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溶岩巨人 前編

各国々から優秀な人材を集めるメルシーティル学園の敷地面積は広大である。中でも訓練施設は多くの生徒が利用できるように複数建てられている。しかし、さすがに全校生徒が利用できるわけではない。事前に申請したり、実戦訓練の場合は講師の許可を得たりする必要がある。


どうしてこんなことに……


シーナ・アゥリビーラはマヤとダブルスの魔術対決をすることになってしまった他人を巻き込んだとはいえ、ここまではいつも通りのように思えた。


この異常な数の見学者を見るまでは……

始業式の昼下がり学生のほとんどは寮に戻ててもおかしくない時間だった。だが見学席はほぼ満席になっており、審判役の教師が待機している状態だった。原因はマヤだ。マヤはラーゼルス国の上級貴族あんな性格でも、貴族として下準備は完璧だ。施設の使用許可の申請、他生徒への宣伝、審判教師の招集、全て準備されている。


「すいませんクロさん、まさかこんなことになるなんて」


私は謝罪をした。自分の思惑とは別の方向へ話が本来関係のないクロ巻き込んでしまう結果になってしまった。


「こちらこそすまない勝手に勝負を受けるようなことをして」


クロは無表情で謝罪をした、何を考えているかよくわからない無表情が最初は怖かった。でも私の為に勝負を受けてくれたのはわかる。勝利条件に私に二度と関わらないとマヤに名言してくれたのだ。



実際マヤとの勝負には迷惑していた。この勝負に勝てば平穏な日常が取り戻せる。

勝つには今ある問題を解決しないといけない


「それであのクロさんにお話しなくてはならないんですけど……」


緊張からか少し手が震える、勝負をする前に絶対に言っておかなければならないことがあるからだ。


「私攻撃魔法が苦手というか当たらないというか……」


私は自分の弱点をクロに伝えた。


「わかった攻撃は俺がメインでやる」

「すみませんよろしくお願いします」


チーム戦において重要なのは、味方との連携である、クロさんとはさっき知り合ったばかりの、赤の他人だ互いの情報交換が必須だった


「クロさんはどんな魔法が得意ですか?」


自分の情報は伝えたので今度はクロがどんな魔法が得意でどの魔法が苦手か知る必要がある。


「俺は………」







「遅いぞシーナ」


待機室から訓練施設に戻るとマヤがすでに待ち構えていた。お互いに作戦を決める時間が与えられていたはずだが、マヤには必要がないみたいだ。彼女の隣にいるのは、カーニア・ベルクリフト昔マヤに勝負で敗北し、それ以来彼女のパシリをしている。昔馴染みなら私とクロとの情報交換も必要もないし、作戦を考える必要もない。


「んっ?」


マヤはクロの方に視線を向け、その違和感に気づいた。


「あんた杖はどうした」


魔術師は通常杖を使うだがクロが持っているのは、剣だった。


「ああ俺はこれでいい」

「ふーん」


どうやらマヤはクロに興味を失ったらしい。


「ベルクリフトお前はあのクロとかいう自称最強男を相手にしろシーナとは私がやる」

「仰せのままに」


マヤは私との一対一で勝負することを決めていた、チーム戦とはただの口実だったようだ。


「互いに整列して」


審判役の教師が呼び掛けこの施設の説明とルールを説明した。

私はともかく新入生のマヤとベルクリフト、転入生のクロはこの学園の施設や試合のルールなど知らないはずなのだ、それなのに勝負を挑んでくるマヤは本当に破天荒である。



「この訓練施設には強大な魔術陣が設置されている、一定の魔力保持者しかこの魔術陣には入れない為、ここは魔術師専用の模擬格闘場だ。」


審判役の教師がこちらに視線を配らせながら、説明を続ける


「ルールは簡単だ相手にダメージを与えると魔術陣が自動で発動し、負傷者を即時治療する。もちろん負傷者はダメージ分の魔力を消費し、一定ラインまで魔力が低下すると強制的に場外に転移させる」


傷を負わない為、より実戦に近い訓練が行える。祖国でもマヤとは何度も勝負したがここまでの設備は無かった。


「今回はチーム戦の為二人が場外に出るもしくは制限時間内に多くの人数が魔術陣の中に残った方勝利とする説明は以上だ何か質問のある者は?」


クロがそっと手をあげる

「その魔術陣はどんな傷でも治るのか」

「いや、即死レベルの傷を治療するのは不可能だ、それに毒などの体の状態異常も治療できない、あくまで外傷のみ治療となる」

「外傷のみか……」

クロは顎に手を当て何かを考えている。


「そんなことより早く始めようぜ」


マヤは我慢の限界みたいで、今すぐにも勝負を始めようとしている。

審判役の教師もそれを悟っみたいですぐに試合の準備を始めた。


マヤと私のチームは一定の距離まで離れ、審判の合図で試合が始まる。


「それでは、マヤ・ライゼンスチーム対シーナ・アゥリビーラチームによるダブルスを始める」

「試合開始!」


マヤと私は素早く杖を構える、ベルクリフトも杖を構え


「僕の華麗な魔法を見せてあげ……」


グサリッそう音が聞こえた時には、ベルクリフトの胸にクロの剣が突き刺さっていた。訓練施設の魔術陣が発動しベアトリスは場外に強制転移する。


マヤとシーナは唖然とした。状況が全く飲み込め無かった。

マヤはクロ方を確認するとクロが向かって来ていた、状況を整理するよりも早く体が動いた。


「バレット!!」


マヤはクロの動きを牽制する為に炎の魔弾を放つ、


「ラシル」


シーナは水の盾を展開し、魔弾を相殺する。


「くっ!!!」

クロはマヤの目の前まで迫っていた。


「ゴルシティーラシニュア!!!」

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