エピローグ 年一の復讐鬼
今後の自宅の内装のために、僕達夫婦でいろんなお部屋に招待してもらって、自分の家や内装についていろんなことを考えさせてもらってる日々だ。
「今日はマスターだよ」
結局あの人、めっちゃ強いのに僕の目の前では活躍しなかったな。もっとも、僕達のサークルはお互いのプライベートを遵守し、未成年に対しては原則ノータッチの見守りモードが不文律だ。だから、表立って僕の前に出ることはなかったのだろうと思える。ちなみにRealは現在プレイヤーキラー優勢の混沌とした無法地帯になってるらしい。本来はプレイヤーへの干渉行為は不可能だったけど、今ではイースターヴぇルがプレイヤーキラーに占拠されているとのこと。良いなあ。みんななんだかんだ言って楽しそうでいいなぁ。
「ダーリンあの角刈りの家に行ったことあるの?」
「ないね。っていうか、固定資産持ってないとか言ってたんだよ。オレの資産はお前たちだとか言ってたし」
平気で路上で寝るし。東京駅で良く寝てたし。東京駅は治安も良いから終電逃した後なんか、気持ち良く寝れるらしい。
「それで今日になって来いってなんか怪しい」
「いろいろ忙しいみたいだから。それに、僕達に話もしたいらしいし」
「9時から新宿で待ち合わせだからそろそろ」
「だね」
そういえば、当然妻もパソコンを持っている。中身が気になるけど、それだけに留めておくべきた。夫婦間にも、当然ながらプライベートなところはあるのだ。
「行こうか」
「うん」
空間をぶち抜いてそのまま新宿まで移動する。ゴジラタワーの頭に移動して、そのまま地面に着地する。その時間はというと、人の目には止まらないほどだと思う。妻もレベルが僕と同じくらいだけど、俊敏性では負けている。
「それで来るのか、スゲーな」
短パンにシャツ、地肌には生々しい傷痕がいたるところに見えている。角刈りではなく、坊主にしてる。ファッションという概念に敵対したオタクの鑑である。
「お久しぶり」
「おう。ハッピーそうで何よりだよ。とりあえずアプリをダウンロードしてくれ」
「えっ」
「奥方も宜しく頼むよ。なんかメゾン一刻の響子さんに似てるな。マッキーは本当に幸せものだな」
「ま、まーね」
「どの辺が響子さんに似てる?」
「雰囲気かな」
「ふうん」
アプリをダウンロードし終わったら、数字が出てきた。
「おっ。さすがだな。奥方もマッキーもオレも並んで座れるな」
「ちょっと何言ってるかわかんない」
妻がツッコミを入れた。
「今日は一年に一回の大切に一日なんだよ。そう、誕生日なんだ。まぁまぁ。何も言わずについてきてくれ」
僕と妻は不承不承ながらついてゆく。
すいません、タブレットで書いてます。パソコンを八月末には買い換えますので、それまで不定期になります。エピローグが終わり次第、次の物語も掲載します。