21、侯爵領での盗賊討伐
討伐です
9日目
街を出て1時間も走ると大きな川に出た。
この川には立派な橋が架かっている。
この川が伯爵領と侯爵領の境界だ。
草原地帯にまっすぐな道が続いている。
そしてやっと今日の野営予定地に着いた。
魔動車の数が増えたので七角形に馬車を配置した。
王女の使用人や護衛のためにテントの魔道具を増やしておいた。
王女の護衛は12名。
そのうち副隊長は拘束、3人は軟禁状態。
使えるのは8名。
王女の使用人は執事2名とメイド5名。
2時間ごとに辺境伯側から5名と王女側から2名の見張りを出せばよいのだが・・・・・。
「10名と4名でいきましょう。私も警備に着きます」
「タカシ殿、何故ですか」
「監視されています。監視のプロではありませんがこちらに危害を加えてくると思います」
「・・・盗賊ですか?」
「おそらく」
夕食後、檻付きの荷車を準備した。
空間拡張を付与したので30名ぐらいは収容できる。
魔動車でのけん引専用だ。
0時過ぎ頃。
多くの人影が近づいて来た。
58名いることが分かった。
慌てて檻付きの荷車をも一台用意した。
実は複製魔法を使ったのだが。
訊かれたら最初からありましたよとしらを切るつもりだ。
作戦はこうだ。
照明で盗賊を照らす。
サーチライト魔法として作っておいた。
次に盗賊へ投降勧告を行う。
従わなければまずは武器を無効化する。
武器分解魔法だ。
その後、盗賊が魔法を使用できないようにする。
最後に盗賊を全て拘束して檻に入れる。
拘束の魔道具を護衛たちに貸し出している。
盗賊は殺さないようにお願いした。
58人中には盗賊団の重要幹部もいる。
盗賊団は600人以上の組織のようだ。
まずはサーチライトを点灯。
盗賊たちは急に向けられた光の反応できなくなっている。
そして投降勧告。
最近やる仕事がないと嘆いているゲイテ護衛隊長にお願いした。
唖然としていた盗賊だったが武器を握りしめてこちらに近づいて来た。
それなら武器を分解した。
武器が急になくなった事に驚いている。
魔法使いの杖も分解できたね。
次に盗賊全体に魔法が使えなくなる魔法を施した。
そして護衛に指示を出す。
盗賊を魔道具で拘束して檻に入れてくれた。
逃げようとした盗賊は結界に阻まれて逃げられなかった。
副頭領は強くて護衛たちがなかなか拘束できなかったので私が魔法で拘束した。
幹部数名は私が拘束した。
58名の盗賊は全て拘束することができた。
盗賊の襲撃と対処の様子は今回も録画録音しておいた。
その後、盗賊が仲間を取り返しに来る恐れがあるので厳戒態勢で朝まで過ごした。
10日目
無事に夜が明けた
この地点から侯爵の領都まで4時間ぐらいで着く。
朝、通話の魔道具で盗賊の拘束を侯爵領の警備兵に伝えた。
侯爵はメイル辺境伯の兄だ。
だから話はすぐに通じた。
昼過ぎに侯爵領の領都に無事着くことができた。
領都の入り口で警備兵に盗賊を引き渡した。
領都の門では侯爵が出迎えてくれていたのだがその顔は冴えない。
盗賊の問題が深刻なようだな。
我々は侯爵の屋敷に着いた。
応接室に着いた我々は盗賊の問題の詳細を侯爵から教えてもらった。
応接室には盗聴盗撮を防止する魔法を施しておいた。
盗賊は悪徳商人や一部貴族や警備兵と繋がっているらしい。
それらも含めて捕まえないと盗賊は討伐できない。
そしてうまくいっていない。
知っていた。
だから警備兵に預かってもらった盗賊たちが脱走したりすることも予想してナノマシンで集中的に監視している。
盗賊たちが脱走できないように特殊な魔道具も着けてある。
警備兵が無暗に盗賊を殺すこともできないようにしてある。
こちらの対応策を説明したら驚かれた。
「何か希望が見えてきたように感じます」
侯爵の表情が少し良くなってきた。
「「タカシ様だから」」
シズクとエアルがハモった。
「それでは盗賊退治の作戦を立てましょう」
「よろしくお願いします」
