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エピローグ 続々・年一

「パチ屋でやるマスべはたまらないものがあるね」


そう言われたけど、僕にはなんとも言えないような表情をして返すことしかできない。そのままの勢いで何故かマスターは大当たりを引き当てて、その度に規制食らうような奇声を上げて。


「呂蒙たん!呂蒙たん!呂蒙たんんんぅぅうううわぁああああああああああああああああああああああん!!! あぁああああ…ああ…あっあっー!あぁああああああ!!!呂蒙たん呂蒙たん呂蒙たんぅううぁわぁああああ!!! あぁクンカクンカ!クンカクンカ!スーハースーハー!スーハースーハー!いい匂いだなぁ…くんくん んはぁっ!呂蒙たんのツルツル太ももぺろぺろしたいお!ぺろぺろ!ぺろぺろ!あぁあ!! 間違えた!これキレパンダだ!キレパンダもモフモフしたいお!モフモフ!モフモフ!ふさふさモフモフ!キレパンダペカ…きゅんきゅんきゅい!! あああノーマル直当たりだよぉぉあぁぁ!ああ…あああ…あっあぁああああ!!保留連ペカきたあああ!!!ふぁぁあああんんっ!! ノーマル直当たりは高尾しかできないヨォぉおおしちゃったあぁあああああ!かわいい!呂蒙たん!太ももかわいい!あっああぁああ! 新台第一版権移行いやぁああああああ!!!にゃああああああああん!!ぎゃあああああああああああああああ!!!第一で開発されるなんて現実じゃない!!!!あ…第一になったらキレパンダが無くなる?即当たりもノーマルビタも無くなる?ある?にゃあああああああああああああん!!高尾ぉおおおおおおおおおおうぁああああああああああ!! そんなぁああああああ!!いやぁぁぁあああああああああ!!はぁああああああん!!暗殺された高尾社長ぉぉおおおぁああああ!! この!ちきしょー!やめてやる!!第一行ったらやめ…て…え!?見…てる?第一新台のしーちゃんが僕を見てる? 第一のしーちゃんが僕を見てるぞ!しーちゃんが僕を見てるぞ!第一の呂蒙ちゃんが僕を見てるぞ!! 第一のしーちゃんが僕に話しかけてるぞ!!!よかった…世の中まだまだ捨てたモンじゃないんだねっ! いやっほぉおおおおおおお!!!僕にはまだ第一がいる!!やったよ豊丸!!第一ならノーマルビタもできてるもん!!! あ、前作高尾の呂蒙ちゃああああああああああああああん!!いやぁあああああああああああああああ!!!! あっあんああっああんあカイジぃぃい!!!!クイブレぇエえええええ!!!稲川淳二ぃぃいいいいいい!!!! ううっうぅうう!!俺の想いよ高尾へ届け!!カグラのあすかへ届け!」


「…そろそろ昼飯行きません?」


「待てよ。甘デジの醍醐味は電サポの残保引き戻しなんだよ…。最近じゃ電サポリーチで即当たりってパターンなんだけど、高尾は違うんだよ。残保七テンの激アツリーチでフツー当たるだろ?ハズレたんだな。これが。その時思ったんだ。オレは一生高尾についてくってな。どんなに辛くっても、社長が暗殺されても倒産してもオーイズミに吸収合併されたとしてもな」


「そうなんですか。さっき見たら一番街無くなっちゃってましたね。どーします?」


「移転しただけだよ、西武新宿側沿い。マッキー様の引きでなんとかなったし叙々苑か天下一閃、じゃなかった天下一品」


「天下一品一択ですね」


「今回は残保無しっと。ちょっと待って、アルコールで拭くから」


気になるのは妻の方だ。出てたどうしようか。そろそろいい時間だし、ここらでパチンコ切り上げるべき。僕ですらこの騒音は耐え難いものがある。普通の人がどうしてこんな騒音にたえられてるのか不思議でならない。


