17、街の拠点
魔道具売却
知ってしまった。
美人令嬢姉妹の秘密を!
シズクは21歳、エアルは20歳。
貴族だからもう結婚していてもおかしくないのに婚約もしていない。
特殊能力を持っているからというのもあるのだがそれ以上に「研究バカ」という事らしい。
若いのに二人そろって魔法研究者として有名だった。
二人は自分よりレベルの低い相手には将来の伴侶としての魅力を感じないらしい。
更に魔法の知識の乏しい相手としてふさわしくないという事らしい。
婚約の話があると魔法について議論を吹っかけて完膚なきまでに打ちのめしてしまう。
それによって自信を失い再起不能になった自称秀才・自称天才の貴族子息はの人数は両手では収まらないという。
普通に魔法について議論するには大変に楽しい笑顔が素敵な美人姉妹だと私は思うのだが世間の評価は異なるようだ。
「魔法研究者潰しの魔女姉妹」
これが二人の貴族界での評価らしい。
能力が高い自分が教えてやろうという相手でなければ二人とも普通に接していると思うのだが・・・・。
自信過剰は自らを滅ぼす良い例だね。
私は夕食会の次の日から二人と魔法について語らい始めた。
二人と交流のある魔法使いたちも交えてお互いに魔法について教え合ったり研究結果を評価し合ったり楽しい時間を過ごした。
二人と交流のある魔法使いは平民や女性が多いなというのが感想だ。
さらに時々は私が通ってきた森林に行き、魔法の実践を行ったり狩りや採集をしたりした。
この森林は黒竜の森と呼ばれている。
そうそう商業ギルドでも登録して薬草や魔物の素材の納品を行った。
そろそろ魔道具も売りに出して現金を増やして街に土地を買い拠点を造るか。
この世界の魔道具についてはシズクとエアルに色々教えてもらった。
空間拡張をした容器はそれなりにあるようだ。
収納機能がある収納魔法の鞄も高価だが存在するという。
魔法薬も良いものにはそれなりの値段がつく。
防具や武器についても教えてもらった。
魔法剣や防御の腕輪は人気があるらしい。
魔道具は商業ギルドでも買い取ってくれるというので商業ギルドに行くことにした。
シズクとエアルもついてきた。
何故かナイクさんもついてきた。
商業ギルドではギルド長達幹部が対応してくれた。
領主の御令嬢が一緒というのが影響しているのだろう。
挨拶の後、早速商品を見てもらうことにした。
商業ギルドの魔道具の専門家も同席してくれている。
わかりやすいように説明の紙も用意した。
商品番号1 収納魔法の鞄 使える魔法使いのいない収納魔法によって物品を収納する鞄。 容量は縦横高さ20m。重さ制限なし。時間経過あり。
商品番号2 収納魔法の鞄 使える魔法使いのいない収納魔法によって物品を収納する鞄。 容量は縦横高さ5m。重さ制限なし。時間経過無し。
商品番号3 魔法剣 両刃の長剣。魔力を流すことで岩石を切ることが可能で手入れが不要。
商品番号4 剣や矢や槍などの物理攻撃に対して防御障壁を自動展開できる腕輪。音速以上の銃弾や魔法攻撃は防げない。
商品番号5 魔法攻撃に対して防御障壁を自動展開できる腕輪。音速以上の銃弾や剣や矢や槍などの物理攻撃は防げない。
商品を見たギルド幹部や職員の様子がおかしい。
完全に思考が停止している顔だな。
執事のナイクさんが頭を抱えている。
美人令嬢姉妹は・・・・正常運転。
「流石タカシ様」ってにこにことしている。
もしかしてやってしまったかな。
「研究バカ」の美人令嬢姉妹は少々世間知らずな所があるという事実を忘れていたよ。
「タカシ様。収納魔法の鞄は賢者様が作られた物しか存在していません。その数は世界で62点。最大の容量を持つ物は縦横高さ5mで重さ制限なしは時間経過あり。2年前のオークションで白金貨1万枚で落札されました」
「えーと、時間経過無しは?」
「容量縦横高さ2mで重さ制限なしが最大です。全て国が持っています。魔法剣や腕輪も含めて国宝級です」
「防御の腕輪は人気だと聞きましたが?」
「自動で魔法障壁を展開しません。それほど強力ではありませんから何度も魔力を使って張りなおさなければいけません。剣も大木を切れる魔法剣が人気なのですよ」
「せめて商品番号1だけでも売れませんかね。白金貨5000枚でいいですから」
その後再起動した商業ギルドの幹部や職員を加わって大騒ぎになった。
ナイクさんからの連絡も受けて辺境伯が駆けつけた。
忙しいだろうに申し訳ない。
でも来るの早くありません?