護送中の様子などを録画録音するなどしてもうすでに様々な情報を捕らえた盗賊から得ているがまだこれから取り調べるというふうに街の中には伝えておいた。
その結果、侯爵領の中は慌ただしくなった。
捕らえられた盗賊がしゃべると困る者たちが動き出したよ。
今回は領主である公爵の許可がないと盗賊の保釈ができないようになっている。
盗賊の幹部は領主の館で直接調べることにしたという噂を流した。
それによって誘い出されて盗賊の幹部の護送が襲われたが襲撃者は全て捕えられた。
これによってさらに情報が得られ、悪徳商人や一部貴族や警備兵が捕らえられた。
襲撃者の中に悪徳商人や一部貴族や警備兵も混じっていたけど。
襲撃者を捕らえたのは私とロボットたちだ。
また頑張ってしまった。
目立ちたくないのだが安全策で進めている。
「自分たちが動き出したという事は彼らに余裕がなくなっているという事だね」
「そうなりますね」
「じゃあ、どんどん行こうか」
街の中にいる盗賊の関係者や偵察も徐々に捕らえられている。
そんな中、盗賊団が街を襲撃しようとしていることが分かってきた。
こちらの情報収集能力は高いからね。
とんでもないことに一般庶民を人質にしようと考えているようだ。
まだ捕らえていない貴族が手引きをしていることも分かった。
でもこれって盗賊を殲滅するチャンスだな。
侯爵が困ったと言ってきた。
「捕らえた後、収容する施設がない」
「造ればいいだろう」
「簡単に造れる物ではないぞ」
「50m四方の土地を街の外に用意できるか」
「それなら容易い。それでは収容できないぞ」
「大丈夫だ」
早速街の外に移動する。
魔法で提供された土地を高い塀で囲む。
塀は地下深くにも伸ばす。
そして地下に30層の拘置所兼刑務所を造った。
地上は管理区域として自律型ロボットが管理してくれる。
刑務所の防御と脱走対策も完璧にしてある。
刑務所を襲撃したものはそのまま収容されてしまう。
地下は刑務所自体がロボットになっており容疑者や囚人を管理できる。
地下1層には裁判所も造った。
裁判官や検察や弁護士は施設の地上部分で裁判に臨むようになっている。
地下1階には取調室もある。
容疑者や囚人の移動や食事や健康の管理や懲役も刑務所が自動で行ってくれる。
食料生産もこの施設でできるようにした。
全ての容疑者と囚人は個室に入れるようになっている。
早速捕らえた者たちを容疑者として収容した。
容疑者を収容して4時間後に200人の盗賊が領都を襲撃してきたが全て拘束した。
いつもの通りだ。
はい、拘置所に収容です。
さらに明け方、街を襲ってきた300人の盗賊と貴族も拘束魔法で捕らえ拘置所に送った。
私の盗賊討伐の方法をよく知っている辺境伯の護衛とロボットが手伝ってくれた。
サーチライト、投降勧告、武器無効化、魔法無効化、拘束魔法で逮捕、護送。
侯爵配下の皆さんは唖然としていた。
これだけの相手を簡単に殲滅してしまうのだから当たり前か。
それも敵味方両方に怪我人も出さずに。
あ、王女の護衛は他国の事なので使わなかったよ。
11日目
寝不足だ。
明け方の襲撃から2時間。
まだ早朝だ。
だが今日もやることがある。
盗賊討伐の総仕上げだ。
盗賊のアジトに行き、ボスと一緒にいる貴族と商人を捕らえることだ。
アジトの場所はもうわかっている。
今はロボットが監視している。
明け方の襲撃者は全て捕えたが連絡がないことに不審を抱いたボスが逃げるかもしれない。
まあ、結界を張っておいたから逃げることはできないのだけど。
中の様子もしっかり録画録音しておいた。
盗賊と一緒にいる商人や貴族は自分たちが盗賊に捕らえられた被害者だなんて言えないように証拠を収集しておいた。
それではいつもの通りプチっとやりますか。
まずはアジトの洞窟内にサーチライト照射、そして投降勧告、次は武器無効化、そして魔法無効化、拘束魔法で逮捕、護送。
はい、終了です。
