93 新しいお客様
解呪が終わった後、浴衣と羽織を取りに本館に行く振りをして庭に出ると、給仕班が詰め所への夕食配達が終わり戻るところだった。
「お疲れさま。重かったでしょ。」
「あ、大丈夫ですよ鍛えてますから。」流石エヴェリーナ 剣士だもんね。
その後、エヴェリーナが近づき耳打ちをする。
「ご主人様、外に不穏な気配を感じるのですが。それと、詰め所の方々の雰囲気が昼間と違う感じがします。何かあるのでしょうか。」
「うん、気にしなくていいよ。分かっているから大丈夫。」
「はあ、分かりました。」と、エヴェリーナ達は旧本館に戻っていった。
一応、本館に戻り浴衣・羽織セットをアイテムボックスにしまい、庭に出る。
気配感知で、屋敷周りを再確認すると、屋敷の周りは200人位の赤点で囲まれている。屋敷の中も居るんだけど、これはエステルグリーン閣下に伝えてあるから大丈夫。
で、詰め所が赤・青点滅しているんだよね、これが。なんなんだろう、葛藤中? 一応、酒も渡してあるから結界張って出られない様にしておこう。
外は、某マンガみたいに威圧で失神させちゃうか?
一応、確認と思ってマップ表示させて見たら、同じ赤点だけどなんか違う。○・△・□が混在している。 なんだろうこの違いは。△・□が各100位、○が10か。△と□は統率が取れて屋敷を包囲している感じがするが、○は一カ所にまとまってるな。
ちょっと、考えることにして、その間に浴衣を渡して来てしまおう。
別館に戻り、アンナリーナ様に浴衣と羽織を渡したあと、厨房に顔を出し準備を確認すると、もう準備がしっかり出来ていた。
「ありがとう。予定よりもかなり早い。では、時間があるから皆メイド服に着替え来て。9時から二次会を始めるから15分前までに此所に集合してね。」と伝えて、食堂を覗くとフェリシアとマルディダ様が女子高生よろしく駄弁っていた。
「フェリシア、マルディダ様、お時間宜しいでしょうか。」と声を掛けると二人ともこっちを向いて「はい。」と元気よく答えた。若いっていいな。
「外にお客様が来ているのですが、招待しているわけでは無いので入って来られないようなんですよ。なので、「ご挨拶」に行こうと思うのですが、ご一緒頂けますか?」
「招待していないお客様ですか?」
「はい、王女様の安全は保証しますので、一緒にどうですか?」
「あ、はい。フェリシアと一緒ならいいですよ。」
「じゃ、ちゃっちゃとやっちゃいましょう。」と、二人を連れて外に出る。
「寒くはないですか。」
「ちょっと冷えますが、この後は”温泉”ですから大丈夫です。」
「温泉とは言っても、”温泉もどき”ですからね。本物の温泉には劣りますよ。」
「楽しみにしてます。」
「太郎様、私にも聞いて下さいよ。」
「あ、ゴメン、フェリシアはどうかな。」
「大丈夫です。太郎様と一緒なら例え火の中、水の中」
「ありがとう。無理はしないでね。」と、制服姿の二人を連れて東門前まで来る。
安全のために、フェリシアとマルディダ様にはlv9の全力で結界を張っておく。勿論入力は10倍返しオプション付けてね。
赤点は相変わらず○・△・□だけど、多分△・□は部隊だと思う。○は敵なんだろうな。
門を出て、近くの△の処へ3人で歩いて行くと、甲冑を着た兵士がまとまっていた。
「今晩は~。寒い中ご苦労さまです。責任者の方いらっしゃいますか。」
「なんだお前等は。」
「あ、この屋敷の主です。いまパーティ中なんですけどご来訪頂いたのに、外でお待ちのご様子なのでどの様なご用件かと思いまして、参上いたしました。」
「屋敷の主だと。」と、後ろからいかにも隊長という風な男が前に出てきた。
「今晩は。私はこの屋敷の主で間橋太郎と申します。本日の招待したお客様が連絡不備で入場できないのかと思いまして、確認のため参上いたしました。」
「ふ、そうか。 大丈夫だ我々は招待を受けてはおらん。」
「そうしますと、どの様なご用件でしょうか。」
「お前に話す必要などない。とっとといね。」
「だって、帰ったって寝静まったころまた会わなきゃいけないでしょ。」
「なにを。」
「今日は、我が義父エステルグリーン第一師団長の快気祝のパーティですよ。後ろめたい会合ではないですからね。貴方から襲撃を受ける覚えはありませんよ。スタッファン=ハンマルグレーン第三師団長様」
「なに、お前がフェリシア殿の夫か。ここは元エステルグリーン伯爵家であることは知っている。「胡散臭いヤツが買い取り、不穏分子が謀反の計画を立てている」という密告があり来てみたが、レンナルトのヤツ快気祝だというのか。」
「そうですよ、ほら、フェリシアも居ますし、お客様としてマルディダ王女様もいらっしゃっています。」と振り向くと、二人が前に出てくる。
「おお、マルディダ様。こちらにいらっしゃるとは夢にも思いませんでした。平に御容赦を。」
「ハンマルグレーン卿。お勤めご苦労様です。しかしながら、今日はそのようないかがわしい会合ではありませんからご安心くださいませ。」マルディダ様が威厳のある声で第三師団長に声を掛ける。
「は、このまま何も知らずに突入すれ王女様に危害を加える可能性があったと言うことですな、一生の不覚。」
「まあ、よろしいですよ。卿も「王の勅命」と指示を受けただけでしょうから。」
「汗顔の至り。」
「王家が、密告の真偽も確かめず実行しただけでしょうから。困ったものです。」マルディダ様、平静を装っているけど握った手がぷるぷるしているよ。
「では、ハンマルグレーン卿。今日の処は兵をお引きとり頂けますか。」
「無論、是非もなし。我が第三師団の他、近衛騎士団も来ておるが私が話をしてきましょう。」
「いえ、そちらも伺いますよ。近衛騎士団にも王女に危害を加えようとしていた事を知らしめておかないと、また、虚言に惑わせされることも起こりますでしょうから。マルディダ王女に叱ってもらいますよ。」と笑いながら伝え、一礼し二人を連れて近衛騎士団に向かう。
「太郎様、どういうことなのですか。」
「うん、近衛騎士団が終わったら説明するよ。」と、近衛騎士団の方へ歩いて行く。○が動き出したみたいだけど、結界は破れないから大丈夫さ。