はあ、近くにいたのですか。
予想が当たったという事ですか。
辺境伯が国王とも連絡を取り、時間経過なしの収納魔法の鞄と2種類の腕輪は国が買い取ることになった。
時間経過ありの収納魔法の鞄は商業ギルドに白金貨1万枚で、岩をも切れる長剣は辺境伯が白金貨2000枚で買い取ってくれることになった。
共にオークションに出せばこの30倍以上の価格が付くだろうと言われたがそれほどお金はいらないだろう。
商業ギルドに対しては私の情報を秘匿するように国から命令が出た。
辺境伯からでなく国からだ。
厄介な香りがするが辺境伯が言った「国がタカシを守ることにした」という言葉を信じよう。
「タカシ殿は何故お金が必要なんだ?」
「街に拠点をつくろうと思いまして」
「なら用意しよう」
「そんな、それではお世話になりっぱなしで申し訳ない」
「長剣を安く譲ってもらったんだ。ちょうどいい物件がある」
「ではお言葉に甘えて」
私が領主の屋敷を出て行くことに対して後ろで美人令嬢姉妹が抗議の声をあげている。
いつでも来てくれていいという事を伝えたら静かにはなった。
翌日ナイクさんが私の新しい拠点に案内してくれた。
「えーとここですか?」
「はい、ここも領主様の持ち物です。ちょっと古いのですがいかがでしょうか」
「何か出そうな感じですね、というか、いますよね」
「大丈夫です。タカシ様が退魔魔法上級を使ってくだされば一発でお終いです」
「はあ・・・・」
探索魔法で成仏できていない霊やリッチなどがいることが分かっていた。
彼らに安らかの死を。
退魔魔法上級を使って彼らを成仏させると感謝の思念が伝わってきた。
その後生活魔法の浄化上級で屋敷をきれいにして建築魔法できれいにリフォームも行った。
かなり広い屋敷なのでロボットたちに頑張って屋敷を維持してもらおう。
その日の夕食時に明日から隣の屋敷に移ることを伝えた。
「それじゃあ、霊の浄化はうまくいったんだね」
「はい、修繕も建築魔法で終わらせました」
「そんな魔法があるんだね」
「ええ、創りました」
ステータスでは不明な魔法に分類された中に入っている。
辺境伯には隠す必要はないだろう。
「一月ぐらいしたところで私たちは王都に行くのだが例の魔道具の国への納品のこともあるので同行してもらえるかな」
「はい、わかりました」
「詳細はタカシ殿の引っ越しが落ち着いたところで相談しよう」
翌日引っ越しをしたのだがなんで君たちが一緒に来るのかな。
「タカシさんの研究の助手をするため?」
「一緒の方が楽しい」
否定はしません。
でも隣ですからいつでも来れますよ。
辺境伯だって怒りますよ。
「もう父の許可は取ってあります。二人ともがんばれって。私たちを置いてください」
いいのかな?若い女性と一つ屋根の下で。
ロボットもいるだろうって。
部屋もたくさんあるからいいだろう。
あ、お付きのメイドも一緒に来るのですか。
結局引っ越しのメインはシズクとエアルと5人のメイドの方だった。
5人のメイドは護衛の役割もこなせる優秀な者たちだ。
新居 4階建て 客間や寝室と使える部屋数32室 食堂 厨房 応接室 工房 研究室 図書室 書斎 温泉利用が可能な大浴場 車庫 菜園 果樹園
住民はタカシ・シズク・エアルと5人のメイドと10体のロボット。
ロボットたちにも部屋を与えてある。
新しい拠点での魔法の研究と魔道具製作、森と草原での採集と狩り。
それらの納品。
シズクとエアルには転移魔法がばれているので草原の自宅にも連れて行った。
そちらで様々な魔法を教えるとともに身体強化魔法を利用した生命力と魔力上昇を身につけてもらった。
二人には指輪の形の防御の魔道具を渡した。
攻撃に対して障壁を自動展開するものだ。
魔法攻撃・物理攻撃に有効で自分の存在を隠蔽することも可能だ。
二人ともすごく喜んでくれた。
メイドにも指輪と同じ機能を持つネックレスを渡しておいた。
これらの魔道具は使用する個人を限定してある。
同じものは辺境伯夫妻にも渡した。
自分の周りの人を守るのは大事なことだから。
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