ルーチンと化しているような・・・・。
午前中に終わってよかったよ。
午後からは街を見て回れるかな。
・・・・・眠い。
無理だね。
おやすみなさい。
12日目
昨日までに逮捕者は盗賊686名・商人22名・貴族と関係者34名・警備兵12名・領軍兵士8名・その他協力者が22名で計784名だった。
後は侯爵に任せて先を急ぐことにする。
予備のロボットを刑務所管理と侯爵の側近として貸し出しておいた。
当面の刑務所の食料も倉庫に供給しておいたよ。
複製魔法を利用していろいろと作ってしまった。
これからは刑務所の食料生産を頑張ってもらおう。
5時に侯爵領の領都を出発した。
「この借りは必ず返します」
「期待していいんですか?」
「はい」
報酬も一部として白金貨を100枚ばかり貰った。
これは一部だというが・・・・・。
今日は順調に旅を進めることができた。
まあ、これが当たり前と言えよう。
どうもこの間の私にはイベントが多すぎる。
15時過ぎには今日の宿泊予定の宿に着いた。
この地域は酪農が盛んでおいしいチーズが有名な街だという。
夕食ではチーズを使った様々な料理が振る舞われた。
宿の名物料理だそうだ。
ふと見ると王女があまり食べていないことに気がついた。
「チーズが苦手なのですか?」
「そんなことはないのですが、食欲がわかなくて」
「体調が悪いなら言ってください。無理をしないように」
「はい」
食後、辺境伯夫人に王女の具合を見てもらった。
疲れがたまっているようだ。
それだけではないように感じるが、私が診断するのはちょっとまずいよね。
少し前に治癒魔法が中級になったシズクに診断魔法を教えた。
医学の基礎を教えてあったのですぐに覚えて王女に使ってくれた。
その結果。
「十二指腸潰瘍か」
「治癒魔法上級を使わないと治療ができないものですね」
「王女に話してみよう」
治癒魔法上級のことは暈しながら王女に説明をしたところ私に治療をお願いしたいと言ってきた。
その夜、ゆっくりと時間をかけて治療を行った。
内臓疾患に対する急激な治療は患者に負担を与えてしまう。
明日には回復しているとよいのだが。
13日目
王女も回復した。
完全ではないようだが見た目は大丈夫そうだ。
朝食もしっかりと食べれるようになりひと安心だね。
お陰で予定通り5時に出発できた。
今日はメイル辺境伯の実家にあたるカイル公爵領の領都に入る予定だ。
天気も良く、風も気持ちがよい。
田園風景もいいもんだ。
のんびりするな。
この近くの耕作地は結界の魔道具で守られているので魔物が侵入はほとんどないという事だ。
今朝までいた街の周辺の牧場も同様だという。
街に使われている結界よりは弱いがこの周辺だと強い魔物が来ることはないので弱い結界で十分対処できるのだという。
王女の体調を監視しながら移動していく。
移動の負担は私の魔動車が快適だから問題ないようだ。
シズクやエアルが王女の側で世話を焼いてくれている。
「本当に申し訳ありません」
「気にすることはありませんよ。こちらも予定を大きく変更できないために無理をさせてしまって申し訳ありません」
「いいえ、足を引っ張ってしまって申し訳ありません。迷惑を掛けているのは私の方です」
「そういうふうに気を病むとまた体調を崩しますからもう少しリラックスしませんか」
どうもフレイア王女には人に言えない悩みがあるようだ。
フレイア王女には精神的に安らぎを持ってもらいたいな。
そうしないとまた体調を崩すだろう。
どうしたらよいのかな。
これは簡単に魔法でどうにかできる物ではなさそうだ。
魔法に詳しくて魔法で解決できるだろうと考えてきたがそうはいかないようだ。
何とも歯痒い。
夕方、公爵領の領都に到着し、盛大に歓迎された。
お読みいただきありがとうございます。
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