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エピローグ ➁-2

という訳で家内の進言通りにやってみた。僕が下で家内が上。結婚してるとはいえ、式も挙げてないわけだし、当然夜は二人別々なわけである。たまにリビングで一緒に映画観たりゲームしたり、誰かが遊びに来た時はリビングで雑魚寝しちゃったりすることもあるけど、基本的に夜の時間は別なわけだ。流石にいろいろとマスターベーションについて妻からの提言があったけど。


「…」


服は着てるし、もう婚姻届けを出してもいるけど、凄い良い匂いがして脳が痺れてくる。


「あれ?僕達なんでこんなことしてるんだっけ?」


「練習と予想と想定。実戦だと思いもかけない事故も起きる。そうなると…命取りになりから」


「それ結婚初夜で合ってるよね!?」


「合ってるよ」


バトルマンガの修行パートが始まってきそうな台詞が出てきたけど、ちゃんと合ってるらしい。


「…」


そうすると家内は何かしら考え事を始めた。同棲してるとお互いの顔がよく見える。癖や思考がなんとなくわかる。多分ウソだって分かるだろうってぐらい、僕達は夫婦でよくくっついてる。


「な、なに…?」


「いろいろ問題が出てきたかもしれない」


「どんな!?」


「私は実は血圧が高いんだ」


そんな事を言われた。血圧。血圧が高い!?ここにきて、血圧!?


「そ、そうなんだ。確かに血圧っていうのは大切だね。高血圧になると心臓に負担がかかって心臓病や、血管に負荷がかかって脳梗塞といった、成人病に発展しちゃうね。日本人における死因のベスト5に二つも関連にする大切な要素だから日々の生活習慣に気を配る必要があるよね。だけども、ちゃんとした生活習慣を行ってる人で血圧が高いっていうのは、そこまで気にする必要はないんじゃないかな。BMIや睡眠時間、ストレスに不安の無い人は高血圧でも気にする必要は無いと思うよ」


ちらっと下を見たら膨らみが二つ。は?え?妻?これ…。本番になったらどうするんだ!?ユニヴァース感じちゃうよ!?生きてるって、こういうことなのか!?


「うん。そうなんだけど。血がドバドバ出る可能性があるということに思い至った」


血!?あ。まぁ。そうなるのか。


「ど、ドバドバ出るの!?」


「その可能性があるから危惧してる。そうなると、非常に問題が出てくる」


「な、なに!?輸血!?」


随分生々しい話が出てきちゃったけど、僕はこの辺全然わかんないぞ。


「月ものの時も結構出て、その事を加味するとやっぱりこの態勢でこれだとベッドマットまで汚してしまう可能性がある」


「ベッドマッドまで…」


あまりにも生々しくってちょっと血の気が引いてきた、血を想像すると指先が変な感じになってくる。当たり前だけど血は苦手だ。


「そうなると、最悪になる。泊ってたホテルのベッドマットが廃棄処分になって、その事が他の誰かに知れると、これは恥になる」


「そ。そうかも…」


涼しくなってきた秋の頃でも、湿気はじっとりとツキコモリさんの匂いを鼻孔に運んでくる。これって、フェロモンか?心肺機能の向上を強く体感する。


「だからちょっと、ちゃんと新居を構えて家具を買い揃えておく必要があるかもしれない」


「そ、そうかも…」


新居を構えて家具を買い揃える。そうすると別に自分達の使うベッドマットだからそういうのは気にしないわけだし。新居。新居かぁ~。


「あと。一つ言っておきたいことがある」


「なにさ改まって。…どうぞ」


「マッキー。マスターベーションでAV観るの止めて」


「え?あ?いや、見てないよ!?」


「友達から貰ったのも含めて処分して。逆に私が他人でマスターベーションしてたらどう思う?」


「分かった。全部友達に返すし、そういうのはパソコン内部のデータも消すよ」


「百歩譲って、どすけべマンガとHENTAIアニメは目をつぶる」


「なんでヘンタイアニメだけ発音が違ってたの!?」


「マッキーが持ってたの北米版だったから」


「…ッ」


バレてた。ちゃんと隠し場所は海外ドラマのシリアルキラーが戦利品を隠した通気口にネジも締めて隠してたのに!


「一緒に観た海外ドラマの主人公と同じだと芸が無いよ」


「僕芸人じゃないよ!?芸に期待しないで!」


膨らみが微妙に揺れてる。これが、自分の妻。つまり、結婚したということは、法的にも倫理的にも合意の上であれば子作り放題だということだ。…僕の脳も変わるだろう。一度でもやってしまえば、生物学的に脳味噌の構造が変わる。現実の科学の事実だ。つまり僕の心や精神、魂も変わってしまうのだろう。目の前には僕と共に変わるツキコモリさんがいる。父と母になってゆくということだろう。


「…どうしたの?」


「なんか、改めてこれからの変化について考えると、少し怖いナってね」


「もっと幸せにするんだからシッカリして」


そう言われた途端に、やる気スイッチが入ったみたいでポジティブになってしまう。これから僕はツキコモリさん、そして子供、子供達についても幸せにさせる責任がある。もう決めたことだ。ネガティブに浸る悪い癖も、もう止めないと。


「そうだったね」


これから毎日あんなことやこんなことをするんだって考えると、鼻息が荒くなって鼻の下が延びるばかりだ。人間の人生、生涯の仮定で、一体誰がこういう結婚なんてことを考えたんだろうか。単細胞から多細胞へ、複雑に絡み合って男性と女性に分かれた。このシステムって誰が考えたんだろうか。死の概念と生の概念、子供の誕生の生物のシステム。生命の輪廻の輪を担う一端になってから初めて分かる、このこと。とてつもない原始的な快感が走る行為そのもの。生物って本当に凄すぎる。DNAなんて誰が考えたんだろうか。


「キスする?」


「まだかな…」


「…」


断ると妻は僕のほっぺたを両手で引っ張った。


「ひたい、ひたいって」


家内はキスをしたがってる。でも僕の都合で申し訳なく、先延ばしになっている。その事は本当に申し訳ない限りだ。ほっぺで許してもらえるのなら、いくらでも引っ張ってもらってかまわない。ただ、僕の顔はアンパンマンではないのでちぎって食べても代えの顔は焼き上がらないので注意して欲しいものだ。優しく引っ張ってくれてるのは分かるんだけど、爪が皮膚に食い込んで地味に痛いんです。それでも顔には出さない。これもまた、夫婦の営みなのだ。

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