐに潰える時もある。僕達がこの場所に存在する理由もあるのだと信じたい。


「うわぁ。星がひどい」


誰も見たことが無い夜空の世界に、まるで足を突っ込んだような感覚をしてしまうほどの大空いっぱいの星々。


「吸い込まれそうで怖いんだよなぁ。昔から夜空は苦手なんだよ」


勇者さんはそう言う。流星群が怖いぐらいにビュンビュン飛んでく。1個ぐらいこっちに来そうで、その気持ちはちょっとわかるかも。


「もうちょっと遊んであげても良かったかなぁ。いや、でもこの自然を壊したくないかぁ」


「そういう気分が大事ってことだよ。そうだ。うちの殺風景なトイレにもちょっとお洒落を加えてみようかな」


そんなアイディアが浮かんだ。花瓶とかカーペットを敷く。あと、ウォシュレットをつける。うん。いい考えだ。


「…あの鳥、まだついてきてますね」


「悪い予感しかしないけど、私たちじゃ対処ができない」


「大きくなると、僕も星とか食べなきゃいけないのかなぁ」


「気分的な物だよ、きっと」


生きてる限り、気分や気持ちはとっても大事だ。真実や現実なんかよりも、本当のところはよっぽど大事なんじゃないかって思えてくる。


「…」


「大きな翼も鋭い牙も、別にいらないんだけどなぁ」


そんなことを言われる。


「いつか必要になる時がやってくるし、僕は随分助けられた。そういうものって運命が手繰り寄せてくるもんなんじゃないかな」


「そうかもね」


そう言ってスースー寝息を立て始める。虫が多いのでテントまで運ぶ。


「魂が近いと通じ合えるものなんですね」


黒魔さんからそう言われた。


「そうですね」


そういえば、ずっと喋ってなかったか。


「明日は王都だ!盗賊マーケットで仕入れた伝説の勇者装備、頭と足と籠手、これを見せてギャフンと言わせてやるぜ!」


アイテムレベル込み込みでも、本来ならこのパーティはさっき全滅してた。ひょっとして、この冒険。僕達二人も勘定に入ってるのか。

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