2、科学者として、魔術研究者として
プローグの続きという事で・・。
私ータカシは4年ほど海外の研究機関でマイクロマシンの研究をしていた。
様々な新しい技術を開発したことで有名になっていた。
軍事利用されるのに違和感を感じて退職して日本に戻ってきた。
かなりの妨害があったけどね。
日本に戻ってからも魔術の研究を行う一方でナノマシンの研究を進め、実用化することができた。
しかしその中には魔術を応用したものがあり、全ての技術を公開することはできなかった。
日本に帰って4年後、小さな喫茶店を開いた。
喫茶店の地下には研究室も設けてある。
タカシの科学者としての研究として代表的なものは人型自律思考ロボットとナノマシンと念話装置と個人用サポートシステムの開発だ。
人型自律思考ロボットは外見は人間と区別ができないものを開発することができた。
公開したロボットの大きさや一般思考能力は20代成人と同じ程度である。
知識や処理能力を人間以上のロボットにもできるがまだ自重している。
え、公開したロボットのスペックは自重していないのではないかって?
これ不味かったかな?
当然、世間に出した自律思考ロボットにはロボット工学三原則を参考にしたルールを適用している。
前提に法令順守という項目を加えた。
この法令とは2015年時点の日本国憲法と日本の各種法律と国際公法である。
後になって一部の国の法律とは相違があり問題も出たのだが仕方ない。
そのうえで人間に危害を加えない・所有者の命令に従う・自己防衛を行うということを自律思考ロボットに組み込んだ。
同時に法律のさらに上位にタカシのみの命令権限を組み込んだ。
この事は極秘であった。
私自身は戦争や犯罪に使われないようと考えた安全装置のつもりであったが後々私が狙われる要因にもなったようだ。
極秘だったはずなのにどこで気付かれた?
でもよく考えると私って世界征服だってできるよね。
ロボットはすごい勢いで普及していったから。
ナノマシンは劣化版を世間に提供した。
様々な修理等に活用できた。
便利だよ。
これらにも自律ロボット同様の制限を加えて悪用を防止した・・・・・と私タカシは考えている。
念話装置は着用者同士が声を出さずに自分の脳内で誰に何を伝えたいか考えることによりコミュニケーションを図ることができるようにした。
勿論オンオフは可能で各種の悪用防止対策も施した・・・・はずだ。
制限を外して悪用すれば他人の思考を読むことができるのだがそれは秘密だ。
これも開発した物の劣化版を世間に提供した。
平和利用だけにしてほしい。
個人用サポートシステムはナビ機能と各種のアドバイスを念話で行ってくれるものだ。
これも悪用防止対策も施した目的限定版を世間には提供した。
万能型はタカシ自身が使用している。
この事も秘密だ。
タカシ自身は世間には多くの対価は求めなかったが世間からは資産家というふうに見られている。
それは当然のことだろう。
しかし、タカシはスーパーで税抜き298円のお弁当が半額になるの待って買ってくる倹約家?だ。
レトルトカレーは1つ70円、ご飯は5個パック412円で十分だ。
アイスはラクトアイスを買わない主義だ。
アイスミルクはOKだよ。
研究にお金がかるからそうなってしまうのだが。
魔術の研究が進んでからは人型自律ロボットやナノマシンや念話装置や個人用サポートシステムにその成果が取り入れられた。
まあ、世間にはこの事実は公表できなかったが。
タカシは何年もの研究の結果、多くの魔術を習得・開発し、多くの魔術道具を開発した。
タカシの魔術の得意とする基本はエネルギー操作だが、自己強化の魔術も重要な位置を占める。
自己強化の魔術。
感覚の強化と身体強化だ。
まずは感覚の強化。
五感は選択的に普通の人間の1000倍以上にまで強化することができただけでなく人間が感じることのできない様々な因子を把握することができるようになった。
可視光線だけでなく各種電磁波、魔法粒子、重力、化学物質、各種エネルギーなどを把握できるようにもなったわけだ。
身体強化によって筋力や体力を強化することができた。
まあ、感覚強化も身体強化の一種ではあるがここでは発揮できる力を考える。
筋力や体力を強化と同時に各種エネルギーに対する自己耐性も持つことができた。
常人の30倍程度まで強化できた。
もっと強化できそうだが怖いので自重した。
そう、自重したのだ。
知られていないが感覚の強化と身体強化を100秒程度の時間だけなら2倍程度に強化できる魔術師や修験者がおり、それを参考に習得・開発した魔術だが異常に高性能な魔術になってしまった。
あ、火事場な馬鹿力も無意識な身体強化のようだ。
私の身体強化は3日以上連続で発動できた。
クールタイムも最大3秒程度だ。
そして私の習得した身体強化はそれだけではなかった。
思考の強化。
そして複数並列思考と思考加速。
脳内への情報の保存の効率化がなされ保存できる情報量も増えた。
つまり記憶力が増したわけだ。
もう一回大学受験を行ったらって?
