18、地球との連絡
神隠し事件が
地球の状況は様々な方法で得ている。
私がいなくなったことで私を確保したり暗殺しようとした勢力は計画を中止したようだ。
私の周囲にいた人たちへの被害も出ていない。
ひと安心だ。
喫茶店を任せてきた友人とも連絡を取ることができた。
彼女も陰陽師の末裔で魔術を少し使うことができる。
念話も可能だ。
私がいなくなった後に最も被害に遭いそうだったが何事もなかったようだ。
こちらの状況を説明したところ初めは安心したような反応だったが辺境伯にお世話になり令嬢たちと魔法の研究をしているという事を話し出した辺りで苛立った様子に変わった。
彼女とは魔術の研究を一緒にやった仲だったな。
魔術の研究が出来なくて寂しいのかな?
『それでいつお戻りになるつもりですか』
『わからない。まずはこちらでの安全を確保したいよ。王族も転移者の末裔のようだからね』
『私はタカシの無事な姿を早く見たいです。タカシの作る美味しい料理を食べたいよ』
『私も君の無事な姿を見たい。安全のために情報が漏れないように気を付けてね。何かあったらすぐ連絡を』
彼女の周りには陰陽師の一族がいるから大丈夫だろう。
彼女は一族のお姫様的な存在だからね。
料理を作って転移で送った方がいいかな?
そういうふうに訊いたら必要ないと怒られたけど・・・・・。
できるだけ頻繁の連絡を入れるように言われたので3日に一度は念話を送ることを約束した。
「という訳で地球の友人たちは無事なようです。魔法などを使って状況は把握していましたがやはり声を聴くと安心できますね」
シズクとエアルには地球と連絡したことを報告した。
二人にはあまり隠し事をしたくないというかすぐにばれてしまう。
何故か二人はため息をついている。
地球のご友人が不憫だとかやはりそうなんだとか言っている。
「ところでタカシ様はこちらの世界では一夫多妻が当たり前だという事はご存知ですよね」
「ええ、貴族での話ですよね」
「いいえ、男性が女性より少ないこの世界では平民でも3人以上の妻を持つのが当たり前です」
「そうなのですか。家族を養うために男性は大変ですよね」
「女性も収入が多い方は多いですから問題はありませんよ。それ以外の事で男性は大変なようですが」
「そうですか」
「タカシさんは地球のご友人のサオリさんとはご結婚を考えているのですか?」
「結婚とかは考えたことがなかったな」
「はあ~、鈍感ですね」
「え?」
「何でもありませんよ」
陰陽師一族のお姫様との結婚とかは考えたことがないが大事な友人であることは事実だ。
そう言えばサオリさんもそろそろ結婚しないと行き遅れるぞ。
シズクとエアルも同じだが。
そんなことを考えていたら「失礼な事を考えている」とシズクに叱られた。
貴方は私の考えがわかるのですか?
地球からの情報で気になる点があった。
この数週の日本での転移によると思われる神隠し事案が6件。
少し頻度が高い。
私たちが調べたこの50年での日本での神隠し事案は1200件余り、そのうち転移によると思われるものは586件だった。
その中で166件はこの世界への転移というふうに推測している。
私が把握している異世界は30数か所だからこの世界への転移が他より多いように感じる。
日本以外からの転移もあるだろうしね。
さて最近の6件の神隠し事案だ。
今までに分かっている神隠しが起きやすい場所はできるだけ人が近づかないように処置が施されているのだが新たな場所で転移が起こっている。
それも転移先がこの世界のようだ。
それについて調べておいた方がよさそうだな。
新たな6件も含めて名簿は持っている。
翌日には海外での3件の神隠し事案と2件の日本国内での神隠し事案が地球から報告された。
全て転移先はこの世界だな。
辺境伯にお願いして転移者がいないかという調査と見つかった場合の保護をお願いした。
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