7、複製の魔術
まだ回想編です。
思い付きが厄介な魔術を生み出してしまった。
物品を複製する魔術。
生み出しておいて言えることではないが「こんな魔術はあっていいのか?」
材料となる物質があれば物品を簡単に複製することができた。
まず対象の物品がどのように作られているか調べる。
原子の種類から分子の構造、その配置の関係まですべてを調べる。
必要な材料を使って物質や物体を再現する。
分子を忠実に再現してさらに分子の配置関係なども再現していく。
分子の振動の様子まで再現するから温度も同じになる。
再現されるのは調べた時の状況だ。
勿論再現した後は自然の法則に基づいて変化はしていくが。
親子丼なら湯気とともに熱と水は失われていくし酸化も進んでいくだろう。
色々複製した。
上質紙・鉛筆・消しゴム。
ノート・定規・文庫本。
糊・印鑑・ボールペン。
書き換えのメモ用紙を複製したら書き換えの状態で再現された。
シャツ・パンツ・コート。
ジャケット・靴下・ハンカチ。
靴下は小さな穴までしっかりと再現できた。
穴が開くともったいないので穴を魔法で修復しておいたよ。
ブランド物の複製は不味いよね。
偽造になってしまう。
どちらが本物か区別はできないだろうけど・・・。
懐中電灯・置き時計・スマホ。
スマホは入っている起動しているアプリケーションや入っているアプリケーションや電池の状態まで同じだったよ。
自転車・バイク・自動車。
地下室で中古の物を出して複製してみた。
傷の大きさや位置まで同じだ。
米、砂糖、小麦粉。
これらは食用に使えた。
食材の複製は問題ないようだ。
タコ焼き・トンカツ・クリームコロッケ。
モンブラン・ショートケーキ・バームクーヘン。
コーヒーゼリー・ヨーグルト・プリン。
レトルトカレー・フリーズドライの味噌汁。
ちゃんと食べることもできたよ。
ウナギのかば焼きも複製ができた。
よっしゃ、鰻丼が食べ放題だ!
折角だから国産の高級ウナギのかば焼きを買って収納に入れておこう。
その他の高級食材も買っておくかな。
いやそんこと言っている場合ではないね。
各種食材も複製できる。
そして知ってしまった・・・・・・生物も複製可能だ。
生きた状態で。
つまりクローン生物が創れてしまう。
ただちに魔術を改造して知的生物の複製はできないようにした。
まさかと思ったが知的生物の場合、記憶まで複製できてしまっていたのだから。
学習をさせたネズミを複製したら学習の効果を持つネズミのクローンが誕生してしまった。
人間にも同じようになるかはわからないがこれは不味い魔術だよ。
これが使われたら色々と大変だよね。
地球上に魔術師が少ないのと教えてもおそらく私と同じように使えないだろうという事が救いだが・・・・・。
ベンさんと相談したらおそらく普通の魔術師では初めの解析の処理で行き詰るだろうと教えてくれた。
しかし何かのタイミングでこのような技術が知られてしまえばどんな混乱が起きるかわからない。
私の身にも危険が及びそうだ。
お札も硬貨も偽造し放題だ。
魔術にその部分の制限を付けておいたが・・・・。
科学に応用されるのも怖い。
生物だけではない。
どうやら元素の変換もできるようだ。
金やプラチナが無尽蔵に生み出されたどうなる。
貴金属の価値は暴落するだろうな。
神を恐れぬ魔術だよね。
この魔術は地球では原則封印だ。
私の食べる鰻丼を除いては。
絶対に他人には知られてはいけない。
こんなことをしてしまったから罰が当たったのかな?
今の状況を考えるとそう思えてきたよ。
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