エピローグ 続、年一
「パチンコだよね」
僕と妻にユーチューバーのやってる決めポーズをさせられた挙げ句、抽選番号アプリを登録させられて抽選させられた。新宿で一番のパチンコ屋である。
「部屋関係ないじゃん!」
「マッキーまだ分かんない」
「えぇっ!?」
既に集まってる人数は1000人をこえてる。ちょっとしたお祭りである。
「生いそまる良いね」
「えぇっ!?いや、ダメでしょ!まだお腹が大きくなってないとはいえ、子供がいるんだからさ!」
っていうか、いそまるって誰だよ!?なんでハニー知ってんの!?
「確かに。それはヤバイかも」
「良い抽選引いてるのにもったいない」
「なんで騙すような真似するかなぁ」
「今日は特別な一日なんだよ。いつもいつも金を取られる極悪非道なパチンコ屋にカウンターの一発をお見舞いさせてぶっこ抜く大チャンスなんだよ!」
「僕らじゃなくてもいいでしょ!」
「いや。仲間に負けてるところは見られたくない!」
「今日は年一のイベントでほぼ勝てるんでしょ!」
「甘いなマッキー。最近のパチスロは設定最高ツモっても負けるんだぜ」
キメ顔で言われたが、むしろ腹が立ってきた。
「こんなデカイ敷地の一等地で大量の電気代払いながらスタッフに給料渡して、そのお金全部客から出てるんだよ、普通に考えて無理ゲーでしょ!それに、パチンコ屋のオーナーは八割韓国系か北朝鮮系でしょ、核兵器開発資金も違法送金から賄ってるって聞くし、明らかにコンプライアンスに反してるでしょ!」
「マッキー分かるが、最近のやつはアニメの版権から取ってきたやつも多くてな。あのキャラ、大好きなキャラから大当たりを祝福してくれるんだよ。声優さん達も頑張ってくれてな」
「パチンコマネーでずぶずぶだよ!」
「それに、さっきも言った通り、今日は違うんだ。いいか。普段パチンコ屋に並んでるスロットは最低設定、あって2ぐらいなもんだ。客側は勝率20%ぐらいの無理ゲーに設定されてる。今日は違うんだ。ジバダーも来てるし、ほぼ高設定の配分。いいか。マッキー。スロットで絶対に出ない演出、勝てる演出が見れるのはこういったお祭りの日でしかなかいんだよ。今日は特別。今日こそ、スロッターが勝てる唯一無二のチャンスなんだ!」
「そのチャンスは本当にチャンス?」
妻が突っ込んだ。
「鉄拳チャンスは本当にチャンスなんだから!」
「ふうん」
ダメだ。有り金あるだけ、熱くなって全部溶かす人だ。待ってるのは逆転だって?奈落の底しか見えないんですけど。
「オレとマッキーはスロットに座れそうだな。奥方は。どうしようか」
「ちょっとぐらいなら」
なんか妻の目がきらきらしてる。いそまる知ってたし。
「高尾の台が打ちたい」
「え?」
「お目が高いな。やっぱり高尾だよな。でも最近は三共が結構きてる。コンテンツが強いんだよ」
「高い確率じゃ当たらないから甘のやつ。第一の萌え台でもいい」
「それなら、藤とかも。」
君達が何喋ってるか、今の僕には理解できない。
「ってうかハニー?なんでそんな詳しいの?」
「パソコンでそういうのやってたから。昔だけど」
「へ、え。そ、そうなんだ」
変なショックが頭から被さってきた。
「もう潰れちゃったけどね。ななぱち。。。」
「そ。そうなんだ」
妻が一人でパチンコしてるところを想像してたら、僕はえたいの知れない恐怖に襲われる。
「実際のパチンコは今日が初めて」
あっ。やる気満々なんですね。そうか。マジかよ!?
「じゃ、行こうか!」
「目がばっきばきっすね」
「じゃ、万枚目標で!」
僕達は列に並んだ。妻にはやらせたくなかったけど、久しぶりに目が輝いてたので、流石に咎めることはできなかった。僕とマスターは偶然にも並びで取れそうだ。
「マッキーなにする?」
「マジで言ってるならジャグラー一択ですけど、並びですよね」
「その通り!今日は万枚目標なの。ジャグラーじゃそんなに出ないの。愛知県のサルーンじやないからね」
「言ってる意味、全然分かりません」
「折角だからゴッドかゴッドっぽいやつか」