「よし、オッケー。あ。盤面そういや味みてたっけ。…よし。行こうか」


おそるおそるパチンコを打ってる妻の姿を確認する。よし。大当たりはしてないようだ。


「ツキコモリさん、そろそろ止めて昼飯行こうよ」


「…」


やばい。ガンギマリしてる。脳内麻薬マックス。ゾーン入っちゃってる。


「ツキコモリさん!昼飯行こう!!」


「あ。マッキー。あ。もうこんな時間。そうだね、行こう」


そしてツキコモリさんの出玉を換金するために受け付けに並ぶ。


「あああ」


マスターは基本的には驚かない。滅多なことでは。


「どうしたんですか?」


「た、た、太陽神がおられる…。目を伏せなければ…」


そしてパチ屋を出てから換金所へ行く。


「これが日本の闇の部分。業の場所」


「僕と似たような感想言ってるね」


「業の魂?」


それから天下一品に向かう。


「ここら辺組事務所多いですね」


「有名どころ揃ってるからね。言うてオレたちはここに住んでたけど、ここ歌舞伎町だからね。欲望の業の世界だよ」


混雑してたけど天下一品のテービル席に座れた。


「とりあえず精算しましょうか。トータルの投資分がスロットで僕が一万円でマスターが九万円。回収したのが七万二千円。パチンコではいくらです?」


「千円だよ。甘デジって当たる時は千円でかかるんだよね。三千円で当たらなかったらもう沼」


「トータルでマスターの三万勝ちで、トータルで千円勝ち。ですね」


まぁ。どうやったってパチンコパチスロは勝てないものだ。むしろちょっと取り返した分があってラッキーだっただろう。


「千円か。よっしゃ!勝ち!久しぶりにパチスロ打ったけど、マジ脳汁。うーん。負けまくってて天井ストッパーに引っ掛かるか否かがたまらなかったぁ」


「それで50%引けなかったから負けですよ」


「ああぁぁぁあぅぅぅぁあぁぁぅううう。ううう」


「私は大勝ちだから、ここはご馳走します」


「ありがてぇ。ありがてぇだよ!」


「ありがと」


スタッフがやってきて注文を取りに来た。


「よし。ここからここまで全部」


「マジすか?」


「ラーメンの食べ比べとかしたいからね。ゴチになりまっす!」


「ビールとかもいいよ」


「じゃあ。酒はだめなんでオレンジジュースを」


「うん。じゃあ…」


「ちょ。ちょっと待ってよ!外に行けば自販機で安く買えるのにここで高いジュース頼まなくても良くない!?」


僕の主張である。これは譲れない主張なのである。


「ライヴ感が大切なんだよマッキー!?」


「それ十万突っ込んだ男の言うこと?僕が居なかったらマスター十万負けてんだからね。十万だよ、十万円!人が死ぬお金だよ!?もうちょっとさぁ」


「あのな。マッキー。ライヴ感ってのは大切なんだ。勢いってのが本当にね。部屋の内装で悩んでるマッキー達に、アドバイス。オレがパチ屋に連れてきたのは大切なものじゃなくて、面白いもの刺激的なものに囲まれた場所って意味で連れてきたんだ。あんな騒音で毎日、生き死にのギャンブルをやってる毎日のお祭りだろ。そうして誰かがトイレで首を吊ってるんだ。そこにはストーリーがあって」


「いや。違います。あそこにあるのは、客側に大当たりをぶら下げた悪徳テキ屋のデジタル版ですよ。大当たりの入ってないガラガラを客側は一喜一憂で回してる。勝てる勝てないの部分的なんて、幻想に過ぎない。一日の売上全てが、客側の負けた金額なんです。僕達は生き血を吸われてるんですよ。嬉々として生き血を吸われてに足を伸ばしてるんですよ」


「うぐぅ」


「カノンかな?まぁ。今日は特別な一日だったってことで納得しましたけどね」


「いいんだもん。とっても楽しかったんだもん」


「頭がおかしくなりそうになった」


そんな時に相席の女性が僕達の四人テーブルに座った。


「すいませんね」


何から何まで上から下まで真っ黒尽くめの女性である。


「…」


なんとか一人分のスペースを確保して、僕達は運ばれてきた料理を平らげる。


「コッテリ大盛り五人分」


大体いい時も悪いことも交互にやってくるものだ。特にパチスロで大勝ちした日には、どんな事故があっても文句は言えない。

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