いや遠慮しておくよ。
これらの思考強化を新たな能力として身に着けることができた。
思考強化だけなら常時発動も可能だった。
そして強化された感覚と思考によって鑑定の魔術と探索探知の魔術と個人用サポートの魔術が使えるようになった。
脳内に鑑定結果や周囲の状況や様々な情報を投影することができる。
さらに今までに開発したナノマシンを操作して様々な情報を収集することもできるようになった。
折角なので世界中の大気中に重力操作で滞空が可能なナノマシンを散布した。
この事が後々自己の命を救うことになったのだが散布した時は気がつかなかった。
ただ、プライバシーの侵害を憂慮してナノマシンが取得した個人情報などは蓄積保留していたのは失敗であった。
せめて分析を自動で行い、こちらへ危害を加えそうな予測に対しては警報を出せるようにしておきたかった。
身体強化を施しておけば耐久力・耐性も付くが危害を与えられた時の防御は大事だと思う。
そこで防御の魔術を研究した。
自分や仲間の身体を物理的攻撃や魔術攻撃から保護するということで考えた。
身体に損傷を与えるものは何かという点を考えたわけだ。
過剰なエネルギーが与えられるなど細胞が生命活動をできない状況や環境に細胞が置かれれば身体に損傷が与えられてしまう。
人間の身体は脆弱だ。
身体の各部分は絶妙な位置にあることで身体の生命活動を維持している。
ということでまずは身体にかかる加速を適性値内にして全体に同じようにかかるようにすることが必要か。
圧力などが体の限られたところにかかれば神経や血管や各種器官が切れてしまうからこれも防がなくてはいけないよね。
まずは加えられる力学的エネルギーを中和する事か。
熱エネルギーや光エネルギーや電気エネルギーに対する防御も必要だ。
ということで研究した結果、対物理攻撃障壁を形成することができた。
魔法の盾?バリア?
おー、ファンタジーだ。
普通は目で見ることはできない。
大きさも様々に変えることができた。
そして自分の周囲を覆うこともできるようになった。
つまり言うところの結界ができたわけだ。
覆う形も半球状から長方体など様々に設定できたのはうれしい。
また応用・研究するうちに魔法粒子の侵入も止められるようになった。
つまり魔術攻撃から防御することができるということだね。
開発した障壁や結界は透過させるものと透過させない物、透過させる場合はその量を調整することができるように研究を進め成功した。
ここまでは受け身的防御を考えてきたが一歩踏み込んで攻撃的な防御も考えることにした。
まずは相手の武器を破壊すること。
これは案外簡単にできた。
武器の化学的な結合を無効化して武器を分解することに成功した。
場合によっては相手の防具も分解できた。
勿論、衣服も下着も・・・・・。
犯罪者になりたくないので衣服や下着は分解されないように安全装置を魔術に組み込んだ。
私の研究は変だけど、変態にはなりたくない!
相手が魔術師の場合を考えて発動した魔術を瞬間的に分解する方法も開発した。
魔術式を破壊する方法と魔法粒子を破壊する方法があるが両方を複合することにした。
更に相手の魔術の発動を抑制することも魔法粒子の支配をこちらが行うことで可能になった。
数少ない地球の魔術師の協力で成功した。
さらに人や動物の行動を阻害拘束する魔術や機械や電子回路の活動を一時的に停止させる魔術も開発した。
してしまったのだ。
これは内緒という事で。
私って危険人物かな?
よく考えるとかなり危ない魔術だ。
世間に知られる前に封印したのだが・・・・。
極秘という事でよろしく。
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